2025年1月より放送されるTVアニメ「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」は、実力派赤魔道士と駆け出しパーティによる“配信系ダンジョン攻略ファンタジー”。仲間たちからバカにされ堪忍袋の緒が切れたユークが、5年間在籍したAランクパーティを離脱したことから物語が展開される。
コミックナタリーではアニメの放送に先がけ、同作で配信用魔法道具(アーティファクト)・キャメラット君を演じる乃木坂46・田村真佑のインタビューを実施。アニメ好きとしても知られる田村に、憧れていた声優仕事への思いや、「エパリダ」の魅力、キャメラット君を演じるうえでの苦労などを語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 曽我芽美
TVアニメ「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」PV
メンバーが私の分まで喜んでくれました
──田村さんはもともとアニメが大層お好きなんだそうですね。
はい、大層お好きです(笑)。
──そういう方からすると声優のお仕事は念願だったのか、逆に好きすぎてあまりやりたくないものだったのか、感覚としてはどちらに近いですか?
アニメを好きになった当初は「声優さんになりたい!」と無邪気に思っていたんですけど、好きになればなるほど声優さんの大変さや技術のすごさを理解できるようになっていって。なのでおっしゃったように、だんだん「私なんかにできることじゃないかも」と思うようになっていきましたね。
──それが今回声優を務めることになって、心境としてはいかがでした?
もちろんうれしい気持ちもありましたし、ずっと好きだったアニメに自分が声を吹き込むことができる喜びはとても大きかったです。ただそれと同じくらい、「私が関わることで世界観を壊してしまわないだろうか」という不安もありました。私にとっては初めての挑戦ですし、周りはプロの皆さんばかりなので、「自分の声ひとつで視聴者の方が一気に現実に引き戻されちゃったらどうしよう?」って。
──確かに、出演する以上は同じプロとして対等に渡り合わないといけないわけですもんね。
やっぱりプロとして声優をやられている方って、声の出し方ひとつ取っても全然違うんですよ。私たちが普段しゃべっている声とはまったく違うと思うので、その中に自分が入って大丈夫なのかなって不安はありました。
──乃木坂46のメンバーには声優経験のある方もいらっしゃると思いますが、何かアドバイスをもらったりは?
アドバイスはもらってないですね……最近だと3期生の伊藤理々杏さんが声優に初挑戦されたアニメを観させていただいたんですけど、もともとアニメが大好きな方でもありますし、すごく上手にやられていて。「こんなに上手な人が先に出ちゃって、私ガッカリされないかな?」って逆に不安になってしまったくらいでした。
──助言を求めるにはうってつけの相手にも思えますが……。
なんかもう、私が一方的に褒めちぎって終わっちゃいました(笑)。
──田村さんの声優挑戦が決まったとき、周りのメンバーからはどんな反応がありました?
私がすごく不安がっていたのとは対照的に、同じ4期生の賀喜遥香と弓木奈於がものすごく喜んでくれて。「絶対観るからね!」とか「すっごい楽しみ! なんなら一緒に練習する?」みたいに、私が素直に喜べなかった分まではしゃいでくれました(笑)。
──田村さん以上に前のめりで(笑)。
そうなんです(笑)。それがすごくうれしかったですね。
いろんな楽しみ方ができる作品だなって
──「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」という作品自体については、どんな印象を受けましたか?
私はもともとこういう冒険ファンタジーがすごく好きでよく読んでいたんですけど、今まで読んできた作品とはまたちょっと違って、異世界ファンタジー作品なのに現代っぽい要素もあるんです。この世界には「冒険配信」という文化があって、それこそ私が演じるキャメラット君はその配信をするための魔法道具(アーティファクト)なんですね。「ダンジョン攻略やモンスターとの戦闘を映像で記録したり生配信する」みたいな設定って、私は今まで読んだことがなかったなと思って、面白くてサクサク読み進めちゃいました。
──今は一般の人でもSNSを通じて映像配信をする習慣が当たり前にあったりしますし、自分ごとのように共感できる読者や視聴者も多いでしょうね。
そうですね。あとは、主人公のユークをはじめとするキャラクターたちの成長も見どころだと思います。見ていて「がんばれ!」って応援したくなる子たちがたくさん出てくるので、どの子も推しになっちゃいました。迫力ある戦闘シーンだけじゃなくて、ほのぼのしたシーンもあるし、ちょっと胸キュンな展開もあったりして、いろんな楽しみ方ができる作品だなって。
──特にお気に入りのキャラクターはいますか?
2人いるんですよね。ジェミーとネネが好きで……ジェミーは最初ちょっと嫌な子なんですけど、お話が進むにつれて変わっていくんですよ。
──一番ずるいパターンのやつですね。
ですよね(笑)。もう1人のネネはとにかくしゃべり方が好きで、「○○っす!」みたいな口調がいいんですよね。アフレコ現場でも生で聴いたんですけど、もうすっごいかわいくて! 私がもともとネコ耳とかの獣人キャラが好きっていうのもあって、すごく惹かれたキャラクターです。
「動いている音を声で出す」とは……?
──田村さんが演じたキャメラット君については、どんなキャラクターという認識ですか?
このアニメの中では、マスコット的なキャラクターなのかなと思っています。例えば激しい戦闘シーンの後とかでも、キャメラット君が何か一言しゃべるだけで場がちょっと和むような、そんな存在ですね。ピリッとしたシーンでも緊張感を和らげる役割なのかなと思います。
──いい意味で空気を読まずに。
配信用の魔法道具(アーティファクト)ということもあって、そんなに感情が揺れ動くようなキャラクターではないですし、セリフも基本的には「配信開始」とかの事務的なものが多いんです。その中で、ちょっとした抜け感のようなものを出せたらいいのかなと思って臨みました。
──実際にキャメラット君を演じてみて、苦労したポイントなどは?
やっぱり魔法道具(アーティファクト)という無生物のキャラクターだからこそ、どこまで感情を入れるべきなのかが最初はなかなか掴めなかったです。眠そうな声を出したり、驚いたりするシーンもあるんですけど、「これってどういう感情なんだろう?」って。音響監督さんからは「かわいらしいキャラクターだから、楽しんでやってもらえたらいいよ」と言っていただいたので、とにかく楽しく演じることを心がけました。
──確かに、声優初挑戦の方が人間ではない役を演じるというのはなかなかハードルが高いかもしれませんね。
あと、「セリフのない、動いているだけのカットにも何か音を入れてほしい」というご指示をいただいて、アドリブでやってみたりもしました。最初は「動いている音を声で出す」というのが難しすぎて(笑)、「果たしてこれで合っているのだろうか?」と思いながらではあったんですけど……。
──先ほどスタッフさんに伺ったところによると、当初は田村さんにそれをやってもらう予定はなかったそうですね。
え! そうだったんですか?
──田村さんのお芝居を見たうえで、「これだけキャラを掴んでいるなら、セリフ以外もやってもらおう」という話になったみたいです。
そうだったんですね……そんなふうに思っていただけたのであれば、とてもうれしいです。
次のページ »
“逆さんまさん”やってます