コミックナタリー Power Push - アニメ「バクマン。」

OP曲担当・伊藤祥平×サイコー役・阿部敦 音楽家と声優、異業種の2人が「夢叶」対談

真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)のマンガ家コンビを描いた現代版“まんが道”「バクマン。」。大場つぐみ原作、小畑健作画による原作は週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中、アニメは早くも第2シリーズが放送中だ。

コミックナタリーでは、アニメ「バクマン。」でサイコー役を演じる声優・阿部敦と、オープニングテーマ「Dream of Life」でアニメ第2シリーズを盛り上げるアーティスト・伊藤祥平の対談を敢行。「バクマン。」についてはもちろんのこと、「夢」をフィーチャーしたオープニングテーマにちなんで、2人がどのように夢を叶えていったのかを語ってもらった。

取材・文/坂本恵 撮影/中西求
(C)大場つぐみ・小畑健・集英社/NHK・NEP・ShoPro

読み返してキーワードを抜き取りました(伊藤)

──おふたりが会われるのは、今日で何度目ですか?

阿部 3回目くらいですね。

伊藤 ラジオ番組「ラジマン。」の収録と、「バクマン。」の特番のときと。もう「祥ちゃん」って呼んでいただいてます(笑)。

──すっかり打ち解けてる感じですね。ではオープニングテーマのことからお聞きしていきたいのですが、曲を作るときに「バクマン。」を読み込んだりされたんでしょうか。

伊藤 もう3回くらい読みましたね。気になったところは付箋を貼ったりしました。「大切な言葉は何だろう?」って考えて。

写真左から阿部敦、伊藤祥平。

──セリフにインスパイアされて歌詞を作ったり?

伊藤 はい。キーワードを吸い取って、自分の作品に落としこんで。例えば「後悔はしない/自分で描いたストーリー」っていう歌詞は、2巻でシュージンが「夢を追って破れて後悔するなら納得できる/夢を追わなかった事に後悔したくない」っていうセリフからきていたり。(単行本をめくりながら)どこのシーンだったかな……。

阿部 結構、修羅場のところじゃない? シュージンが岩瀬に言うところだよね。

伊藤 あ、そうですそうです。

阿部 そういう話は聞いたことなかったら新鮮だなー。

伊藤 あとは6巻でサイコーが病気で倒れて休載に追い込まれて、編集長に直談判しに行くじゃないですか。

──最近、ちょうどアニメで放送していたエピソードですね。

伊藤 そこで言う「(連載を勝ち取ってから必要なのは)『体力』『精神力』最後は『根性』」ってセリフ。あれなんかもう黄色のマーカーを塗りたくって(笑)。

阿部 あれはグッとくるよねー。俺もアフレコで「気合い入れすぎ」って言われた。

中井さんの恋愛的なところが似てるかも(伊藤)

──阿部さんはアフレコの前に原作を読み返したりするんですか?

阿部 そこはあえて参考程度に留めてます。もちろん同じ作品なんですけど、やっぱりアニメならではの表現ってあると思うんですよ。同じセリフでも文字で読むのと声で聞くのは別ですし、例えばそのセリフにどんなBGMがかかるかで印象も変わってくるでしょうし。

──では参考にするのは登場人物の気持ちであるとか、おおまかな流れだけなんでしょうか。

阿部 そうですね。こういう話で、こういう感情が流れてるんだなというところは押さえておいて。自分の中で固まりすぎちゃうと、演技プランを自分で制約してしまうことになってしまうので。

伊藤が好きだと語る、蒼樹さんが中井さんに傘を差しにくるシーン。

──演技していて、阿部さんがサイコーと似てるなって思う部分はありますか?

阿部 うーん、割と普段ローテンションなところとか(笑)。サイコーはいざやるぞってなるとガッと熱くなったりするんですけど、普段はローで、シュージンのほうがテンション高かったりするじゃないですか。その辺りはちょっと似てるかもしれないですね。

──伊藤さんは、自分と似てると思うキャラクターっていました?

伊藤 中井さんの恋愛的なところとか似てるかもしれない……。

阿部 それってダメなとこじゃない!

伊藤 未練タラタラ、みたいな。僕、中井さんが蒼樹さんの家の前で雪の中原稿描いてるとこに、蒼樹さんが傘を差しにくるシーンが大好きで。

阿部 あそこが中井さんのピークだよね。そのシーンの収録のときも、中井さん役の志村知幸さんに「志村さん、今日がピークですよ!」って声かけてました(笑)。

アニメ「バクマン。」より、サイコー(左)とシュージン(右)。

伊藤 あ、でも今はできる限り亜城木夢叶(作中でのサイコーとシュージンの共同ペンネーム)みたいな、サイコーの努力家なところと、シュージンの計算高いところを合わせたようなのを目指してます。自分も作り手であるので、亜城木夢叶が計算してヒットするものを作っていくところなんかの心境は似てるかなと。あ、ちょっと欲張っちゃいましたかね。

阿部 でもそうだよね。歌詞も曲も自分で作るんだもんね。うん、欲張ってないと思う!(笑)

伊藤祥平「Dream of Life」 / 2011年12月7日発売 / 1000円(税込) / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  • Dream of Life
  • My Friend
  • Music on my mind (one take ver.)
音楽ナタリーPower Pushにて伊藤祥平インタビュー公開中!

アニメ「バクマン。」第2シリーズ / 毎週土曜日 NHK Eテレ 午後5:30から放送中 / DVD1巻 2012年1月25日先行レンタル開始 / セルBlu-ray&DVDは2012年夏発売予定 / ジェネオン・ユニバーサル

あらすじ

ついに、亜城木夢叶としてマンガ連載を勝ちとった真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)。サイコーと亜豆美保が約束した「サイコーのマンガがアニメとなり、そのヒロインに亜豆がなったら結婚」という夢にも大きく近づくかと思われたが…!? 週刊連載に向けての本格始動とともに、担当編集が服部哲から港浦吾郎へと変わった。港浦は果たして「当たり」の編集者なのか? そして、彼の登場が、亜城木夢叶の連載にどのような影響を与えるのか!? さらに、天才・新妻エイジに加え、「エイジ以上」と言われる新人・平丸一也や「福田組」の福田真太、蒼樹紅・中井巧朗らも参戦。そして最高・秋人とは縁の深いあの人物も登場し、激烈なマンガバトルがスタートする! 一方、声優の道をひたむきに進む亜豆にも、トラブルが発生。夢と現実の間にはさまれた亜豆。サイコーと交わした約束を果たすために、亜豆が下した決断とは!? マンガに、恋に、友情に、圧倒的なスピード感で進行する青春群像劇、第2シリーズが開幕!(全25話)

原作:大場つぐみ、作画:小畑健「バクマン。(16)」 / 2012年1月4日発売 / 420円(税込) / 集英社 / Amazon.co.jpへ

伊藤祥平(いとうしょうへい)

プロフィール写真

1989年7月31日生まれ。福岡県久留米市出身。10歳のころ、知人の影響でギターを弾き始める。エリック・クラプトンをこよなく愛し、クラプトンのルーツを探求していくうち、R&B・SOUL・JAZZや黒人ブルースに魅せられ、ギターテクニックを独学で学んでいく。ルーサー・ヴァンドロス、レイ・チャールズ、デビッドTウォーカー、ラウルミドンなどに影響を受け、作詞・作曲を行い始め、14歳の頃より地元久留米を中心にライブ活動を開始。2009年からは、活動の場を福岡市内や北九州などに広げ、各地のライブハウスやイベントなど精力的に出演していく。上京直前にはワンマンでのライブも開催。当時地元の大学生だった19歳の時に出演した NHK「トンコツTV」(九州福岡の若手アーティスト発掘番組)にてグランプリを獲得。2010年春に上京、東京での活動をスタートさせる。

阿部敦(あべあつし)

プロフィール写真

声優。1981年3月25日生まれ。栃木県出身。2007年に「しゅごキャラ!」の相馬空海役で初めて主要キャラクターを演じる。出演作品は「バクマン。」真城最高役のほか、「亡念のザムド」竹原アキユキ役、「とある魔術の禁書目録」上条当麻役、「BLOOD-C」鞘総逸樹役など。映画の吹き替えや舞台でも活躍中。