コミックナタリー Power Push - 雨隠ギド「恋煩いフリークス」
幼女から老女まで、年齢ジャンプ・ラブコメ キャラクター造形へのまなざしに肉迫
40代はお肉が落ちてきてしわになるイメージ
──熟女はどんなところが難しかったんですか?
イメージが沸きにくいというか。キャリアOLのまま40歳を超えた人って周りにいないので。最初、40代の月子さんはもうちょっとおばさんっぽかったんですけど、例えば小泉今日子さんみたいな40代で綺麗な方って、ほんとに若々しいじゃないですか。なので20代、30代と似てしまうリスクを冒しても、頑張って美しいままの人という設定に。
──ほかにも40代ならではのポイントはありますか?
目の周りのしわの深さとか、あごのラインがちょっとゆるんでいたりとか。ほうれい線はないんですけど、てっぺんにあった肉が落ちてきて、笑ったりして口元が上がるとしわが出ちゃう感じをイメージしてみました。
──確かに口に特徴があります。
年を重ねると重力に勝てなくなる
では次は60歳の月子さんを描いてみますね。年齢を重ねるに従って、重力に勝てなくなってくるんです。例えば祖母の写真を見ていても、昔はキリッとした二重だったんですけど、年をとって痩せてくるとややまぶたが重くなって、優しげな目に変わりました。なので月子さんも、垂れ目な人ではないけどまぶたの重みで垂れて見える。あと本当はまつ毛も抜けるはずなんですけど、綺麗な人という設定なのでここでは残しておきましょう。
──年を取るとまつ毛も抜けるんですね。シビアです……。
抜けますよ! あとは髪の毛ですね。10代はふわっとボリュームがあるので丸いシルエット、生きてる髪って感じですが、さっきの「重力に逆らえない」という法則のもと、髪もストンとまっすぐに。その中に枝毛っぽい引っかかりのある髪があるとパサパサに見えます。うん、こんな感じかな。
──お疲れさまです。手もしわしわの感じが出ていますね。
そうですね。私、おばあさんの手とか描くの好きなんです。手元の血管の浮いた感じとか、骨ばったところとかも好きだし。
──立ち方も特徴的です。
しゃんと立つんじゃなくて、がに股までいかないけどちょっと足を広げて、膝に負担のかからない立ち方ですね。実際は違ったりするのかもしれないけど、パッと見の印象で「老人だ」ってことが分かればいいかな、と。……私の絵柄って少女マンガとかアニメっぽい絵が入っていて、そんなにリアルタッチではないので。「口のしわ描いただけじゃん」って言われようとも、私はそれでいいと思ってて。かわいいのが大事だから。自分の絵柄と実際の年齢を、どこまで折り合いつけるかだと思うんです。
ペン先をライターであぶるのはもはや儀式
──あくまでも自分の絵柄で描くのが大事なんですね。あの、作画中にペン先をライターであぶっていたのはどうしてなんですか?
ペン先の油を飛ばすためです。小さい頃に読んだマンガの描き方本にそう書いてあったからやってるだけで……。知り合いのマンガ家さんには「普通にティッシュで拭けばいいのに」って言われました(笑)。
──もはや儀式化しているんですね。
小さい頃はなんであぶるのかよく分からないままやってました。でも確かに、何もしないでインクをつけると玉になってはじいちゃうんです。たぶん拭くだけでいいんでしょうけど、もうずっとやってるので今さらやめられないというか(笑)。
──そのペン先はGペンですか?
はい。タチカワのGペンです。それまでは細い線が引けるのでニッコーの丸ペンを使っていたんですが、細いペン先で太い線も引こうとしていたので、腱鞘炎になってしまって。Gペンの太すぎる線はちょっと抵抗あったんですけど、タチカワは結構硬い線も引けるって教えてもらったので、今はこれを愛用してます。
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雨隠ギド(あまがくれぎど)
2007年、ウィングス(新書館)にて「ファンタズム」でデビュー。青年誌ではgood!アフタヌーン(講談社)やFellows!(エンターブレイン)、BL誌ではDear+(新書館)、新書館の百合アンソロジー「ひらり、」、「エディス」(エディス編集部)など、幅広いジャンルで活躍中。