コミックナタリー Power Push - アニメ「バクマン。」

OP曲担当・伊藤祥平×サイコー役・阿部敦 音楽家と声優、異業種の2人が「夢叶」対談

「中の人」いるんだって、初めて気がついた(阿部)

──伊藤さんは10歳からずっとギターを弾いて音楽をやってきて、やっぱり亜城木夢叶みたいに小さいころからミュージシャンになろうと思っていたんですか?

伊藤 漠然と、音楽はずっと続けるだろうなとは思ってました。あ、でも小中学生のころは野球のキャプテンやってるくらい運動好きで、野球選手になりたかったです。サッカー選手にも料理人にもなりたかったけど(笑)。

伊藤祥平

阿部 あはは。子供のころって、まあそんなもんだよね。

伊藤 でも一番熱中したのはやっぱり音楽でした。野球やって、帰って1人部屋にこもってギター弾いて。好きなアーティストのCDをずっと聞いてそれを真似る日々を送ってました。もう1日も休まずずっと弾いてて、学校にもギター持って行ってましたね。でも先生に怒られるんで、掃除箱に隠したりして。

──ほうきとかと一緒に(笑)。

伊藤 はい。それが卒業式の日に持って帰ろうと思ったらなくなってて。

阿部 え、なんで?

伊藤 盗られちゃったんですよ。……今どこにいるんだろう。

──それは残念でしたね。阿部さんは声優になろうと思ったきっかけは何なんでしょう。

阿部 僕、中学入るか入らないかくらいのころに、初めて声優っていう職業を知ったんですよ。「にこにこぷん」を見てても、ぽろりはずっとぽろり自身がしゃべってるんだと思ってて(笑)。

伊藤 あはは(笑)。

阿部 中の人いるんだって、ある日初めて気が付いて。もともと小学校のころからお芝居もアニメや映画も好きだったので、「声優になれたらいいな」って、さっき祥ちゃんが言ってた「野球選手になりたい」と同じレベルで考えてたんですよ。それで高校あたりから演劇部に入りまして。でも、そうは言っても一般企業に就職でしょって思ってたんですよ。

──冒頭のサイコーみたいですね。

阿部 でも大学4年生くらいになっても就職活動なんてしてなくて。そのころ1日だけリアルに就職のこと考えてみたんですよ。就職しちゃったらいろんなしがらみが出てくるし、背負うものも出てくるだろうし。自然の流れで来る人生の分岐点ってこれが最後なんじゃないかって思って。そこから先はたぶん自分で作っていかなきゃならないんだって思ったので、「やろう」ってある日急に決意が固まったんです。

──そこからはまず、どういう行動を?

阿部 まず、親を説得するという行動を……。

──サイコーと全く一緒じゃないですか(笑)。

アニメ「バクマン。」より、サイコー。

阿部 そうなんです! ほんとこれ僕と一緒なんですよ! うちの親厳しかったので大反対されまして、親を説得するのが一番大変でした。

──伊藤さんは親に反対されたりはしなかったんですか?

伊藤 僕はそれはなかったですね。上京して事務所に入ることも、「挑戦してみなさい」ってすんなり受け入れてくれて。自分が小さいころからギター弾いてきてる姿を見てると思うので、いつも背中を押してくれてました。でもそのかわり中途半端で帰ってくるなっていう。

阿部 いいね、それ。

楽しんでたら来ちゃった感じ(阿部)

──そうやって小さいころからギターを弾いたり、演劇に打ち込んだりで、何かを犠牲にしたこともあったのでは?

阿部 ……うーん、なんだろう。恋愛?(笑)

伊藤 あはははは。

阿部 まあ好きでやってたことなので、あんまり何かを犠牲にしたとは思ってないですけど、あえて言えば恋愛かもしれないですね。本当にずっと芝居やってたんで。

写真左から阿部敦、伊藤祥平。

──身を削って努力したというよりは、いつの間にか続いていたというか。

阿部 楽しんでたら来ちゃった感じですね。

伊藤 僕もそうですね。

──それ、一番理想ですよね。サイコーとシュージンは身を削ってる感じがしますけど。

阿部 でも、きっと彼らも楽しいんだと思いますよ。もちろん成功したほうが喜びっていうものはあると思うんですけど、好きだからやってるっていう部分が大きいと思うので。あんまり「楽しい」っていうところ出しちゃうと、上を目指してるっていうところが表現されないから、そういう描写が少ないのかもしれないですけど。でもきっと根底では、2人は楽しんでやってると思いますね。

伊藤祥平「Dream of Life」 / 2011年12月7日発売 / 1000円(税込) / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  • Dream of Life
  • My Friend
  • Music on my mind (one take ver.)
音楽ナタリーPower Pushにて伊藤祥平インタビュー公開中!

アニメ「バクマン。」第2シリーズ / 毎週土曜日 NHK Eテレ 午後5:30から放送中 / DVD1巻 2012年1月25日先行レンタル開始 / セルBlu-ray&DVDは2012年夏発売予定 / ジェネオン・ユニバーサル

あらすじ

ついに、亜城木夢叶としてマンガ連載を勝ちとった真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)。サイコーと亜豆美保が約束した「サイコーのマンガがアニメとなり、そのヒロインに亜豆がなったら結婚」という夢にも大きく近づくかと思われたが…!? 週刊連載に向けての本格始動とともに、担当編集が服部哲から港浦吾郎へと変わった。港浦は果たして「当たり」の編集者なのか? そして、彼の登場が、亜城木夢叶の連載にどのような影響を与えるのか!? さらに、天才・新妻エイジに加え、「エイジ以上」と言われる新人・平丸一也や「福田組」の福田真太、蒼樹紅・中井巧朗らも参戦。そして最高・秋人とは縁の深いあの人物も登場し、激烈なマンガバトルがスタートする! 一方、声優の道をひたむきに進む亜豆にも、トラブルが発生。夢と現実の間にはさまれた亜豆。サイコーと交わした約束を果たすために、亜豆が下した決断とは!? マンガに、恋に、友情に、圧倒的なスピード感で進行する青春群像劇、第2シリーズが開幕!(全25話)

伊藤祥平(いとうしょうへい)

プロフィール写真

1989年7月31日生まれ。福岡県久留米市出身。10歳のころ、知人の影響でギターを弾き始める。エリック・クラプトンをこよなく愛し、クラプトンのルーツを探求していくうち、R&B・SOUL・JAZZや黒人ブルースに魅せられ、ギターテクニックを独学で学んでいく。ルーサー・ヴァンドロス、レイ・チャールズ、デビッドTウォーカー、ラウルミドンなどに影響を受け、作詞・作曲を行い始め、14歳の頃より地元久留米を中心にライブ活動を開始。2009年からは、活動の場を福岡市内や北九州などに広げ、各地のライブハウスやイベントなど精力的に出演していく。上京直前にはワンマンでのライブも開催。当時地元の大学生だった19歳の時に出演した NHK「トンコツTV」(九州福岡の若手アーティスト発掘番組)にてグランプリを獲得。2010年春に上京、東京での活動をスタートさせる。

阿部敦(あべあつし)

プロフィール写真

声優。1981年3月25日生まれ。栃木県出身。2007年に「しゅごキャラ!」の相馬空海役で初めて主要キャラクターを演じる。出演作品は「バクマン。」真城最高役のほか、「亡念のザムド」竹原アキユキ役、「とある魔術の禁書目録」上条当麻役、「BLOOD-C」鞘総逸樹役など。映画の吹き替えや舞台でも活躍中。