時間を喰らう悪魔と戦うクロノスルーラーの活躍を描く、彭傑(ポンジェー)原作のテレビアニメ「時間の支配者」。原作は中国のマンガ誌・翻漫画および少年ジャンプ+にて連載されている。
コミックナタリーではアニメ化に併せ、アニメ版で監督を務める松根マサトにインタビューを実施。同作のテーマは家族だと語る松根に、アニメ化するうえでのこだわりや放送を終えた第2話までのエピソード、福山潤や石川界人らキャスト陣のアフレコ時の裏話などについて聞いた。
取材・文 / 宮津友徳 撮影 / 小坂茂雄
人々の時間を喰らいし悪魔・計と、時を操り計に対抗する時間の支配者・クロノスルーラーを描くSFアクション。計の攻撃を受け自らの時間を奪われてしまったヴィクトは、相棒であり息子の霧とともに、過去を奪還すべく時を操り、戦い続ける。
アクションで家族を考える作品
──松根監督は作品を初めて読んだ際、どのような印象を抱きましたか?
掲載媒体にジャンプという名前が冠されている通り、最初はケレン味もあり、中二病的な要素もありといわゆるジャンプ作品らしいアクションマンガだと思っていたんです。ただ読み進めるにつれて、裏側にしっかりとしたテーマがあるんだなと感じて。
──テーマというと?
彭傑先生はこの作品でアクションだけではなく、家族を描きたいんだなというのがわかってきたんです。そこを読み解けてからは、自分の中でも深みが増してきました。
──確かにヴィクトや霧はもちろん、登場キャラクターの多くが家族という存在に対して何かしら問題を抱えていますよね。
ええ。僕はミーナが登場したあたりで、この作品のテーマは家族なんじゃないかという印象を受けたんです。ミーナは自分のことを「霧の母親」と言っていますが、最初は霧に対して割と冷たい態度を取るんですね。だけど物語が進むにつれミーナが感情を少しずつ昂ぶらせて、母親らしい顔を見せ始めていくんです。最初から母と子という関係性でベタベタするわけではなく、物語の過程で家族ができあがっていく様子が描かれているなと。
──彭傑さんとはアニメ化に際してどのようなことをお話されたんですか?
話していたのは主にはデザインの部分ですね。基本的に原作マンガは白黒でカラーページに出てこないキャラクターも結構いるんです。そういうキャラについて、「この部分はどんな色なんですか?」「どんな造形なんですか?」と伺ったり。
──キャラクターの設定画を見るとスネークにすね毛が細かく描かれていたりと、こだわりを感じました。
先生は「このキャラクターはパンツでメガネを拭くんです」ってキャラ造形のこだわりを挙げてくださったので、こちらとしても「わかりました、がんばってパンツを描きます!」とお伝えして(笑)。あとは映像化したときに原作を読んでいるファンはもちろん、アニメで初めて作品に触れる方がどんな映像が観たいのかなということを考えて、コマとコマの間を想像しながら作っていきました。
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時間変動の表現は拡張現実がヒントに
- テレビアニメ「時間の支配者」
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- 放送情報
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TOKYO MX・BS11・サンテレビ・KBS 京都:
毎週金曜24:30~ - スタッフ
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原作:彭傑(翻翻「翻漫画」連載中/集英社「少年ジャンプ+」連載中/協力・友善文創)
監督:松根マサト
シリーズ構成:横手美智子
キャラクターデザイン:飯島弘也
アニメーション制作:project No.9 - キャスト
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ヴィクト・プーチン:福山潤
霧・プーチン:石川界人
ミーナ・プーチン:釘宮理恵
ブレイズ:赤羽根健治
アイスレーダー:伊藤静
スネーク:杉田智和 - あらすじ
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人々の時間を喰らいし悪魔……その名は「計」
時を操りそれに対抗するのは時間の支配者「クロノスルーラー」計によって自らの「時間」を奪われたヴィクトは相棒の霧と共に時間という「過去」を奪還すべく時を操り、戦い続ける……。
時間操作系スタイリッシュアクション、開幕──!
- 松根マサト(マツネマサト)
- 福井県出身のアニメーション監督・演出家。これまでの監督作品にテレビアニメ「ケイオスドラゴン 赤竜戦役」など。テレビアニメ「暗殺教室」「ダンガンロンパ」シリーズなどでは、オープニング映像を手がけている。