コミックナタリー Power Push - 松本嵩春「AGHARTA」完全版
奇才の最大長編、ついに完結 いま明かされる、充電と再生の舞台裏
松本嵩春クロニクル
さまざまな媒体で作品を発表してきた松本。これまでのキャリアの中から、その主要作品について、本人のコメント付きで紹介する。
- 「GONG ROCK」
- グランドチャンピオン（秋田書店）1992～1993年連載
単行本「松本嵩春作品集」収録
※画像はジャパン・ミックスから刊行された単行本のもの。
連載デビュー作。不思議な音が鳴るという巨大岩の伝説を追い、日本のサラリーマン・間野は単身ケニアに渡る。そこで出会ったガイドの女子学生・テラは、巨大岩を守る部族の一人娘だった。テラと岩をめぐる謀略に巻き込まれながら、間野は岩の謎に迫っていく。
- 「2HEARTS」
- 月刊少年キャプテン（徳間書店）1993～1996年連載
単行本全4巻
波動を操る超能力を持つ女子高生・絢乎（あやか）。巨大な音叉・ツゥアールと出会い、操律師（キイマスター）としての能力に目覚めた彼女は、ツゥアールとともに超能力者同士の争いに巻き込まれていく。90年代を文字通り駆け抜けていった、SFバトルアクション。
松本嵩春コメント
「GONG ROCK」が終わって雑誌がなくなっちゃった後、友達と一緒に、自分の好きな「宇宙刑事」を描くという同人誌を出しまして。そこで描いた短編を、当時のキャプテンの編集長が気に入ってくれて。その宇宙刑事ものをベースに、女の子を主人公にしたほうがいいんじゃないかということでできたのがこの作品です。これから後半戦、というところで打ち切られてしまったので、この世界のことはまた描けたら描きたいな。
- 「きらいになれない（仮）」
- 月刊コミックガム（ワニブックス）2013～2014年連載
単行本全1巻
零細マンガ家・ヨモクボスミレ。極度のオーディオマニアでありアニメやマンガのオタクでもある彼が、アキバな青春の思い出を垂れ流しつつ受難の日々を送る。ところどころに挟まれる音楽やオーディオについてのうんちくも見逃せない、エッセイ風フィクション。
松本嵩春コメント
自分としてはすごく楽しく描けた作品です。描いている状況そのものは楽しくなかったんだけどね（笑）。「ブレードランナー」とか、80年代から90年代にかけての、テレビっ子が好きだったものを思い付きで描いていくっていう。中盤に出てくるエセ関西弁の店員・ジウ姫は、元アイドリング!!!25号の後藤郁さんからインスパイアされました。僕、深夜にやっているアイドルのバラエティ番組がすごく好きで。そういった、本来の自分に近づけることができたってことでは、エポックメイキングな作品ですね。
- 松本嵩春「AGHARTA -アガルタ -完全版」 / 2016年9月26日発売 / ワニブックス
- 松本嵩春「AGHARTA -アガルタ -完全版」1巻 / コミック / 1080円
- Kindle版 / 864円
- 松本嵩春「AGHARTA -アガルタ -完全版」2巻 / コミック / 1080円
- Kindle版 / 864円
奇才・松本嵩春の最大長編！
砂漠化した地球を舞台にした伝説の近未来SF、ついに完結へ──!!
「AGHARTA - アガルタ -」が当時の未掲載や描き下ろしなどを加え、装いも新たに「完全版」として全11巻、A5サイズ全巻描き下ろしカバーで甦る。
伝説的作品の大団円を見逃すな!!
松本嵩春（マツモトタカハル）
1968年5月1日生まれ。主な著作に「GONG ROCK」（ジャパン・ミックス刊、後に「松本嵩春作品集」（アスペクト刊）に収録）、「バーチャファイター -レジェンド・オブ・サラ-」、「2HEARTS」全4巻（ともに徳間書店刊）、「きらいになれない（仮）」、「AGHARTA - アガルタ -［完全版］」全11巻（予定、ともにワニブックス刊）がある。2016年現在はホーム社のWebサイト・画楽ノ杜で「メザニーン」を連載中。
松本嵩春コメント
グランドチャンピオンの編集長が僕の同人誌を気に入ってくださって、連載させていただくことになったんですね。タイトルとストーリーの着想は、スチュワート・コープランドの同名曲から。単純に、太鼓みたいに鳴る岩があったら面白いよねっていうところから話をぐわーっと作りました。今だったらケニアの絵をちゃんと描かなきゃとか、真剣に考えちゃいそう。