ナタリー PowerPush - 坂道のアポロン
菅野よう子、小玉ユキ、渡辺信一郎 現場では聞けなかった質問交換会
質問です!渡辺信一郎→小玉ユキ
「好きな文学作品、作家はなんですか?」
──まず渡辺監督から質問をいただいているのですが、「好きな文学作品、作家はなんですか?」。
ええ!? 文学作品……ですか?
──これ、渡辺監督は菅野さんと小玉さんに共通の質問をしていて。おふたりとも文学少女な雰囲気があるからだということらしいんですが。
えー、全然違いますよー! なんですかね……、向田邦子とかはハマってましたね。短編小説がすごく好きで。あの切れ味がたまらなくて、鳥肌を立てながら読んでました。短編の潔さとかは影響されてるのかもしれない。
──「アポロン」の最終回も、すごく潔いなと思いました。ずるずると引き伸ばすことなく、すっきりとした感じでした。
こうでしたって言ったら、もうぱっと終わりたいっていうのはあったかもしれないですね。「あとちょっと読みたかったな」くらいの気持ちのほうが好きで。要素としては結構盛りだくさんにしたつもりですけど。
質問です!菅野よう子→小玉ユキ
「結末っていつの時点で決めるの? 最終回の締め切りに考えるの?」
──菅野さんからの質問は、まさに最終回についてです。「結末っていつの時点で決めるの? 最終回の締め切りに考えるの?」。
「アポロン」について言うと、連載の途中で考えつきましたね。前半、2巻くらいかな? こんな終わり方どうかなっていうのがふっと出てきて。完全に全部その通りになったわけではないですけど、着地点は同じでした。
──最初から決めていたわけではないんですね。
そうですね、最初から考えていたわけではないです。連載スタートのときは、まだよくわからないまま始めて。描いてるうちにちょっとずつそのキャラクターや関係性が見えてきて。
──最終回を描いてるときの状況って、どんな感じだったんですか?
一心不乱に描いてました(笑)。別に「これで来月からこの子たち描かないんだ。お別れだ」みたいな気持ちがあんまり湧いてこなくて、普通に「がんばらなきゃ」って思って描いてましたね。特別な回だっていう気持ちはあったんですけど、寂しさとかはあまり感じなかったです。楽しく描いてたら終わったっていう。
──感極まったりする方もいらっしゃると聞いたことがありますが、あっさりだったんですね。
あ、でも「アポロン」の前の「羽衣ミシン」は5話しか描いてなかったのに、私、最終回ボロボロ泣きながら描いてたんですよ(笑)。「あー、お別れだー」って言って。「アポロン」なんて全45話だから、私はいったい何倍の涙を流すんだよって思ってたけど、意外とそんなことなくて。
──まだアニメがあるから、あんまり実感がないのかもしれないですね。
そうかもしれないですね。あと番外編を描くっていうのも決まってたっていうのもあるかもしれないけど、びっくりするくらい落ち着いてました。なんかまだ不思議な感じです。
オンエア情報
初回放送:2012年4月12日(木)25:10~
以降毎週木曜24:45~フジテレビ「ノイタミナ」にて放送。ほか各局でもオンエア。
原作:「坂道のアポロン」小玉ユキ(小学館「月刊flowers」連載)
監督:渡辺信一郎
脚本:加藤綾子・柿原優子
キャラクターデザイン:結城信輝
総作画監督:山下喜光
音楽:菅野よう子
アニメーション制作:MAPPA/手塚プロダクション
本年、第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞したマンガ「坂道のアポロン」を、アニメ業界随一の音楽通で知られる渡辺信一郎監督が渾身のTVアニメ化!さらに、映像音楽業界で第一線を走り続ける菅野よう子が作品の音楽をトータルプロデュース!ジャズの名曲と共に、60年代のどこまでも純粋で眩しい青春がよみがえる!
収録楽曲
1. KIDS ON THE SLOPE / 2. Chick‘s Diner / 3. Moanin‘ / 4. Bag‘s Groove / 5. Blowin' The Blues Away / 6. Satin Doll / 7. YURIKA / 8. Rosario / 9. Curandelo / 10. Transparent / 11. Run
CD収録曲
- アルタイル
- アルタイル<backing track>
初回限定盤収録内容
Music Video収録DVD
初回盤/通常版共通特典
小玉ユキ先生 描き下ろし「坂道のアポロン」オリジナル・ジャケット仕様
小玉ユキ(こだまゆき)
9月26日長崎県生まれ。2000年にCUTiE comic(宝島社)にて「柘榴」でデビュー。2002年、Vanilla(講談社)にて「Beautiful Sunset」が第2回プレVanilla登竜門金の獅子賞を受賞。2004年、月刊flowers(小学館)にて「マンゴーの涙」を発表する。2007年から2012年にかけて「坂道のアポロン」を同誌に連載し、第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞した。