コミックナタリー Power Push - ベルサイユのばら×Amour du Chocolat!
オスカル様が出した二酸化炭素を吸いたい!? 秦佐和子が情熱的に語るベルばら愛
池田理代子がオスカル、マリー・アントワネット、フェルゼンの3人を軸にフランス革命を描いた「ベルサイユのばら」は、連載から40年以上が経った今なお多くの読者を惹き付けている。1月25日より、髙島屋で開催中のバレンタインイベント「アムール・デュ・ショコラ2017」では、長く読み継がれている「ベルサイユのばら」とコラボしたカタログや写真加工アプリを制作。池田による読み切り2本も描き下ろされ、カタログと髙島屋のアプリで読むことができる。
コミックナタリーでは、「ベルサイユのばら」ファンの声優・秦佐和子にインタビューを実施。読み切りや写真加工アプリの感想、そしてこれほどに愛される「ベルサイユのばら」の魅力をたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 三木美波 撮影 / 萩原和幸 ヘアメイク / 杏奈 スタイリング / 加藤將(vacans)
あんなに号泣したことはない
──早速ですが、秦さんは「ベルサイユのばら」を読んで大号泣したと伺いました。
中学校のとき、マンガを回し読みするのが流行ったことがあって、クラスの子が「ベルばら」の文庫本を持ってきてくれたんです。それが「ベルばら」との出会いだったんですが、読ませてもらってもう号泣して……。オスカルとアンドレの最後のシーンは涙が止まりませんでした。2人の悲恋がすごく好きなんです。
──アニメ版もお好きだとか。
アニメは大人になってからまとめてガッと観て……。アニメ、本当に! 本当にいいんです!! オスカルとアンドレが結ばれるあたりからもう……もう……。私、アニメであんなに号泣したことないんです! エンディングの「愛の光と影」がまた……。「愛が苦しみなら~♪」(歌唱)と流れると「あーーー!!」って。エンディングも号泣タイムで、映画のエンドロールかのようにひとしきり泣いて、「はあ……」って……。こんなに泣くんですが、最後のマリー・アントワネットの処刑シーンでは“スンッ”と涙が引っ込みます。
──あはは(笑)。マリー・アントワネットはお好きではないんですか?
中学生の頃からよい印象はないですね。身も蓋もないんですけど、アントワネットがいなかったらオスカルとアンドレの悲劇は起きなかったんじゃないかって。
──オスカルとアンドレは実在の人物ではないのですごいifですが、そうかもしれませんね。「ベルサイユのばら」のどこが、秦さんの琴線に触れたのでしょうか?
池田(理代子)先生の描くコミカルなシーンと、情熱的な場面の緩急がすごく好きなんです。あれだけ美麗な絵なのに、たまに目が「×」になってたり(笑)。あと「ベルばら」はストレートですよね。ひとつの結末に向かって、よそ見せずにダーっと走り抜けていく。
──マーガレットコミックス版の単行本は全10巻で、連載も1972年から73年と短期間です。
たくさんのドラマが起きているのに、ギュッと凝縮されている。いらないコマがないですよね。それと、オスカルが美しいのは大きな魅力です。
オスカル様が通り過ぎたあとの残り香を嗅ぎたい
──男装の麗人にしてマリー・アントワネット付きの近衛士官、しかもドレスアップした姿は「アフロディテさながら」と言われるほどの目もくらむ美しさ、そしてフランスの未来に悩む憂国の士……。改めて考えるとオスカルはすごいキャラクターですね。
そうなんですよ。今って、割とダメだったり親しみやすかったり、自分を投影できるキャラクターの人気が高いと思うんです。でもオスカルはもう自分からしたら雲の上にいるような遠い存在、孤高の存在すぎて、憧れることしかできない。
──わかります。私が「ベルばら」の世界に存在できるとしても、オスカルの近くに行ける気がしません。もし貴族令嬢でも、きっとオスカルを取り囲んでピーチクパーチク言ってるモブキャラになるんだろうなと思います。
私も! 舞踏会でね、「オスカル様よー!」「きゃー!」って(笑)。でも同じ空気を吸っているだけで……! オスカル様が出した二酸化炭素を吸いたい……!
──えっ!
オスカル様が通り過ぎたあとの残り香を嗅ぎたい。
──あはは(笑)。
そういう存在だから、実はフェルゼンへの思いで弱気になっているシーンは苦手なんです。ずっと泰然としていてほしいというか……。でも思えば、オスカルはずっとそういう視線にさらされ続けたんだろうなと思いますね。「オスカル様が弱音を吐くなんて!」という周りの視線が、弱い部分を見せられなくしていたんだと。
──オスカルは「だれかにすがりたい ささえられたい」という心の奥底の思いを、アンドレだけには見せることができましたね。
本当にアンドレがいてくれてよかった! アンドレって最初はなんか頼りなくて……。
──初登場シーンなんて、それこそモブキャラじゃないですけど……(笑)。
そうなんですよ! 「ベルサイユのばら」はアンドレの成長物語といっても過言ではない。最初のアンドレと最終回近くのアンドレで、1人の男性が大人になっていく過程がわかります。若い頃って、男性は女性よりもちょっと子供っぽいじゃないですか。そういう青い部分があった少年が、目が見えなくなっていったりとかの過程を経て、ついにはオスカルを支えられる人になる。しかもずっとオスカルだけを見続けてきたっていうのがもう……! なんで私にはアンドレがいないんだろう……。
池田先生は、絵が衰えない!
──あはは(笑)。池田理代子さんは、「ベルばら」と「アムール・デュ・ショコラ」(髙島屋のバレンタインフェア)のコラボのために「ショコラ大作戦」と「特命!謎の馬車を追え」の読み切り2本を描き下ろしました。
池田先生は、絵が衰えない! ファンが「そうそう、この絵なんですよね!」というイメージをずっと保ってくださっていて……。完成されてるんでしょうね。まずそこがすごくいいなあと思いました。あと「ショコラ大作戦」は、オスカル様が愛されてるなって。疲れてお酒ばっかり飲んでしまうオスカル様のために、アンドレやばあや、ロザリーがてんやわんやショコラ作りをするというあらすじですが、オスカルが、なんかいいですよね(笑)。ショコラを「ちょっとぬるめで」ってリクエストするところとか、プイって拗ねちゃうところとか。
──本編のオスカルは、なかなかゆっくりとくつろげませんでしたからね。
そうそう、本編はつらいシーンのほうが多いので、お茶目なオスカル様が見られるのは貴重です(笑)。私、自分でもアイドルのライブDVDを買うんですが、ライブ本編も好きなんですけどリハーサル風景とか舞台裏を見るのがすごく好きで。「ショコラ大作戦」はそれに通じるところがありました。普段のオスカル様が見られる。
──オフショットのような。
そうです、そうです! それに、アンドレもばあやも真面目なんですよね(笑)。今のバレンタインは「好きな人にチョコを贈る」というイメージが強いですが、ロザリーやばあやみたいに「大事な人に贈る」という気持ちでもいいんだなって思いました。それこそ自分のお母さんにあげるとか。
──そうですね。
女性のほうがチョコ好きだったりするじゃないですか。ケースもかわいいものが多いですし。私は疲れているときにチョコを食べると、がんばるぞ!って思えるのでお世話になっている会社の女性の上司にプレゼントしてもいいなって。そういう新しい発想をもらえました。
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「Amour du Chocolat!」
世界に名だたるショコラティエの傑作や、日本を代表するパティシエの自信作、知る人ぞ知る人気店の商品やバイヤーが発掘したブランドなどが一堂に会する髙島屋ののショコラの祭典「アムール・デュ・ショコラ2017」。2015年は東村アキコ「東京タラレバ娘」、2016年は美内すずえ「ガラスの仮面」とコラボした本イベントが、今年は池田理代子「ベルサイユのばら」と組んでバレンタインを盛り立てる。
池田理代子描き下ろしの読み切り2本が読める
「アムール・デュ・ショコラ2017」のカタログには、読み切り「特命!謎の馬車を追え」を収録。またタカシマヤアプリでは1月25日から2月14日まで読み切り「ショコラ大作戦」が閲覧できる。
「なりきり!ベルばらカメラ」
「ベルサイユのばら」を題材にしたフレームで写真が撮れる特別企画。スマートフォン向けにフレームが3種類用意された。「アムール・デュ・ショコラ2017」開催店の会場に行けば、スペシャルバージョンのフレーム5種類で撮影できる。画像はTwitter、またはInstagramにハッシュタグ「#ベルばらカメラ」を付けて投稿しよう。抽選で100名にギフトカードが当たる。
プレゼント内容はこちら
- A賞
- 5名
- 池田理代子サイン+凰稀かなめサイン+オリジナルギフトカード5000円
- B賞
- 10名
- オリジナルギフトカード3000円
- C賞
- 35名
- オリジナルギフトカード1000円
- D賞
- 50名
- 「ベルサイユのばら」最新13巻
予告:デビュー50周年記念展「池田理代子-『ベルばら』とともに-」
代表作「ベルサイユのばら」を中心に、初期の社会派作品から「オルフェウスの窓」「女帝エカテリーナ」などの歴史ロマン、「おにいさまへ…」などの学園もの、40年ぶりに復活した「ベルばら」の新作エピソードまで、池田が生みだした作品の世界を原画や資料で紐解き、創作の軌跡をたどる。
入場料
一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
- 2017年3月8日(水)~3月20日(月・祝)
- 日本橋店8階ホール
- 2017年3月29日(水)~4月10日(月)
- 大阪店7階グランドホール
- 2017年4月12日(水)~4月23日(日)
- 京都店7階グランドホール
- 2017年4月26日(水)~5月8日(月)
- 横浜店8階ギャラリー
秦佐和子(ハタサワコ)
9月14日、大阪府生まれの声優。マウスプロモーション所属。「AKB0048」の神崎鈴子役、「バトルスピリッツ ダブルドライブ」のエト・エトシンモリ8世役など。2017年にリリースされるゲーム「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」で司城来夢役として出演。