コミックナタリー Power Push - ぼくらのカプトン
練習ときどきエスケープ リアル体育会系の日常劇
格好つけると失敗するんだ、間違いない
──女子話に嫉妬を燃やしてましたが、あずまさんは男子校出身ですか?
あずま 共学だけど極端に女子が少ない学校だったので、僕は男子クラスってやつでしたね。男子だけの気安さもあるんですけど、やっぱり女子がいるクラスがうらましかったですよ。女って言ったって、そんなにかわいくもない、ビミョーな方々ばっかですよ(笑)。でもそのクラスに入りたくて入りたくて。
──ブスでもいるだけでうらやましいのが高校生ってもんですからね。
あずま ところが2年生になって念願の女子クラスに入れたんですよ。でもいざ女子がいると、緊張して伸び伸びできない。バカなこともしづらくて、自分は硬派を気取ってたから女子とも遊ばなかったんですよね、格好つけてたんです……女子大好きなのに……。
担当 その辺のムッツリ具合は、キャプテン柴田と一緒ですね。ムッツリでええ格好しい。
──あ、ええ格好しいで思い出したんですけど、馬蹄型のコインケースってわかります?あれを中学のとき古着屋で見つけて、これが大人の財布なんだぜ、って見せびらかしたことがあったなあ。
担当 大人の財布(笑)。でもみんなが持ってないアイテムで差別化を図ろうとするのは、中高生の基本的なマインドですよね。
──それで「カッコいいだろ」って取り出したまではよかったんですけど、イキがって「これはな、こうやって使うんだよ」って片手で振って開こうとしたら、小銭がバーっと教室中に散乱。みんなに拾ってもらうハメに……。
あずま あるある(笑)。格好つけてるときって、ぜったいミスするんですよね。柴田なんか意外に調子乗りだから、いかにもやらかしそう。……うん、いいですね。これでひとネタできそうですよ。
──えっ、こんなくだらないことがネタになっちゃうんですか!?
あずま くだらないほうがいいですよ。「サッカーマンガ」じゃないんですから(笑)。
マンガに騙されて、運動部に入ってほしい
──「サッカーマンガ」じゃないサッカー部マンガ「ぼくらのカプトン」は、どんな層に読んでもらいたい?
あずま 同世代の「体育会系」出身が読んだら「部活って嫌なこともあったけど、楽しかったなあ」ってことを思い出してほしい。逆に、まったく部活やってないような子には「へえ、運動部ってなんか楽しそう」って思ってもらえたら嬉しい。それで運動部に入ってみたら地獄っていう、ギャップに騙されてくれたらいいですね。
──打ち合わせしたネタでは、サッカーのサの字も出てきませんでしたが……。
あずま 「サッカーマンガ」ではなくて、部活動の日常を描くマンガだから(笑)。部の1年生になったつもりで「カプトン」の日常を見守ってください。
取材終了後「柴田ならどうする……?」「オチはこんな感じでどうでしょう?」と、あずま氏と担当はコミックナタリー記者が提供したネタを元に早速ネームの打ち合わせを開始。どうやらコインケースの失敗談が採用されたようだが……。
完成したマンガは、9月11日発売のゲッサン10月号に掲載。どのような仕上がりとなっているのか、その目で確認しよう。
あらすじ
サッカー部の新主将に選ばれたのは練習熱心で男らしくて、後輩からも慕われる男の中の男、柴田将一!! さすがは主将、クールな態度は変わらないけどちょっと油断すると……あれ? うわついた本音がチラチラはみ出してますよ……!? 青春のロスタイムで繰り広げられるオフサイドコメディ。
あずまよしお
11月4日生まれ福岡県出身。1997年にマガジンGREATにて「嘘じゃないもん」でデビューし、1998年から2007年にかけて月刊少年マガジン(ともに講談社)で「ぼ・ん・ど」を連載。2010年に月刊少年サンデー(小学館)にて「ぼくらのカプトン」を連載開始する。