コミックナタリー Power Push - 雨隠ギド「恋煩いフリークス」
幼女から老女まで、年齢ジャンプ・ラブコメ キャラクター造形へのまなざしに肉迫
11月末から12月にかけて、さまざまなジャンルの単行本4冊を連続刊行する雨隠ギド。Fellows!(エンターブレイン)連載の「恋煩いフリークス」、ウィングス連載の「まぼろしにふれてよ」2巻、Dear+(ともに新書館)連載の「悪人を泣かせる方法」、エディス(エディス編集部)連載の「犬とつばめ」と、青年誌、少女誌、BL誌から刊行される。
なかでも「恋煩いフリークス」は、ツンデレ美女・月子センパイとヘタレ狼男・大山くんとの同居生活を描いた恋物語。24歳の月子センパイは、不思議な力で幼女、女子高生、熟女、おばあさん……と、ころころと年齢が変化していってしまう。コミックナタリーでは、見事にさまざまな年齢の女の子を描いてきた雨隠にインタビューを敢行。描き分けのポイントを、実演を交えながら語ってもらった。
取材・文/坂本恵 編集・撮影/唐木元
9歳から60歳まで、年齢が変化するヒロイン
「恋煩いフリークス」のヒロイン・月子センパイは不思議な力の持ち主で、ある日24歳の姿から9歳の幼女になってしまう。そこから彼女は42歳、12歳、60歳、女子高生……とさまざまな年齢に体が変化していく。雨隠に5パターンの月子さんを執筆してもらったので、まずはこちらをご覧いただきたい。
キャラクターデザインするときに記号を決めておく
──見比べると、当然ですけど、年齢は全然違うのに同じ人物だってことが分かります。1人のキャラクターの年齢変化を描くにはどういうコツがあるんでしょうか。
まず彼女の記号になるわかりやすい特徴を決めました。例えば、不自然すぎないくらいに前髪を真ん中に寄せて特徴を出して。ポニーテールやツインテールにしてもこの人だとわかるように。あと私、基本的に目の中に光の玉みたいなのはあまり描かないんですけど、月子さんだけはそれを描くようにしました。
──その記号だけを守っていれば月子さんに見えるってことですね。
そうです。では、実際に9歳の月子さんを描いてみますね。
9歳はむちむち感がポイント
──お願いします! ……ちなみにどういうことを考えながら描いていくんですか?
えっと……小学3、4年生の女の子を想像しながら……って、なんか私、変態みたいですね(笑)。
──普段ご覧になられてる写真や資料はあるんですか?
ちょうどこの年代の姪っ子がいるので写メを送ってもらったり。それは別に資料としてではないんですけど、参考にはしてます。……できました!
──お疲れ様です! 9歳の月子さんですね。
9歳くらいだと、むちっとしているというか、もちもち感があると思うんです。そのあたりを意識して描いてますね。
──作中で9歳の月子さんと12歳の月子さんを描き分けていらっしゃいましたけど、あの微妙な3歳の違いはどういう風に出していったんでしょう?
小学5、6年生くらいから女の子って、手足が極端に長くなってくるイメージがあるんです。だから基本は変えずに、手足だけすらっと伸びている感じで描き分けました。
──手足がポイントなんですね。
そうですね。むちむちして固まっていたものが一気にすっと縦に伸びちゃったイメージです。私、以前幼稚園の先生をやっていたくらい子供が大好きで、子供を描くのも大好きなんです。逆に熟女とかがいちばん難しくて、42歳の月子さんは苦労しました……。
あらすじ
ある日突然、事件は起こった。24歳の月子センパイが、いきなり少女に変身したのだ! 月子センパイとひとつ屋根の下に暮らし、想いをよせる青年・大山くんは、ころころ変わる彼女の姿に戸惑いっぱなし。さらに町の人々も変身していることがわかり、大山くん自身も「狼男」に変身する身体になってしまう。どうやら、「変身」には、とある理由があるようで――!? ツンデレ女子と草食系男子のナンギで甘い純情・同居生活!
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雨隠ギド(あまがくれぎど)
2007年、ウィングス(新書館)にて「ファンタズム」でデビュー。青年誌ではgood!アフタヌーン(講談社)やFellows!(エンターブレイン)、BL誌ではDear+(新書館)、新書館の百合アンソロジー「ひらり、」、「エディス」(エディス編集部)など、幅広いジャンルで活躍中。