鴨志田一のエンタメノベル「青春ブタ野郎」シリーズを原作とした劇場アニメ「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」が、6月23日に公開される。これまでTVシリーズ全13話と劇場アニメ1本が制作されてきた「青春ブタ野郎」シリーズ。「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」では、主人公・咲太の妹である花楓にフォーカスした物語が展開される。
コミックナタリーでは劇場公開を前に、日向坂46に所属するアニメ好きの高瀬愛奈と山口陽世の対談をセッティング。これまでのシリーズの見どころや好きなキャラクター、劇場アニメに寄せる期待から、青ブタヒロインを日向坂46メンバーに例えるなら?といった質問まで幅広く語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 武田真和
アニメ好きだったとは知らなかった
──今日は日向坂46から、アニメ好き代表としておふたりにおいでいただきました。
山口陽世 私、愛奈さんがアニメ好きだったって知らなくて。意外でした、すごく。私はいつも同期の髙橋未来虹とか、先輩の丹生明里さんとかとアニメの話で盛り上がったりしてるんですけど……。
高瀬愛奈 私は普段、そんなにメンバーとアニメの話をするほうでもないので。たまに何かアニメの映画が話題になっているときに、同じ一期生同士で「あれ観た?」とか話し合ったりするくらいなんですよね。
──そうなんですね。では、おふたりにはぜひ今日からアニメ仲間になっていただいて。
山口 今日から(笑)。そうですね。
高瀬 情報交換していきたいと思います。
──今回お話しいただく「青春ブタ野郎」シリーズは、“思春期ファンタジー”と銘打たれているんですが、おふたりは好きな作品の傾向はあったりしますか?
山口 一番好きな作品が「進撃の巨人」なんですけど、内容がけっこう難しいじゃないですか。そういうものを自分の力だけで読み解いていくのはちょっと苦手なので、とりあえず観てみてから、後で人の解説動画を観たりして「ああ、そういうことだったんだ」と改めて理解するような楽しみ方をしています。
高瀬 私はけっこう陽世とは逆で、わかりやすい日常系の作品が好きで。自分の身にも起こりうる感じの、共感できるタイプのアニメをよく観ますね。それこそ「青ブタ」もそうですけど。
──「青ブタ」が身近に起こりうる話かというと、ちょっと疑問も残りますが(笑)。
高瀬 確かに(笑)。起こりうるかはわからないですけど……。
──キャラクターに感情移入しやすい作品がお好きということですよね。
高瀬 そうですね。
アイドルだからこそ共感できるところがある
──「青ブタ」との出会いについても教えてください。
高瀬 私はTVアニメが放送されていたときに観てハマりました。特に、麻衣さんに共感できる部分がけっこうあったりしたので。
──「誰からも認識されなくなったら、自分もバニーガールの格好をするかもしれないな」とか?
山口 あははは(笑)。
高瀬 バニーガールはしないですけど(笑)。当時は自分がアイドルになって何年か経ったくらいのタイミングで、麻衣さんも芸能のお仕事をしているキャラクターなので、勝手に自分を重ね合わせて観てましたね。
山口 私は最近ちょうど観始めたばかりなんですけど、そんなときに今回の取材のお話をいただいたので、すごいタイミングだなと思って。
──そうだったんですね。観ようと思ったきっかけは何かあったんですか?
山口 声優の水瀬いのりさん(牧之原翔子役)がすごく好きなので、そこから入りました。私は今まであまりこういう系統の作品を観たことがなくて、青春+SFって言うんですかね? 割と現実にありそうな世界が舞台ではあるんですけど、そこで非現実的な事件が起こるっていう不思議な要素も混じっていて、それがすごく面白い作品だなあって。
高瀬 わかるー。
山口 でも、最初は難しかったです(笑)。「何が起こっているんだ?」というところから始まって、少しずつ「あ、そういうことなんだ」みたいにわかっていくのも楽しかったですね。
──それこそさっきおっしゃっていたように、考察動画などで理解を深めたり?
山口 はい、めっちゃ観ました(笑)。ネットで「青ブタ 解説」って検索して、いろんな方の解釈を知るのもすごく楽しかったです。
──これまでの「青ブタ」の中で、特に印象に残っているシーンを挙げるとすると?
山口 そうですね……1作目の劇場アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」で、双葉ちゃんが泣きながら咲太くんに「生きててよかった」って言うシーンですね。「ああ、双葉……!」ってなりました。
高瀬 めっちゃわかるわー、それ。
山口 ですよね! 普段はクールな感じで、咲太くんに対してバカにしたような話し方をする双葉ちゃんが、こんなにも感情をあらわにするんだ!と思って。私は割と双葉ちゃんが“好きな女の子”って感じで、見た目もどタイプなんですよ(笑)。それもあって、あのシーンがけっこう印象に残ってますね。
高瀬 私は、そうやなあ……麻衣さんとのどかちゃんの人格が姉妹で入れ替わっちゃう話。のどかちゃんが麻衣さんの姿で撮影現場に行くんですけど、お姉ちゃんみたいにうまくやれなくて苦しむじゃないですか。あれを見てるのが、ちょっとつらすぎて(笑)。
山口 確かに……!
高瀬 自分もこういうお仕事をしているので、だからこそ共感できるところもあったりして。
──「まったく別分野の芸能人と体が入れ替わったらどうしよう」を、おふたりの場合はめちゃくちゃリアルに想像できるわけですもんね。特にのどかは同じアイドルでもありますし。
高瀬 はい、そうなんです。
山口 想像すると、ちょっと怖すぎますよね……。
咲太くんみたいな人に見つけてもらえたら
──おふたりの推しキャラについても聞きたいんですけど、山口さんは先ほど「双葉がお気に入り」とおっしゃってましたね。
山口 そうですね。さっき、この取材の前にも愛奈さんと2人で「どのキャラが好きなんですか?」みたいな話をちょっとしてたんですけど、双葉ちゃんについては意見が一致していました(笑)。
高瀬 うん、「いいよねー!」って。
──では、おふたりとも「推しは双葉」ということでいいですか?
高瀬 古賀ちゃんもけっこう好きです。
山口 “推し”ということで言うなら、私はやっぱり翔子さんになりますね。この作品を観るきっかけになったキャラクターですし。大人翔子さんの“大人の女性!”って感じのしゃべり方が、私的にはけっこう刺さったポイントで。しかも、常に敬語ってとこがいいんですよ! もちろん子供翔子ちゃんのしゃべり方もかわいいなって思いますし。
──高瀬さんは、古賀のどういうところが?
高瀬 どういうところ……最初の印象とのギャップですかね。出てきたときはザ・最近の子っていうか……。
山口 ザ・最近の子(笑)。確かに確かに。
高瀬 友達関係とかをすごく気にして、「周りにどう見られるか」ばかりを考えちゃうような子だったんですけど、咲太くんと出会ってからは少しずつ素直な自分を出せるようになっていって。そしたら「めちゃくちゃいい子じゃん!」みたいな部分が見えてきて、ガラッとイメージが変わりました。今ではすごく愛おしいキャラだなと感じてます。
──ちなみに、本作は“思春期症候群”という不思議な現象に翻弄されるお話ですよね。思春期特有の悩みが発端となって超常現象的な症状が現れるわけですけど、その意味で共感できるキャラクターはいますか? 「私も似たような悩みを抱えてたな」とか。
高瀬 ええー、誰やろ。
山口 難しいですね……あ、でも双葉ちゃんですかね。私はまだ自分がどういう性格の人間なのかが定まっていない感じがあると言いますか、日によって「こういうときもあるし、そうではないときもあるし」みたいな変化がけっこうあるタイプなんですよ。今後、受け入れられない自分が出てくることもありそうだなあという意味で、一番共感できるのは双葉ちゃんかもしれないです。
──じゃあ山口さんもいつか人格が分裂して、全然行ってない場所で目撃情報が出たりするかもしれない?
山口 あるかもしれないですね(笑)。
高瀬 私は、そうですね……麻衣さんかもです。やっぱりこういうお仕事をしていると、自分の発信したものが世の中にちゃんと届いているのか不安に思うときもあって。そういうときは麻衣さんみたいに、誰からも認識してもらえていないような気持ちになることもあるんですよ。
山口 へえー……。
高瀬 そういうとき、咲太くんみたいな人に見つけてもらえたらうれしいなって思うので(笑)。
──それがつまり、おひさま(日向坂46ファンの呼称)ってことですよね。常に高瀬さんを見つけてくれる存在。
高瀬 はい、おっしゃる通りです。
山口 素敵です!
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聖地巡礼の思い出