コミックナタリー Power Push - 雨隠ギド「恋煩いフリークス」
幼女から老女まで、年齢ジャンプ・ラブコメ キャラクター造形へのまなざしに肉迫
人と人間以外が合体して、逆に表情豊かになる表現が好き
──月子さんは見た目がどんどん変わっていきますが、それに応じて中身というか、精神年齢みたいなものもちょっと変わっているんでしょうか。
そうですね。おばあさんだと疲れやすくて、子供だと舌ったらずでわがままだけど、素直で。そこで普段はツンツンの月子さんが、ちょっと言いたいことを言えるようになったり。
──年齢変化が内面の成長を助けてるんですね。
いろんなダメなところがあっても、最終的にはそれを受け入れられるっていうような話が好きなので。最終回でも不思議な能力は持ったままなので、問題が解決したわけじゃないんですけど、それとうまく付き合っていく。
──大山くんを狼にしちゃったり。「まぼろしにふれてよ」も狸や猫が変身しますが、動物変身ものがお好きなんですか?
好きなんです! 私、宮崎駿さんの「名探偵ホームズ」がすごく好きで。人と人間以外が合体して、逆に表情豊かになるっていう表現が好きなんですよね。人間が黙って立ってても感情はわからないけど、狼男が黙って立ってしっぽブンブン振ってたらわかりやすい、というかすごくかわいいじゃないですか(笑)。大山くんも普段は言いたいこと言えないけど、狼男になったときは勇ましくなれる。
とりあえず何でもチャレンジしたい
──絵柄は初の青年誌ということで変えたりされたんですか?
絵柄はあまり変えてないんですが、コマ割りは結構担当さんに指摘されて変えましたね。読む時に指のかかる部分は内枠線に収めようと言われまして。現代的な少女マンガって裁ち切りまでいっぱいいっぱい使うことが多いんですが、どうしても大きく見せたいというとき以外は内枠に収める、というのを意識しました。
──なるほど。確かにほかのFellows!の作品を見ると、内枠に収まっているものが多いですね。
1話目は指摘される前だったので、意識したのは2話目からですけど……。なので見比べていただくと分かると思います。あと担当さんには、背景をもっと描き込むように指示されましたね。ただ描き込みすぎてもいけないので、差し引きの加減が難しかったです。最終話あたりでやっとわかってきた感じ。
──いろいろと担当さんの意見を取り入れているんですね。
デビューが遅かったので、聞ける意見はなるべく聞こうというスタンスでいたいんです。とりあえずチャレンジしてみる、という。
──Fellows!に飛び込んでみて、どうでした?
みなさん楽しそうに描くので、面白い雑誌だなと思ったり、ほかのみなさん絵がうまいのでへこんだり(笑)。結構絵柄がまわりに引っ張られちゃった感じもあるので、もうちょっとしたら読みなおして自分の元の絵柄と見比べてみて、どれくらい描き込むか、描き込まないかを勉強しようと思ってます。
──いろんな雑誌に描いて、いい影響をどんどん受けている感じですね。
それがあるといいなと思ってます。まだまだ修行中の身なので。
あらすじ
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雨隠ギド(あまがくれぎど)
2007年、ウィングス(新書館)にて「ファンタズム」でデビュー。青年誌ではgood!アフタヌーン(講談社)やFellows!(エンターブレイン)、BL誌ではDear+(新書館)、新書館の百合アンソロジー「ひらり、」、「エディス」(エディス編集部)など、幅広いジャンルで活躍中。