「恋の門」の羽生生純が作画を、「ニンジャスレイヤー」のダイハードテイルズ(本兌有・杉ライカ)が原作を手がける「アラタの獣」。月刊コミックビーム(KADOKAWA)にて連載中の同作は、2030年の東京湾市を舞台に、異形化ヤクザの集団・箆鮒會(ヘラブナカイ)との戦いに身を投じていく女・黎(レイ)と奇妙な少年・新(アラタ)を描くバトルアクションだ。
コミックナタリーでは「アラタの獣」1、2巻の発売を記念し、特集を展開中。第2回では、TRIGGERの雨宮哲、映画監督の片桐健滋、芸人・俳優の片桐仁、女優の酒井若菜、BOOM BOOM SATELLITES / THE SPELLBOUNDの中野雅之、大人計画の松尾スズキ、アーティスト・女優の光宗薫、声優・森川智之、キュウソネコカミのヤマサキセイヤに作品を読んでもらい、感想を寄せてもらった。
「アラタの獣」ストーリー
舞台は2030年、東京湾市。異形化ヤクザの集団・箆鮒會(ヘラブナカイ)のシマ、希望捨(キボウステ)ストリートの片隅で、会社員の泊黎(トマリレイ)は満たされぬ本能を満たすように、夜な夜なカラダを売っていた。ある夜、奇妙な少年・新(アラタ)と出会ったことから彼女は闘争の獣となり、箆鮒會との壮絶な戦いを繰り広げることとなる。
「アラタの獣」を読んだ著名人9人からコメントが到着!
雨宮哲(TRIGGER)
衝動を感じられる素晴らしいお話だと思います。作画もセオリーより感情を優先していて、キャラクター達が生き生きと殺し合いをしてくれます。
そんな殺伐とした中、黎がサイドカーから見た太陽など、一瞬映画のような雰囲気が垣間見えるのがとても好みだったりします。もう戻れない日々が儚く沈んで、黎は人間をやめる。
人間をやめて獣に追われる獣になるのも、そんなに悪い人生ではない気がします。
好きなキャラクター
プロフィール
雨宮哲(アメミヤアキラ)
アニメーター、アニメーション監督。TRIGGER所属。アニメーターとして「天元突破グレンラガン」「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」に参加後、「宇宙パトロールルル子」で第2監督を務める。監督作として「インフェルノコップ」「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」「SSSS.GRIDMAN」「SSSS.DYNAZENON」がある。
片桐健滋
全くもって先の読めない展開で、頭の中が渋滞しています!
出てくるキャラクターが濃いうえに、それぞれの過去も謎に包まれていて、
しかも、複雑に絡み合うストーリーもある! そりゃ、面白くない訳がない!
この疾走感を映画化ってなっても、日本じゃ、出来る人いないよなあって
思って、毎月楽しく拝読させていただいています。
なんだろ? このみたことない感!
好きなキャラクター
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史人(シビト)
飄々とした雰囲気が大好きですね。
大事な時にはぐらかし、大したことない時に大事なことをいう感じ。
頼りにしていいのか、ダメなのかもわからない。
でも、なんかかなり重要な秘密を握ってるんだろうなあと感じています。
勝手に、今後のキーになるとか思ってます。
黎とアラタのトリオがどうなっていくのかワクワクしています。
プロフィール
片桐健滋(カタギリケンジ)
監督・脚本家。1979年6月6日、大阪府出身。2000年に渡仏し、フランソワ・トリュフォーの編集で知られるヤン・デデに3年間師事。帰国後、崔洋一、豊田利晃、廣木隆一監督らの助監督を経て、2018年に「ルームロンダリング」で劇場監督デビュー。同作はTVドラマ化や、羽生生純によるコミカライズもされた。そのほか監督作に、映画「酔うと化け物になる父がつらい」など。
片桐仁
最初のページから、野生味のあるタッチと、見たこともないエロス&バイオレンスの世界にやられっぱなしでした。
東京湾市での、極道の戦いの話かと思いきや、謎の存在「斌(ヒン)」の能力者達との壮絶バトル!
異世界転生マンガばっかり読んでる人間としては、テンプレ展開とは程遠い場所につれて行かれる感じにヒリヒリします!
そのど真ん中にいる若い女性と子供が主人公。この2人がどうやって極悪な箆鮒會をぶっ潰すのか潰さないのか? 「今後はこうなるんじゃないか?」という想像を超えた、もっと宇宙的な展開になるのか?
楽しみです。
好きなキャラクター
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黎(レイ)
いわゆる女主人公のもつ処女性とは程遠い、泊黎に度肝を抜かれました。何故、体内に獣を宿すようになったのか?
そして、タイトルの“アラタの獣”こそが黎であるならば、今後アラタとはどういう関係になるのか? 気になります。
プロフィール
片桐仁(カタギリジン)
1973年11月27日生まれ、埼玉県出身。多摩美術大学在学中に小林賢太郎とラーメンズを結成。現在はテレビドラマや舞台を中心に活躍しながら、エレキコミックとのユニット・エレ片で年に一度コントライブを行っている。粘土造形家としても知られ、全国で個展を開催。「片桐仁粘土道大百科」などの作品集も出版している。
片桐仁 (Katagiri Jin) | 株式会社トゥインクル・コーポレーション
酒井若菜
不思議なかっこよさがある作品だと思いました。最初は、2030年設定でもまだ女性はこんな感じで描かれてしまうのか……と、この物語に訝しい視線を送ってしまいました。が、とんでもない。あっという間に覆されました。めちゃくちゃかっこいい。主人公の本性が多面的で面白いと思いました。「本性、めくるめく。」という印象です。
好きなキャラクター
プロフィール
酒井若菜(サカイワカナ)
1980年9月9日生まれ、栃木県出身。2002年に放送されたドラマ「木更津キャッツアイ」のモー子役で話題を呼び、数々のドラマや映画で活躍する。主な出演作にドラマ「Mother」「透明なゆりかご」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」、NHK連続テレビ小説「マッサン」、映画「木更津キャッツアイ・日本シリーズ」「恋の門」「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」「遺体~明日への十日間~」などがある。2008年には小説「こぼれる」を発表し、作家デビューを果たした。そのほか著書に「うたかたのエッセイ集」「心がおぼつかない夜に」「酒井若菜と8人の男たち」など。毎週日曜日に自身が編集長を務めるWebマガジン・&Qを発行している。
中野雅之
(BOOM BOOM SATELLITES / THE SPELLBOUND)
本兌さん 杉さん大変ご無沙汰しております。
SF、サイバーパンク、任侠の過去作品への敬愛とオマージュ、パロディの連続で大笑いしながら読ませていただきました。設定は現代のようですが、喧騒と熱気なのか、全体的に80年代後半から90年代初頭の香りがしました。どんな音楽が鳴っているのか、架空のサウンドトラックを想像すると楽しかったです。また何かご一緒できたら良いですね。
入り口でB級SFホラーと油断させておいて、いつの間にか舞台が宇宙や神々の領域へ突入……みたいなとんでも展開がいつ起きてもおかしくなさそうな雰囲気でドキドキしますね。路地裏から宇宙まで、なんてロマンチックです。これから先の展開も楽しみにしています!
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プロフィール
中野雅之(ナカノマサユキ)
1997年にヨーロッパでデビューした川島道行と中野雅之からなるロックバンド・BOOM BOOM SATELLITESのメンバー。エレクトロニックサウンドとロックを融合させた独自の音楽性で、類をみないオリジナリティを誇示している。2004年には映画「APPLESEED」の音楽を手がけ、その後もさまざまな映画やアニメに楽曲を提供。2015年にはアニメ「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」にメインテーマとして「BACK IN BLACK」を提供した。2016年10月に川島道行が脳腫瘍により逝去。バンドとしての活動が終了する。BOOM BOOM SATELLITESの活動停止後、プロデュース、コンポーズ、アレンジ活動を本格的に開始。中野ミュージックを立ち上げ、さまざまなアーティストのプロデュース、楽曲提供などを手がける。2021年1月にTHE NOVEMBERSの小林祐介とロックバンド・THE SPELLBOUNDが始動。2022年2月に1stフルアルバム「THE SPELLBOUND」をリリースした。