TVアニメ「ブギーポップは笑わない」の放送が、1月よりスタートした。原作となる上遠野浩平の小説は1998年より約20年にわたり刊行され続けている。アニメではシリーズ第1作目となる「ブギーポップは笑わない」をファーストエピソードとして第1話から第3話で放送し、第4話からはシリーズ第2~3作目となる「VSイマジネーター」編をオンエアする。
コミックナタリーではアニメ放送を機に、「ブギーポップ」シリーズを“中学時代の聖書”だと発言していたお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気にインタビュー。中学生の頃、同作に出会ったという岩井少年は、当時どんなところに魅力を感じたのか。好きなキャラクターやエピソード、そしてアニメの感想などを大いに語ってもらった。
取材・文 / 前田久 撮影 / 高瀬竜弥
東大宮の小さな書店で、平積みになっていた「ブギーポップ」と出会う
──まずは「ブギーポップ」シリーズとの出会いから聞かせてください。岩井さんは「ブギーポップは笑わない」のアニメ化が決定した際に、「中学時代の聖書」だったとTwitterで発言されていましたが。
俺の中学時代の聖書。
— 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) 2018年3月12日
ブギーポップ再アニメ化は本当に嬉しい。上遠野浩平先生の小説は全作本当に面白くて夢中で読んでいた。
原作ブギーポップシリーズの『ブギーポップは笑わない』だけでも是非。#ブギーポップは笑わない https://t.co/qSHrjUvCNu
中学に入りたてくらいの頃だったと思うのですが、マンガが好きだったので、休みの日に書店によく行ってたんです。地元の、埼玉県の東大宮にある小さな書店なんですけど。そこにあるとき、平積みで「ブギーポップ」シリーズが置かれたんです。確かその時点で、「夜明けのブギーポップ」(注:1999年5月刊行、シリーズ6冊目)あたりまで出ていました。最初は表紙が気になって、でもライトノベルをまわりに読んでいる友達はいませんでしたし、僕自身、ライトノベルどころか小説もろくに読んだことがない子供だったので、ちょっとハードルが高いなと思ったんです。その頃ってマンガでも、週刊少年ジャンプみたいな、いわゆる少年誌のマンガ以外のものを読むのは少し恥ずかしく思えるような空気があって(笑)。
──2000年前後だと、今とは空気感が違いますよね。中学生くらいでジャンプ、マガジン、サンデー以外のマンガを読むのは、少しマニアックな読者だったような。
そうそう(笑)。ライトノベルもそうしたマンガと同じような位置づけで、マンガが好きな、いわゆるオタク的なものに興味がある子供であっても、なかなか手に取らないものだった気がします。でも買ってみよう、と。それで1巻目の「ブギーポップは笑わない」を買ったら、めちゃめちゃ面白かった。そこからシリーズをずっと追いかけるようになりました。
──面白さを感じたポイントはどのあたりだったのでしょう?
当時の僕が面白いと思ったのは、ひとつの出来事をいろいろな視点から書いていて、加えて、各エピソードの時系列もシャッフルされているところですね。すごく新鮮でした。今回のアニメ化でも同じ構成になっていましたが、ある事件が終わるところまでがサラッと描かれて、それがどういうことだったのか、後から明らかになる。だからどんどん先が気になって、読みたくなるんですよね。「笑わない」以降の巻にもそうした見せ方の工夫があって、そこが好きでシリーズを続けて読んでいたところがありますね。
──そういった構成の部分に惹かれていたんですね。ライトノベルの読者には、主人公やヒロインのキャラクターとしての魅力に惹かれる人も多いですが。
2次元キャラ萌えみたいなものは、その頃の僕にはそこまでなかったですね。ストーリーを重視していたので、まさにそうした趣味にドンピシャでハマっていました。あと、全体的にオシャレな雰囲気がありましたよね。洋楽の歌詞が引用されていたりとか。当時の僕はまったく知らないようなバンドのよさも、この作者の人は知っているんだな……みたいなことを、読みながら感じていたのを覚えています。なんだかよくわからないけど、カッコいいな、と(笑)。当時はインターネットもそんなに身近じゃないし、今みたいに簡単には元ネタを調べられなかったですからね。
フォルテッシモとユージンの関係性が好きでした
──シリーズの中で特に好きな作品はどれですか?
悩みますね……でも、いちばん好きなのは「パンドラ」(「ブギーポップ・イン・ザ・ミラー 『パンドラ』」)かな。ユージンが好きなので。「歪曲王」(「ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王」)もよかったですけどね。ユージンは、その後に登場するフォルテッシモとの関係性も好きでした。あ、そうそう。ブギーポップが吹く口笛バージョンを収録した「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が一度、シングルCDで出たんですよね。
──2000年に放送されたTVアニメ「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」のイメージCDとして発売されたものですね。
そのCDのブックレットに載っていた短編小説「ブギートーク・ポップライフ」で、フォルテッシモとユージンが絡んでいる部分をありがたく読んだのを覚えています。子供だから、全然お小遣いがない中で、決死の思いで買ったCDだったんですけど(笑)。あとはスクイーズも好きなキャラクターかな。
──「ブギーポップ」の世界設定を整理しながら読むのは本当に大変で、考察をされるファンも多いようですが、岩井さんは……?
ああ! やりました、やりました(笑)。1回、ノートにまとめましたよ。キャラクター同士の関係性と、作品のエピソードの時系列を全部整理しました。どの辺までやったかな……。「ホーリィ&ゴースト」(「ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト」)あたりまではやりましたね。
──やっぱり(笑)。そこまで思春期にどっぷりと触れた作品って、どこか人格形成にも影響を与えたりもするかなと思うのですが、そう感じる点はありますか?
うーん、どうかなあ。人格形成というと大げさですけど、この作品の「(特殊)能力同士の戦い」という側面も好きだったんです。ラジオとかで、よくそういう話題を出してしまうんですよね。コーナーもあったくらい。
──ラジオ「ハライチのターン!」で、岩井さんがなんでもすぐに忘れてしまう「忘却の彼方~フォゲット・ザ・フォゲット~」の能力者であると発言されて、それが発端となり始まったコーナーもありましたね。
そうそう。それくらい、趣味に与えられた影響はずっと残ってるかもしれないですね。
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ひとつのエピソードが完結したとき、初めて面白さがわかるような作品
- アニメ「ブギーポップは笑わない」
- 放送情報
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AT-X:毎週金曜21:00~21:30
TOKYO MX:毎週金曜22:30~23:00
テレビ愛知:毎週金曜27:05~27:35
KBS京都:毎週金曜24:30~25:00
サンテレビ:毎週金曜24:30~25:00
BS11:毎週金曜23:00~23:30
- 配信情報
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AbemaTV:毎週金曜22:00~22:30
ほか各配信サイトにて配信中 - スタッフ
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原作:上遠野浩平(電撃文庫刊)
原作イラスト:緒方剛志
監督:夏目真悟
シリーズ構成・脚本:鈴木智尋
キャラクターデザイン:澤田英彦
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:マッドハウス
製作:ブギーポップは笑わない製作委員会
- キャスト
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ブギーポップ/宮下藤花:悠木碧
霧間凪:大西沙織
末真和子:近藤玲奈
竹田啓司:小林千晃
新刻敬:下地紫野
紙木城直子:諏訪彩花
早乙女正美:榎木淳弥
田中志郎:市川蒼
百合原美奈子:竹達彩奈
エコーズ:宮田幸季
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谷口正樹:八代拓
織機綺:市ノ瀬加那
飛鳥井仁:細谷佳正
安能慎二郎:長谷川芳明
衣川琴絵:阿澄佳奈
スプーキーE:上田燿司
水乃星透子:花澤香菜
©上遠野浩平/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
- 岩井勇気(イワイユウキ)
- ワタナベエンターテインメント所属。埼玉県出身、1986年7月31日生まれ。幼稚園からの幼なじみ・澤部佑とお笑いコンビ・ハライチを結成。アニラジ「ハライチ岩井勇気のアニニャン!」(TBSラジオ)パーソナリティーほか、「ハライチ岩井勇気のアニ番」(ニコ生)などのレギュラーを抱える。小説新潮(新潮社)、TV Bros.(東京ニュース通信社)でコラムを連載中。
- 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) | Twitter
- ハライチ|ワタナベエンターテインメント
- ワタナベエンターテインメントメンバーズサイト「We!プレ」 | We!プレ
- 岩井勇気の記事まとめ
- ハライチの記事まとめ
- TBSラジオ「ハライチ岩井勇気のアニニャン!」
- 放送日時:毎週火曜日21:00~21:30
- ニコ生「ハライチ岩井勇気のアニ番」
- 放送日時:隔週金曜日20:00~生配信