すべてはイラストレーターのhukeが2007年12月26日に発表した1つのイラストから始まった。描かれているのは黒いツインテールの髪を風になびかせ、片目に青い炎を宿し、巨大な銃火器を手にした少女、ブラック★ロックシューター。さらに2008年、supercellのryoがこのイラストから着想を得て作った楽曲と、hukeによる映像を組み合わせた動画「初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ『ブラック★ロックシューター』」(参照:初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよ「ブラック★ロックシューター」 - ニコニコ動画)が、たちまちインターネット上で大きな話題になる。その後は続々とメディアミックスが展開され、ブラック★ロックシューターはコミカライズ、グッズ・フィギュア、ゲーム化、さらには2010年にOVA化、2012年にはTVアニメ化を果たした。
コミックナタリーではそんなブラック★ロックシューターを原作とし、4月3日より放送・配信される新作アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」を特集。ブラック★ロックシューターや、ボーカロイド・歌い手・演奏してみた動画などの文化に関係が深いクリエイターである、ryo、じん、まらしぃ、ウォルピスカーター、TNSK、鈴木小波にコメントをもらった。彼らがブラック★ロックシューターに対して抱く思いとは。また「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」への応援や期待も綴ってもらった。
構成 / 齋藤高廣
「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」とは
物語の舞台は労働力の大幅な自動化プロジェクトが失敗し、その中核となる人工知能・アルテミスが人類との戦いを選んだ末、荒廃してしまった2062年の地球。人類の守護者となる3人の生き残りのうちの1人・エンプレス[ブラック★ロックシューター]は、記憶のないままとある基地の地下研究施設で目覚めた。するとそこに平和構築軍の大佐が現れ、エンプレスにはアルテミスが建設中の軌道エレベーターを、完成前に破壊する使命があると告げる。しかし彼らの行く手には、エンプレスの仲間であったはずのデッドマスターやストレングス、アルテミスの手先である無人軍隊、カルト集団<教育機関>のスマイリーらが立ちはだかるのだった。
アニメーション制作をTVアニメ「五等分の花嫁∬」とOVA「グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION」のバイブリーアニメーションスタジオやバイブリーアニメーションCG、監督を同じくアニメ「グリザイア」シリーズの天衝が担当。シリーズ構成・脚本を深見真、シリーズ構成協力・脚本を吉上亮と「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」や「PSYCHO-PASS サイコパス 3」に携わったクリエイターが務めている。
ryo、じん、まらしぃ、ウォルピスカーター、
TNSK、鈴木小波からコメントが到着!
ryo(supercell)
「ブラック★ロックシューター」への思いと、アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
作者のhuke君と自分とは2007年末くらいにニコニコ動画を通じて知り合い、仲良くなりました。まだ自分も電気屋さんで働いていましたし、huke君は学校の講師をしたりしている時代でした。そんな中、自分たちはニコニコ動画に発表する動画をsupercellとして出すために動画を作ろう!となりました。そしてhuke君のホームページを見に行って、ショックを受けました。ゴシックな雰囲気でありながらアメコミチック、重厚に描かれた武器やおどろおどろしい骸骨。またpixivがその頃サービスを始めたばかりの頃で、彼が投稿しては常にランキング1位といった感じで、当時から一際異才を放っていました。そんなイラスト群の中である意味似つかわしくないようなブラック★ロックシューターが目に飛び込んできたのです。自分はそのイラストを見てメロディが浮かんだので「この絵で曲作っていい?」「いいよ!」、ノリも勢いも2人とも若かったなと思います。そして出来上がった動画を見てめちゃくちゃ盛り上がりました。「アニメのオープニングみたい!」と。当時はまだスマホではなくガラケーが全盛だった時代です。そんな中でネット作品、ニコニコ動画に上がった動画が作品とも呼んでもらえなかった時代に、アニメ化はおろか、そもそも商業ベースにネット作品が載るなんて完全に夢物語の時代。そんなことが起こるわけがないことは自分たちが一番よくわかっていました。でもhuke君は決して諦めず自分を証明するために、時間をかけて、がんばってがんばってアニメ化まで漕ぎつけ、ついに今日この日までたどり着きました。そんな「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」、ぜひたくさんの人に観て楽しんでもらえたらな、と思います。
プロフィール
ryo(リョウ)
アーティスト活動の際の名義は「supercell」。その他作曲家、プロデューサー、ミックス、マスタリングエンジニア、ディレクションなどを一人で担当し音楽を作り上げる。supercellでの活動の際のメンバーはマンガ家、イラストレーター、デザイナーからなる。異業種や視聴者を巻き込んでいくさまがまるでsupercell(超巨大積乱雲)のようであるということからその名前がつけられた。ファーストアルバム「supercell」は第24回日本ゴールドディスク大賞にて「ザ・ベスト5 ニュー・アーティスト」受賞。楽曲「君の知らない物語」はトリプルプラチナ(75万DL以上)を達成する。また中国でもゴールドディスクを受賞し、早くからアジア圏での注目を浴びる。その後タイアップ作品を多く手がける。主なものとしてアニメ「化物語」「NARUTO-ナルト- 疾風伝」「マギ」、ゲーム「ブレイブリーセカンド」「魔法使いの夜」、CM学校法人モード学園HAL、トヨタカローラ(米国版)など。またプロデューサーとして2011年フジテレビ、ノイタミナ発のアニメ作品から飛び出したバーチャルアーティスト、「EGOIST」を総合プロデュース。バンダイナムコの映像技術を用い最新のモーションキャプチャーシステムを駆使したライブで、日本のみならずアジアでのツアーを敢行し10万人を動員。ryoの活動歴は14年目に突入。ソニーが主催するMonogatary.comとのコラボレーションなど、これからの活動にも要注目。
じん
「ブラック★ロックシューター」への思い
出会いは、その名を冠した楽曲でした。どっしりと構えた旋律と強かなビートはもちろん、何より歌詞の鋭さが印象的で、ワンコーラスで一気に曲の世界に引き摺り込まれたあの感覚は、今も鮮明に覚えています。誰でも覚えられるし、誰でも歌える、けど誰も聴いたことのない曲っていうのが最強だと思うんですが、あれはそういう曲なんじゃないかと思います。好きです。
アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
僕は音楽も、シナリオも、それらを混ぜあわせたような物も作りますが、今作はまさに僕らのクリエイティブシーンの最前線にドロップされる作品なんじゃないかと感じています。
10年以上の時を経て、今最新のシーンに現れたブラック★ロックシューターがどんな表情を見せるのか、どんな主題を打ち鳴らすのか、とても恐ろしいですし、とても楽しみです。
プロフィール
じん
1990年10月生まれ、北海道出身。作曲家、作詞家、小説家、脚本家などアーティスト、クリエイターとして幅広く活動している。幼少期から音楽に対する関心が強く、学生時代のバンド活動などを経て作曲を開始。2011年2月からニコニコ動画にて、自身がすべての音楽・ストーリーを手がけるマルチメディアコンテンツ「カゲロウプロジェクト」を始動した。同シリーズ関連書籍は累計900万部、音楽パッケージの累計は70万枚に上る。アニメ化の際は脚本を務め、OP主題歌「daze」のMVはYouTubeにて2740万再生を突破している。マンガの「NIRVANA-ニルヴァーナ-」「カゲロウデイズ」の原作も手がけ、2020年にはアニメ「LISTENERS-リスナーズ-」で脚本と楽曲プロデュースを担当した。
まらしぃ
「ブラック★ロックシューター」への思い
思い入れがとても強くて大好きな楽曲です。
はじめて聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。
自分のアルバムでもピアノカバーさせていただき、本当に幸せで光栄でした。
前作のアニメも発表された時は飛び上がるくらい嬉しかったです。
リアルなフィギュアもねんどろいども揃えましたし、ノイタミナショップでパーカーを買えてるんるん気分で帰ったのを今でも覚えています。
アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
アニメ新作、本当におめでとうございます!
僕の青春が詰まった大好きな楽曲であり、作品です。
「おひさしぶり」に思いっきり心が震えました。とてもワクワクしております!
これからの「ブラック★ロックシューター」も全力で楽しませていただきます!
プロフィール
まらしぃ
1990年3月10日、愛知県名古屋市生まれ。ピアニスト、作曲家。2008年からピアノ演奏動画、ライブストリーミングを発信しており、動画サイト総再生数は8億回、YouTubeチャンネル登録者数は181万人を突破した。TOYOTA「アクア」CMでも話題になった「千本桜」演奏動画は2000万再生を超え、同CMをきっかけにノーリツ給湯器、ソフトバンクでんき、富士通エフサス、ファミリーマートといった数々の企業CMに楽曲を提供し、演奏・出演している。2019年6月にはピアニスト単独では初となる幕張国際展示場公演を開催。2018年にリリースされたアルバム「marasy piano world X」には、楽曲「ブラック★ロックシューター」のピアノカバーが収録されている。
ウォルピスカーター
「ブラック★ロックシューター」への思い
初めて聴いたのは高校1年生の時でした。
青い炎のアイパッチをつけた友人が「この曲めっちゃいいから聴いて!」とおすすめしてくれたのがこの曲でした。
「なんてキャッチーなメロディーなんだ……!」と衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
当時は歌い手も始めておらず高音開発もしていなかったので、めちゃくちゃ好きなのに高くて歌えないというジレンマを抱えていました。
その後歌い手を始め、高音開発に目覚め、しばらく経ったある時。
ふと「今ならブラック★ロックシューター歌えるんじゃないか?」と思い録音を始めたところ、面白いくらい歌えました。
それが2017年の9月だったと思います。
僕にとって「ブラック★ロックシューター」は自分の成長を強く実感させてくれた楽曲です。
アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
事前に第1話を観させていただきました。
作品の舞台設定は俗に言うポストアポカリプスもので、人類と機械(人工知能)が敵対している……といったSFもの。3Dモデルで描かれた戦闘シーンから始まり、それを支える重厚な音楽が、ダークな世界観と緊迫した現状を描写しており冒頭から引き込まれました。
人工知能、アルカナを冠する名前、記憶を失っている主人公と、謎が散りばめられた第1話でしたが、この先、物語がどう展開していくのか今から気になって仕方がありません。
まだ1話を視聴しただけですが、個人的に作品内に登場するメカのデザインが気に入っており、現実味を帯びつつフィクションを反映させた非常に渋いものであると感じました。
また、非常に不気味さを感じさせる見た目をしており、しかしながらある種合理性を感じる設計であるようにも思えました。
これらのメカ達が人類の敵対者として一層作品の絶望感を高めているのは間違いなく、今後どういった活躍をするか楽しみです。
プロフィール
ウォルピスカーター
動画共有サイトを中心に活動する歌い手。“高音出したい系男子”の異名を持ち、ハイトーンボイスを用いた歌唱動画で多くのリスナーを魅了している。2012年に動画を初投稿し活動を開始。2015年に投稿したOrangestar「アスノヨゾラ哨戒班」の歌唱動画の再生数は1500万回を超え、2018年発表の「泥中に咲く」ミュージックビデオの再生回数は4000万回、歌唱動画の総再生数は2億5000万回を越える。2019年3月にはTVアニメ「不機嫌なモノノケ庵 續」のED曲「1%」をシングルリリース。2020年3月にアルバム「40果実の木」を発表した。2021年5月にTVアニメ「デジモンアドベンチャー:」のED曲を含む音源集「Overseas Highway」を発売し、同年8月に東京・Zepp Haneda(TOKYO)、10月に大阪・Zepp Osaka Baysideでワンマンライブを開催した。12月には初のエッセイ「自分の声をチカラにする」を刊行。2022年3月にテレビアニメ「ニンジャラ」のエンディングテーマ「ニンジャライクニンジャ」を収録した新作音源「分身 -Bunshin-」をリリースした。
TNSK
「ブラック★ロックシューター」への思い
私は当時、「ブラック★ロックシューター THE GAME」のコミカライズを担当させていただきました。もちろん楽曲も、アニメもフィギュアも大好きで追っていたのでとても光栄でした。hukeさんの生み出す魅力的なキャラクター造形はカッコよくて、描いていてとても楽しかったです。W☆RSやナフェたち、「THE GAME」に出てきたキャラクターたちのデザインや性格など、本当に作り込まれているなと感動したのを思い出します。シズとカーリーが大好きでした。
そして今、「ブラック★ロックシューター」の新たな展開に、いちファンとしてまた立ち会えることをうれしく思っております!
アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
第1話を拝見させていただいて感じたのは、今までの「ブラック★ロックシューター」の総決算。積み上げてきた素敵な部分をマッシュアップしてひとつの作品に込めていくような意気込みが感じられてとても楽しかったです。
個人的にはある敵キャラがすごく好きで、このキャラを楽しみに追って観ていきたいと思っています。なんというかやばいです……いろんな意味で……(笑)。
プロフィール
TNSK(ティーエヌエスケー)
マンガ家、イラストレーター。2011年から2012年までコンプティークで「ブラック★ロックシューター THE GAME」を連載していた。2019年よりgood!アフタヌーン(講談社)で「うちの師匠はしっぽがない」を連載しており、同作は今年アニメ化が決定している。
鈴木小波
「ブラック★ロックシューター」への思い
まずブラック★ロックシューターとの出会いは
ryoさんの初音ミク曲からでした。
暗く儚げで華奢なのにゴツい武器を持つ不思議な女の子という世界観に一気に引き込まれていたそんなときに突然、当時の担当編集さんから
「鈴木さんがB★RSのコミカライズに決まったから」
と連絡が来ました。
寝耳に水で実感がまるでなく
「私歌えますよ!」
と言ったのを覚えています(笑)
「ブラック★ロックシューター イノセントソウル」はhukeさんから自由に描いて欲しいと
要望をいただいてしまったので、
本当に本当に自由に描かせていただきました。
約1年間の連載でしたが
今でも「B★RS イノセントソウル」を好きだと言ってくださる方も多く
いい読者に恵まれた幸せな作品です。
そんな作品を描けた私が一番の幸せ者ですね。
アニメ「ブラック★★ロックシューター DAWN FALL」へのメッセージ
1話を先行して拝見しました。
hukeさんの絵をそのまま持ってきたような端麗な世界観の中にある狂気が差し色になって
期待と不安でワクワクしました。
そもそもB★RSは設定が存在しないので
メディアごとに違うキャラクターを楽しめて
今回も謎めいた始まり方でとても期待しています。
誰よりも華奢だけど誰よりも強い新しいB★RSを期待しています。
プロフィール
鈴木小波(スズキサナミ)
千葉県出身、東京都在住。2002年に「なりきりドキ・ホーテン」が週刊少年サンデー超(小学館)で掲載され、デビュー。主な作品に「ブラック★ロックシューター イノセントソウル」「燐寸少女」「ホクサイと飯さえあれば」など。現在は月刊少年エース(KADOKAWA)で「妖怪大戦争 ガーディアンズ」、少年ジャンプ+で「神食の料理人」を連載中で、「神食の料理人」第2巻が4月4日に発売される。
フィギュアも順次展開!
- 「POP UP PARADE エンプレス[ブラックロックシューター] DAWN FALL Ver.」
- 「POP UP PARADE デッドマスター DAWN FALL Ver.」
- 「POP UP PARADE ストレングス DAWN FALL Ver.」
- 「ねんどろいど エンプレス[ブラックロックシューター] DAWN FALL Ver.」
- 「ねんどろいど デッドマスター DAWN FALL Ver.」
- 「ねんどろいど ストレングス DAWN FALL Ver.」
- 「スケールフィギュア エンプレス[ブラックロックシューター] DAWN FALL Ver.」
販売元:グッドスマイルカンパニー
発売日・価格:未定
商品ページは後日オープン