BASS
的場航海(CV:前田誠二)
文学部の1年生。兄がバンドをやっていたことから興味を持ってベースを始める。慎重な性格で、ポジティブに話を進めようとする結人を諌めることもしばしば。
「BanG Dream!(バンドリ!)」発のボーイズバンドプロジェクト「ARGONAVIS from BanG Dream!」の一環として、TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」が4月より放送中。キャストには演技はほぼ初挑戦だという伊藤昌弘をはじめ、日向大輔、前田誠二、森嶋秀太、そして2.5次元舞台で活躍する橋本祥平が名を連ねている。
コミックナタリーではアニメの放送を記念し、キャストの伊藤と橋本、シリーズ構成・脚本を担当する毛利亘宏にインタビューを実施。劇団・少年社中の創立メンバーとして現在まで全作品を手がけているほか、特撮ドラマの脚本も数多く執筆する毛利に、初めてアニメ脚本のオファーがあった意外な理由とは? 伊藤と橋本には、感謝しきれない毛利との関係から、バンドの練習方法や楽曲、自分たちだけの強みについて語ってもらった。
取材・文 / 西村萌 撮影 / 曽我美芽
BASS
的場航海(CV:前田誠二)
文学部の1年生。兄がバンドをやっていたことから興味を持ってベースを始める。慎重な性格で、ポジティブに話を進めようとする結人を諌めることもしばしば。
DRUMS
白石万浬(CV:橋本祥平)
商学部の1年生。借金で経営の傾いた実家の酪農場を建て直すために、バンドで一旗揚げて大金を稼ぎたいと思っている。合理主義だが、バンド内では明るいムードメーカーポジション。
VOCAL
七星蓮(CV:伊藤昌弘)
法学部の1年生。子供の頃に見た野外ライブの興奮を忘れられず、いつか大きなステージに立つことを夢見て歌を始める。普段は大人しいが、音楽のためならどこまでも熱い。
KEYBOARD
桔梗凛生(CV:森嶋秀太)
政治経済学部の1年生。幼い頃から何をやっても万能で、特に野球選手として将来を期待されていた。しかしケガで野球の道は断念。あまり感情を顕にしないが、音楽に本気で取り組もうとする。
GUITAR
五稜結人(CV:日向大輔)
文学部の1年生。函館の名家に生まれたが、優秀な兄たちにコンプレックスを抱き音楽活動に没頭する。ポジティブさと自信によって、力強くArgonavisを牽引していく。
舞台は北海道・函館。主人公の七星蓮は、いつか歌手として大きなステージに立つという大きな夢があった。しかしコミュニケーションが苦手なため、大学では孤独な生活を送る日々。今日も1人カラオケをしていたところ、その歌声を聞いた結人と航海にバンドのボーカルにならないかと強く誘われ……。さらに個性豊かなメンバーが加わり、“Argonavis”としてのバンド活動がスタートする。
MBS・TBS系全国28局ネット「スーパーアニメイズム」枠にて、毎週金曜25時25分より放送中。
スマートフォン向けリズム・アドベンチャーゲーム。東京で開催されている、日本全国のアマチュアバンドの頂点を決める「ライブ・ロワイヤル・フェス」。全国から集まったバンド、Argonavis、GYROAXIA、Fantôme Iris、風神RIZING!、εpsilonΦが、このフェスで熱い戦いを繰り広げる。シナリオ原案・監修を毛利亘宏が担当。
2020年後半にリリース予定。公式サイトでは事前登録も受け付けている。
──まずは「ARGONAVIS from BanG Dream!」プロジェクトに参加するまでの経緯を教えていただけますか?
伊藤昌弘 僕はもともと、シンガーソングライターとして活動していて。数年前に上京してきて、年齢もあってもうこれが最後かもなんて思いながら日々仕事をしてたんです。そんなときに「ARGONAVIS」のスタッフさんが、僕がYouTubeにアップしてたカバー動画をたまたま見つけてくださったそうで。
毛利亘宏 ボーカルがなかなか決まらなかったんだよ。でもある日、「よさげな子がいたんです!」って盛り上がって(笑)。
伊藤 演技もほぼしたことがない状態でしたけど、今まで自分がやってきたことを活かせる場所だなと。新しい世界にワクワクしましたし、ここでお話をいただけたことにすごく縁を感じました。
橋本祥平 僕もたぶん伊藤ちゃんと似てるんです。3年ぐらい前にWOWOWさんの番組にゲストで呼んでいただいたんですけど、それがゲストにいろんな挑戦をさせてくれるという番組で。何をやりたいかって考えたときに、学生の頃にほんの少しだけ叩いていたドラムをイチから学びたいなと。そこで、つのだ☆ひろさんに教えていただくというロケをさせていただいたんです。おそらくスタッフのどなたかがその番組をご覧になって、このプロジェクトにお声がけいただいたのかなって思います。
伊藤 それもすごいね!
橋本 でも、もうすっかり叩ける人間だと思われてたら申し訳ないなって(笑)。だから今日に至るまで死ぬ気で練習してます……!
毛利 大変だねえ(笑)。
──毛利さんは劇団・少年社中の一員として全作品を手がけながら、特撮作品の脚本も数多く執筆されていらっしゃいます。アニメの脚本は「アルゴナビス from BanG Dream!」が初めてですが、オファーの理由って伺っていらっしゃいますか?
毛利 実はね、僕が脚本を書いた「Messiah メサイア」シリーズが大好きだっていうスタッフがいるんですよ(笑)。
伊藤・橋本 あっ、そうなんだ!(笑)
毛利 そのスタッフが、男同士の友情とか、濃い関係のドラマといえば俺がいいんじゃないかって抜擢してくれたみたい。
──そうだったんですね。オファーがきたときのことは覚えていらっしゃいますか?
毛利 もともと純粋にアニメが好きだったので、いつかやってみたかったことにようやく手が届いたなと。だけど軽音楽にあまり触れてこなかったので、最初にバンドものだって聞いたときは戸惑いもありました。でも脚本を書いていくうちに、要は自分が若手劇団員だったときのことを思い出せばいいんだなって。ガムシャラだったり苦しかったり、なぜか無駄に自信だけはあったり……(笑)。そんなあの頃を振り返って、赤裸々に向かっていこうという気持ちになりましたね。だから「アルゴナビス」は、来るべくして来た初めてのアニメ脚本だったんだろうなあと思います。すごくストレートに自分の感情が書けたのでうれしかったですね。
橋本 舞台と特撮とドラマ、そしてアニメの脚本もって……もう制覇じゃないですか。
毛利 だけどさ、脚本ってそれぞれこんなに違うんだ!って。特撮のときも舞台とだいぶ文法が違ったので苦労したけど、特撮ももう100本以上書いたし、その文法があれば今回のアニメもいけるだろうって思ってたんだよ。でも、全然そんなことねえのな!(笑) 僕は舞台でもト書きはほとんど書かないタイプで、特撮でも登場人物の感情面はわりと監督におまかせしてるんです。特に撮影スタート時点では初めて演技するような役者が多かったりするから、あまり長いセリフは書かないようにしていて。変身して戦うところを長々と書いても、結局は現場次第だしね。でもアニメは、キャラクターの心情や行動をすべてト書きにしなきゃいけない。絵になることはすべて書かないとアニメーターさんに伝わっていかないんです。きっとアニメの脚本を書く作業って、小説家に近いんだろうなあ。描写をすごく丁寧に丁寧にしていくっていうね。
──橋本さんの芸能界入りのきっかけは、毛利さんが脚本を担当した「薄桜鬼 斎藤一編」を観てだったそうですね。
橋本 そうなんですよ! だから毛利さんのおかげで僕はここにいると言っても過言じゃございません!
毛利 ははは、そんなことはないよ(笑)。でも祥平はすごいね。「薄桜鬼」シリーズにも出てもらったけど、最初は学生でバイトとして入ってたんだよね? それから「薄桜鬼」で主演をやっていた松田凌と同じ事務所に入って、もうスター街道まっしぐら!
橋本 いやいやいや(笑)。でも今回、「ARGONAVIS」で毛利さんとまたご一緒できたことが本当にうれしいです。最初は知らない世界に飛び込むっていうのですごく不安でしたけど、いざ現場に行ったら「あれ、毛利さんいる! やったー!!」って(笑)。
毛利 縁だねえ……。でも祥平と久しぶりに仕事を一緒にしてみて、腕はずいぶん上がったけど、お調子者で明るいところは昔っから変わってないね。
橋本 あはは(笑)。
毛利 この前も舞台の稽古場で裸になってたし。
橋本 ちょっとー、言わないでくださいよ! あ、全裸じゃないですからね!(笑)
毛利 新型コロナウイルスの影響で舞台が中止になるかもしれないとなってみんなが落ち込んでるときも、祥平が1人道化になって盛り上げてくれる。ありがたいけど、それは主演の仕事じゃないぞ!ってね(笑)。
橋本 進んでやっちゃうんですよねえ。
毛利 でもやっぱりそういうところが人に愛される理由だろうし、僕も大好き。
──毛利さんと伊藤さんは今年1~2月に上演された少年社中の舞台「モマの火星探検記」でご一緒されましたね。
毛利 ほとんど演技経験もない状態だったから、ちょっとでも助けになれたらなって出演をお願いしました。昌はね、歌と同じで演技もまっすぐ!
伊藤 まっすぐ以外の球は投げられないんです(笑)。
毛利 いやあ、いいストレートくるなあって思ったよ。
伊藤 僕はもともと舞台の鑑賞経験っていうのが、中学高校の芸術鑑賞会ぐらいで止まっていて。このお仕事をさせていただいてから、初めてきちんと観た舞台が少年社中さんの「トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~」だったんです。そこで舞台の熱量だったり、感動ってこうやって生まれるんだということを教えていただいて。まさか、自分もこんなに早く舞台に上がらせていただけるとは思ってもなかったです。
毛利 アニメとかドラマに比べて、舞台って役者同士が濃密にコミュニケーションをとって作られていくからね。昌が今このタイミングで、いろんな役者を見たらきっと糧になるだろうなって思ったんです。
伊藤 実際に稽古でも、僕の演技に対して共演者の方がたくさんアドバイスをくれるんです。台本に書かれてないことも想像して、キャラクターへの理解を深めていく。役作りってこうやってやるんだ!って学びました。しかもその作業って終わりがないじゃないですか。だからこそ、1つの舞台でも毎日表情が違って見える。そんなところがライブとも似ていて、生モノってやっぱり素敵だなと感じました。
橋本 僕も、大好きなバンドメンバーの伊藤ちゃんが舞台に出演することがうれしかったんです。今までは自分がアニメの畑にお邪魔させてもらってたけど、今度は伊藤ちゃんが舞台のほうに来てくれるんだって。だから最初に話を聞いたときから、「伊藤ちゃんが舞台に立ってる姿、絶対に観に行こう」ってずっと決めてました。実際に舞台を観させていただいたけど、本当にまっすぐなお芝居だったね。
伊藤 ありがとう……! 祥平ちゃんが控え室に来てくれたときはめちゃくちゃうれしかったよ。どんなふうに観てくれたんだろうっていう不安もあったけど、やっぱり自分にとってのホームが祥平ちゃんだから安心した。
橋本 はは、照れるね(笑)。
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俺にとってはただの“ダダンッ”でしかないけど…(橋本)
2020年4月30日更新