武井宏之が語る「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」|キャラクターとはどうあるべきかを学べる、最高のエンタテインメント

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」特集

マーベル・スタジオの最新作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」が、4月27日に公開。アイアンマン、スパイダーマン、キャプテン・アメリカなど複数のマーベルヒーローが共闘するクロスオーバー作品「アベンジャーズ」シリーズ第3弾となる本作では、6つすべてを手に入れると世界を滅ぼす力が得られる“インフィニティ・ストーン”を巡り、アベンジャーズと最凶最悪の敵・サノスの壮絶なバトルが描かれる。

ナタリーでは本作の公開を記念し、映画、コミック、お笑いとジャンルを横断した特集企画を展開。コミックナタリーは、4月より「シャーマンキング」の新章を始動させたばかりの武井宏之へのインタビューを実施した。「機巧童子ULTIMO」でアメコミ界の巨匠スタン・リーとタッグを組んだ経験もある武井は、マーベル映画をどう観るのか。また「シャーマンキング」新章へ込めた思いも語ってもらった。

取材・文 / 増田桃子 撮影 / 佐藤類

ヒーローものをどう実写化するのか興味があった

──まずはマーベル作品に惹かれた理由について聞かせてください。

武井宏之

最初はイラストですね。当時、アメリカン・コミック作家のジム・リーが人気で、とにかく絵の上手さに惹かれました。ちょうどマンガ家になったばかりで絵を意識するようになった時期だったので。ただまだ翻訳されているアメリカン・コミック作品が少なくて、マンガを読むと言うよりは、絵を見ている感じでしたけどね。だから特定の作品やキャラクターに思い入れがあるというよりは、なんとなく「カッコいい!」と(笑)。

──ではアメコミが好きで、映画も観てみようと。

いえ、もともとクエンティン・タランティーノとかB級映画が好きなので、普段はエンタテインメント映画はまず観ないんです。興味が沸かなくて。ただマーベル映画はヒーローものの扱いというか、ヒーローものをどう実写化するのか、そのテクニックに興味があって。キャラクターやエピソードをどう処理するのかなと。

──実際にマーベル映画を観たときは、どんな印象を受けましたか。

マーベル映画も、言ってしまえばマンガの実写化じゃないですか。日本の場合はどうしてもコスプレっぽくなるのは避けられないと思うんですが、ハリウッド映画は実写に起こしたときの規模と、何より気合いの入れ方が全然違うなと思いましたね。本当に作品を好きな人たちだけが集まって、すごいものを作ろうとしている情熱を感じました。予算の問題もあるだろうし、気持ちだけあっても思い通りに表現するというのは、なかなかできることではないので。

──では「アベンジャーズ」については?

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」より。

最初に観たときは「うまくやったな」と思いましたね。登場するキャラクターや世界観もさまざまなのに初見でもわかるようにものすごく計算して、うまく作られているなという印象です。特にシリーズ2作目の「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」は素晴らしかった。見せ方が本当に上手で、前知識なしでもわかるように工夫されていたし。

──どの辺りに工夫を感じるのでしょうか。

些細なことの積み重ねですよ。キャラの見せ方、構成、セリフ、仕草、状況、順番……いろんな要素で全然違ってくる。

トニーの暮らしぶりには憧れます

──「アベンジャーズ」シリーズで好きなキャラクターは誰でしょうか。

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」より。

アイアンマンが好きですね。トニー・スタークは非常に共感しやすいキャラクターだなと思います。車とかロボとか建物とか、好きなものも僕と一緒だし。あとは思ったことをなんでも実現できるのが羨ましい。トニーの暮らしぶりには憧れます。扉が自動で開いて、車に乗ったまま地下に入りたいっていう願望が僕にもあって(笑)。ただ回を増すごとにトニーのダメさがどんどん露呈してきて……(笑)。

──確かに……。

たぶんバランスを取るためだと思うんですよ。社長で天才発明家で強くて、もう優れすぎているから。でもあそこまでダメ人間にしなくても僕はいいと思う(笑)。あとはソー。映画の「マイティ・ソー」単体は観ていなかったんですが、「アベンジャーズ」を観て気になりだして。なんとなく優等生っぽいのかなと思って興味が沸かなかったのですが、意外と気さくな兄ちゃんという感じで好きです(笑)。

──ソーのどのあたりに惹かれたんでしょうか。

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」より。

最初はアベンジャーズのメンバーに神様が混ざるのってどうなのと思っていて(笑)。作品を作っている立場からすると、世界設定が全然違うキャラクターを混ぜてもまとまらないんじゃないかって思っちゃうんですよ。だってルールが壊れるじゃないですか。過去とか時空を超えるのはまだ許容範囲なんですけど、さすがに神様はちょっと行き過ぎじゃないかなと(笑)。

──マーベルという括りはありますけど「ドラゴンボール」と「ジョジョ」と「ONE PIECE」が一緒の世界にいるみたいなものですから、普通に作ったら違和感ありますよね。

そうそう。本来は嫌だと思うんですよ。でもまとめるのが上手でした。見事に違和感なくて、これはやってくれたなと。特に「エイジ・オブ・ウルトロン」のソーは、「コスプレした中二病のおっさん」みたいな感じで面白いし、妙に存在感があって、すごく好きになりましたね。

──シリーズの中で、特に印象に残っている場面はありますか。

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」より。

すごいシーンの連続で何かを挙げるというのは難しいんですが、「エイジ・オブ・ウルトロン」のウルトロンが生まれるシーンはハラハラしました。人工知能が成立する、その処理というか表現の仕方が上手いなと。ウルトロンって本来はとんでもない強敵だったと思うんですよ。でもそんな彼にコンプレックスを与えたのが絶妙でした。生みの親を超えられない、生みの親が憎いという感情を持ってしまったことが、彼の弱点になっちゃった。そこが上手でしたね。それに今後、現実世界でも人類が直面するであろうリアルな危機だなと思うと、怖いシーンでもありますね。あとは、基地が好きなので。基地が出てくるシーンは全部好きです(笑)。

──確かに、このお仕事場も基地っぽさがありますよね。

やっぱり憧れがありますよ。トニー・スタークの基地とか、理想ですね。もっと稼げたら僕の仕事場もあんなふうにしたいです(笑)。

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
2018年4月27日(金)全国公開
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
ストーリー

6つすべて手に入れると、全宇宙を滅ぼす無限大の力を得るインフィニティ・ストーン。それを狙う最凶にして最強の敵・サノスを倒すため、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、スパイダーマンらがヒーローチーム“アベンジャーズ”として集結。人類の命運をかけた壮絶なバトルが幕を開けるとき、アベンジャーズ全滅へのカウントダウンが始まる……。

スタッフ / キャスト

監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

脚本:クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー

出演:ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチ、ドン・チードル、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、ポール・ベタニー、エリザベス・オルセン、アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、トム・ヒドルストン、イドリス・エルバ、ピーター・ディンクレイジ、ベネディクト・ウォン、ポム・クレメンティフ、カレン・ギレン、デイヴ・バウティスタ、ゾーイ・サルダナ、ヴィン・ディーゼル(声)、ブラッドリー・クーパー(声)、グウィネス・パルトロウ、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、クリス・プラット

電子書籍「SHAMAN KING」
KC完全版①~⑩巻
2018年5月1日より刊行開始
以降、毎月1日に5巻ずつ刊行予定
「SHAMAN KING」
武井宏之「猫ヶ原④」
2018年5月17日発売 / 講談社
武井宏之「猫ヶ原④」

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武井宏之「猫ヶ原⑤」
2018年5月17日発売 / 講談社
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武井宏之(タケイヒロユキ)
武井宏之
1972年5月15日青森生まれ。1996年、週刊少年ジャンプWinter Special(集英社)にて「デスゼロ」が掲載されデビュー。1997年に週刊少年ジャンプにて「仏ゾーン」で連載デビューを果たす。1998年より同誌にて連載された「シャーマンキング」は、テレビアニメ化、ゲーム化もされた。そのほか代表作品に「ユンボル-JUMBOR-」「機巧童子ULTIMO」(original story:スタン・リー)「猫ヶ原」など多数。現在、少年マガジンエッジ(講談社)にて、「シャーマンキング」新章を連載中。

2018年5月2日更新