「ブラッククローバー」を読んで金メダルを獲る人が出たら

──今回の役を演じるにあたっては、皆さんオーディションがあったんでしょうか。

一同　そうですね。

──オーディションを受けるにあたって、原作も手に取ったかと思うのですが印象を教えていただけますか。

優木　誰一人嫌いになるキャラクターがいないんですよね。アスタ目線で見ると、敵対したキャラクターってどうしても「この敵め！」ってなるんですけど、どのキャラも「自分なりの正義や何かしらの過去があって、今こういうポジションにいるんだ」っていうバックボーンがあるから。

梶原　そういう相手に対してアスタが発した感情が伝染して、最初はそっぽを向いていたのが同じ方向を向いてくれるようになるのはすごくいいですよね。

島﨑　僕はどんな作品に出演するときにも、「観てくださった方の人生にいいものが残るといいな」と思っているんです。作品から何かしらの教訓を得たり、印象に残ったシーンから感受性を震わせたり、決心を新たにしてもらったり。「ブラッククローバー」って「これぞ週刊少年ジャンプの王道だ！」と言える作品だと思うので、読み手にすごくポジティブな影響を与えられると思うんです。

──たしかに主人公のアスタはどんなことがあってもくじけない前向きな存在なので、勇気を与えられる読者も多そうですよね。

島﨑　たとえばスポーツ選手がいつかインタビューで「『ブラッククローバー』っていう作品が子供のころに連載していて、アスタっていう主人公が絶対に負けない、諦めない奴だったので僕もそれに感動して『諦めないっ！』って思って金メダルを獲りました」って言ってくれたら最高ですよね。

梶原　それ、すごくいいですね。

優木　アフレコをしていると、「まだだ…!!!」っていうアスタのセリフをすごくたくさん聞くんですよね。「まだだ…!!!」ってセリフって諦めていないときにしか言わないと思うんです。だから「まだだ…!!!」ってアスタが言ってくれるたびに、私自身も「まだか！がんばろう」って奮い立たせられますね。

島﨑　そうやって人に諦めない心を伝えられる作品だと思っているので、アニメも原作に負けないくらいがんばりたいですね。

ユノも主人公であることをわかりやすく

──梶原さんは初主演ということで、アスタを演じる上でどのようなことを心がけているんでしょうか。

梶原　「ブラッククローバー」ってコメディパートとシリアスパートがはっきりと分かれているので、そこはしっかり演じ分けられるように気をつけていますね。あとアスタが新人として「黒の暴牛」に入って成長していくという設定と、名だたる先輩方が名前を連ねる作品の主役をド新人の僕が担当するという境遇が似ていると思っているので、自分の素に近い部分もアスタに乗せて自分と重ねつつ演じることも意識はしています。

島﨑　素の部分というところで言うと、がっくんと優木さんの現場での様子はアスタとノエルの関係性そのままだよね。

梶原　しゃべりやすいっていうのはあるかもしれません。

優木　私はがっくんからしたら一応少し先輩なんです。でもアフレコが始まる前に「あまり先輩後輩っていう関係性は気にしないでね」って言ったら、本当にフレンドリーにタメ口で接してくれて。

島﨑　自分から絡みにいくのが苦手ながっくんが、いい意味で雑に扱える人がいるっていうのはいいことだよね。

梶原　僕が演じているアスタと優木さんが演じるノエルは、劇中で言い合いをしながらも切磋琢磨して成長するキャラクターなので、それと同じようなノリで普段も接することができるのはありがたいですね。そういうところも含めて「ブラッククローバー」は自分と役がリンクしてる部分が多い作品なんです。

──島﨑さんが演じるユノはもうひとりの主人公とも言えるキャラクターですが、演じる上で心がけていることはありますか？

島﨑　ただのライバルキャラクターにはなりたくないなと思っているんです。原作では話が進むとアスタとユノのダブル主人公という感じがどんどん強くなっているんですけど、アニメでは序盤からアスタとユノの2人が主人公だということをしっかり表現しようという話が出ていて。ユノはクールなキャラクターですけどクールな役割に徹しきるんじゃなくて、その内面にある熱さや年相応の情緒はより膨らませたりしていますね。