ずっと「僕で大丈夫ですか？」って確認されていました

──まず最初に、なぜキャラクターデザインを氷川へきるさんに依頼されたのでしょうか。アニメーターではなく、マンガ家を起用する利点というか。

水島　過去の作品でもそうなんですが、僕は基本的にマンガ家さんやイラストレーターさんにデザインをお願いすることが多いんです。作品のコアになるキャラクターが描ける方を探すなら、アニメ業界に限定する必要はないんじゃないかなと。氷川さんは「コンクリート・レボルティオ」（以下コンレボ）の原型になった企画の打ち合わせで、會川さんに「少年マンガの匂いもあるけど、ひと捻りある絵が描ける人にお願いしたい」と相談したら、即名前が出たんですよ。でも実は僕、氷川さんとはその前から顔見知りでね。

氷川　そうなんです。

水島　高河ゆんさん主催のバーベキューでご挨拶させてもらったんですが、そのときはこうしてお仕事できるなんて思わなかったな。今回の話を進めるときに、すごくお忙しい方だと聞くけどアタックだけでも……とダメ元でお願いしたら、すごく面白がっていただけて。

氷川　2年半ぐらい前でしたっけ。

水島　そうそう。平尾リョウさんとおふたりにお願いしたんですが、まだコンセプトと概略しかなく。まずは企画書作成用に絵を描いてほしいって段階でした。なかったんですよ、企画書すら（笑）。

氷川　お受けしてから、よく知らずに参加しちゃったかなって……。

水島　ずっと「僕で大丈夫ですか？」って確認されていましたよね。そのたびに「全然大丈夫です」と勇気づけて（笑）。

──その後の制作の流れはどんな感じだったんでしょうか？

水島　話の骨子と、絵のテイストはお伝えして、あとはプロットと簡単なキーワードを参考にいくつか候補を描いてもらいました。次にその中から一番合うキャラクターを一緒に探して、それを元に會川さんがあらすじを考えるという流れでしたね。やっぱり絵があると、イメージの膨らみ方が全然違います。

氷川　だから僕はとにかくたくさん絵を描いていました。

水島　広げるだけ広げてからまとめるほうが、絶対面白いものになるんですよ。アニメって企画段階から絵描きさんに入ってもらうのは難しいんですが、せっかくオリジナルだし、絶対面白いものになるからって。氷川さんからしたら、誘われたし面白そうだから参加したら「なんかすっげえいっぱい描かされてるぞ？」って感じだったんじゃないかな。

氷川　そうですね（笑）。企画書完成までも長かったから大変で……ただそういう手探り感も、イチから参加している感じがして面白かったですけど。

水島　企画書段階ではキャラクター担当はおふたりのみという予定でしたが、最終的には数人の作家さんにお願いすることになりました。諸々の理由からでしたが「このキャラクターはこの作家さんの絵で……」と決められるなんてすごく贅沢な話だなって。