コミックナタリー Power Push -「暗殺教室」

殺せんせーと歩んだ3年8カ月

映画版・茅野カエデ役  山本舞香インタビュー

モノローグを表情で再現するにはどうすればいいか

山本舞香

──原作「暗殺教室」は、映画「~卒業編~」が公開される1週間前に発売の週刊少年ジャンプで最終回を迎えました。2月に行われた製作報告会見では、「~卒業編~」の公開時期と連載終了のタイミングを合わせるのは松井先生からの発案だったとの説明もありましたね。(参照:映画「暗殺教室」に松井優征が太鼓判「これじゃないとってラストがあった」

そうなんです。しかも内容も映画オリジナルのラストというわけではなく、原作に沿っているんです。松井先生にそこまでご協力いただけるのはありがたいし、素敵なことだなと思いました。マンガが完結してすぐに映画も観られるっていうのは、読者の方もワクワクしますよね。「あっ、このシーンこの前マンガで見たばかりのところだ」って。

──カエデ役に決まる以前から、原作はお読みになっていたんでしょうか。

そのときはまだ表紙を見かけたことがあるくらいでした。「暗殺教室」って毎巻、表紙がすごく特徴的じゃないですか。それでカエデ役を演じることが決まってから読んでみて、殺せんせーはもちろんですけど、銃やナイフなど細かい部分をどこまで再現するのかっていうのは気になっていましたね。実際に撮影に入ってみたらすべてを忠実に再現していて驚きました。

「暗殺教室」15巻では茅野カエデが抱えた闇が明らかに。

──「~卒業編~」では、カエデが以前から殺せんせーに恨みを抱いていたことが明らかになりますね。昨年公開された映画第1弾のラストに、カエデが殺せんせーと同じく触手を持っていることを匂わせるシーンがありましたが、その時点で原作がどのような展開になるかお聞きになっていたんですか。

はい。役が決まったときに「大体こういう展開になっていく」というのは、プロデューサーさんに伺っていて。1作目のときはカエデが闇を抱えているということを知った上で、それを表に出さずに明るい演技をしなきゃならなかったので、すごく難しかったですね。「~卒業編~」への伏線になるような影の部分を出すシーンも少しだけあったので、演じ分けも考えなきゃいけなかったですし。逆に今回は明確に前作と変えようと思って演じました。

「暗殺教室」を手に解説する山本舞香。

──確かに前作と今作ではカエデの立ち位置はかなり異なっています。

「~卒業編~」のカエデは大切な人を失った気持ちや、一緒に過ごしてきたクラスメイトへの思い、殺せんせーへの殺意が、心の中で入り混じって葛藤しているんです。象徴的なのがマンガの15巻にある、カエデが殺せんせーを襲うシーン。ここで殺せんせーに「死んで」って叫んでいるんですけど、モノローグで「ころして」「…たすけて」とも言っていて。映画にはこのモノローグは入っていないんですけど、こういう狂気を表情だけで再現するにはどうしたらいいか、みたいなことを羽住(英一郎)監督と相談しながら作り上げていきました。

監督から「狂った目をして」って言われて

──カエデというキャラクターを作り上げるうえでは、監督の存在が大きかった?

殺せんせーを攻撃する茅野カエデ。

そうですね。羽住監督は頭の中に自分が考える「暗殺教室」のイメージが出来上がっているんです。でも最初は、私たちに好きなように演技させてくださり、そこから修正していくっていうやり方を取ってくださって。「今の演技もよかったけど、こういうやり方のほうが伝わりやすいんじゃない」とか、話し合いながらキャラクターを作っていきました。

──なるほど。原作のカエデからインスパイアされた部分もありましたか。

やっぱり15巻のエピソードにつきますね。撮影中は単行本を台本とセットでいつも持ち歩いていて、ボロボロになるまで読み返していましたから。あとマンガに出てくるような「狂っている目をして」っていうのは監督からいつも言われていました。

──山本さんは映画の第1弾と第2弾の間に、ドラマ「南くんの恋人~my little lover」でもヒロインを務められていましたよね。やはり原作のある作品のキャラクターを演じるのは、そのほかの場合とアプローチの仕方が変わってくるものなのでしょうか。

映画「暗殺教室~卒業編~」より。

うーん、あんまり意識しないようにはしています。もちろんプレッシャーはありました。私がカエデ役を演じて、やっぱり「自分のイメージしていた茅野カエデと違う」っていう声も聞いて。ただマンガって各々の頭の中で絵が動くから、読んだ人によってキャラクターに対するイメージが異なるのは仕方ないことだと捉えて、自分の中でしっかりとカエデのイメージを作り上げなきゃと思っていました。

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映画「暗殺教室~卒業編~」2016年3月25日公開

映画「暗殺教室~卒業編~」

キャスト

山田涼介 二宮和也
菅田将暉 山本舞香 / 桐谷美玲(友情出演)
竹富聖花 優希美青 上原実矩 / 橋本環奈 加藤清史郎
知英 成宮寛貴 / 椎名桔平

原作:「暗殺教室」松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:羽住英一郎
脚本:金沢達也
音楽:佐藤直紀

松井優征(マツイユウセイ)
松井優征

1月31日生まれ、埼玉県出身。澤井啓夫のアシスタントを経て、2004年に「魔人探偵脳噛ネウロ」が、週刊少年ジャンプ(集英社)主催の第12回十二傑新人漫画賞にて準入選。同年週刊少年ジャンプ増刊赤マルジャンプ(集英社)にてデビューを果たす。翌年には週刊少年ジャンプ本誌にて同作の連載をスタートさせ2007年にはアニメ版が制作された。2012年、同じく週刊少年ジャンプにて「暗殺教室」の連載を開始。同作はアニメ化、実写映画化、ゲーム化などさまざまなメディアミックスが行われるヒット作となる。

山本舞香(ヤマモトマイカ)
山本舞香

1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。2010年、「鳥取美少女図鑑」に掲載された写真でスカウトを受け、2011年5月「三井のリハウス」14代目リハウスガールとしてデビュー。現在放送中の2015~2016年「JR SKISKI」のCMヒロインに選ばれる。これまでの出演作にドラマ「南くんの恋人~my little lover」ヒロイン・堀切ちよみ役、映画「暗殺教室」茅野カエデ役、主演映画「桜ノ雨」遠野未来役など。