将来的には第2、第3のビーム100を作りたい
──インタビューをさせていただいた今日、ちょうど1号分の原稿がすべて揃ったということですが、できあがりを見た感想はいかがですか。
本気 通して読んで、「意外と雑誌としてまとまってる!」って思ったんですよ。ファンタジーもラブコメもエッセイも……と自分の好きなものを詰め込んでしまったんですが、いろいろあって楽しいなって前向きに感じたんです。conixさんの「青高チア部はかわいくない!」みたいに少女マンガ誌でも通用しそうなポップなものも、いましろたかしさんの「新釣れんボーイ」みたいに青年誌でコアなファンに愛されていそうなものも、どちらもあるのがビームじゃないですか。ちゃんと“ビームしてる”と思ったんです。
岩井 ジャンルで絞ったりはしないけれど、1本1本の作品が読者に刺激を与えるものにする、というのがビームですからね。ビームの表紙に入っている「comic magazine for comic freaks」、“マンガが好きな変わり者たちに贈るマンガ雑誌”という文言を、ビーム100の表紙にも入れるので。せっかく増刊を作るわけだし、「ビームってこうだよね」と思っている読者が、「これビーム?」と驚くようなものになる方が、増刊を出す意味がある。ただ、上に企画を通す段階で「これ、ビームか!?」という声もあったので、桜玉吉さんの作品が表紙と4コマで登場します(笑)。
本気 玉吉さんが載っていれば、もうこれは完全にビームですよ(笑)。
──週刊ファミ通に掲載されていた「読もう!コミックビーム」の、単行本未収録作品が再掲載されるそうですね。そちらも楽しみです。最後に、ビーム100の今後について聞かせてください。
岩井 僕はうまくいけば、ビーム100がこれからのマンガ界を変えるかもしれないと思ってるんですよ。今の時代、編集者がインフルエンサー的な役割を持つ側面もあるわけじゃないですか。このマンガも面白いですよって、どんどん言っていかなきゃいけない。今回は本気さんにそれを担ってもらうわけですけれど、「海街diary」を手がけたマンガ編集者が太鼓判を押すマンガだったら、きっと面白いだろうって思うじゃないですか。
本気 とんでもないプレッシャーですね!(笑) 期待にも応えたいし、連載が続いて単行本も売れて、作家さんも読者さんにも喜ばれる作品を作りたいです。
岩井 ビームが、「面白いものを描いてくれるだろう」と作家さんに賭けるように、今回は編集者に賭けているわけです(笑)。将来的にはビーム100の多様なラインを2本、3本と走らせていきたいんです。100ページだと少ない気もしますけど、それが例えば5本になれば500ページ。雑誌ひとつぶんになるじゃないですか。今回だって実験的な部分が多いですし、無料にしたほうがいいんじゃないかとか、100ページという制限を設けないほうがいいんじゃないかとか、いろいろ悩んでいる部分もあります。でも、たぶん正解はどこにもないんですよ。それに、こういうトライ&エラーこそがビームらしさだという気もする。
本気 私は自分が面白いと思うものを、毎回100ページという制限ぎりぎりまで詰め込んでいくだけです。どの作家さんも本当にいい仕事をしてくださっているので、最初から最後までじっくり読んでほしいですね。それが盛り上がって、第2、第3のビーム100につながれば最高です!
- コミックビーム100 Vol.1
- 配信中 / KADOKAWA
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Kindle版
108円
コミックビーム100は、2017年10月6日に月刊コミックビームの増刊として創刊されたWeb雑誌。「100ページで100円」をコンセプトに、ベテラン編集者の本気鈴が責任編集を務め、ビームのスピリットにのっとったマンガを発表していく。創刊号にはファンタジー、動物もの、ラブコメ、エッセイなど7作品が掲載されている。
連載ラインナップ
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- 「反逆のオーバーズ」
- 山城良文
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- 「ワシとゆきさん」
- 青色イリコ
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- 「ピカリちゃんはなかなかしなないっ!」
- 三部ベベ
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- 「ちんちんケモケモ」
- 藤咲ユウ
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- 「ソレまだとっとくの?」
- ねむようこ
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- 「快傑蒸気探偵団 ANOTHER STORY
少年怪盗ル・ブレッド」 - 原作 / 麻宮騎亜 漫画 / 金村連
- 「快傑蒸気探偵団 ANOTHER STORY
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- 「読もう!コミックビーム」
- 桜玉吉
- 岩井好典(イワイヨシノリ)
- 1997年、エンターブレイン(現KADOKAWA)入社。2013年より月刊コミックビームの編集長を務める。
- 本気鈴(ホンキスズ)
- 編集者。これまで編集担当を手がけた主な作品に、麻宮騎亜「快傑蒸気探偵団」、吉田秋生「海街diary」など。