ニコニコ生放送を通じて全編が生中継されたこのイベント。会場のニコファーレは壁面に大型LEDディスプレイが設置されており、中継を見つめるユーザーからのコメントがリアルタイムで流れる。アニメ「セーラームーン」の変身シーン映像が上映されると、「ムーンプリズムパワー メイクアップ!愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン!月にかわっておしおきよ!」の決め台詞とともに、浴衣姿の三石が入場。セーラームーンのぬいぐるみを小脇に抱え、「皆さん、心の中の乙女のポリシー、さびついてませんか?」と笑顔で挨拶する。続いて古谷、小佐野が順に登場した。
トークは小佐野による作品誕生秘話からスタート。もとは母体となる作品「コードネームはセーラーV」に東映動画が惚れ込み、そこから派生して「セーラームーン」が生まれたと言う。武内は別の連載作を準備していたが、その作品は日の目を見ないまま「セーラームーン」の執筆が始まったそう。マンガとアニメがほぼ同時スタートとなった同作、小佐野は「アニメの制作決定から放送開始まで、半年しかなかった。死ぬかと思いました」と当時を振り返る。
三石と古谷は当時の収録現場の様子を「とにかくかしましい。キャピキャピとしていた」と紹介。出演者同士とても仲が良く、ほぼ毎年バスを貸し切って温泉旅行に出かけていたと言う。また放送開始後にささやかれた、アニメ打ち切りの噂について小佐野が説明。「(作品の関連)商品があまり売れなくて、スポンサーが……」と苦々しく語るも、「『ムーンスティック』という商品がバカ売れして、九死に一生を得た」と、息を吹き返した経緯を明かす。これには三石、古谷も「まったく知らなかった」と驚きの表情。
当時の武内については、小佐野は「原稿は1度も落とさなかった」「反動で買い物をしたりとかはありましたけど、ほんとうに真面目に仕事をしていた」とその仕事ぶりを紹介。アニメへの要望を伝えることは、ほぼなかったと言う。また三石は「新世紀エヴァンゲリオン」で自身が演じる葛城ミサトについて、「うさぎちゃん(セーラームーン)の真ん中分けで中心にはねている感じの前髪は、ミサトに引き継がれている」と、同作が与えた意外な影響について明かした。
ここでアイドルグループのももいろクローバーZが、フランス「JAPAN EXPO 2012」の会場から生中継で出演。百田夏菜子はセーラームーン、佐々木彩夏はセーラーマーズ、玉井詩織はセーラーヴィーナス、有安杏果はセーラージュピター、高城れにはセーラーマーキュリーの衣装に身を包み登場し、アニメの主題歌「ムーンライト伝説」を歌唱した。
歌い終えたももクロメンバーから、大ニュースが。2013年夏をメドに、「セーラームーン」の新作アニメを制作、世界同時公開を目指すという。さらにその主題歌を、ももクロが担当することも発表された。新作アニメの発表媒体はまだ明かされていないが、小佐野によると「映画ではない」とのこと。中継ではももクロのリーダー百田から「三石さんの声に合わせてキメポーズをしたいんです!」とリクエストが飛び出し、三石の「月にかわっておしおきよ!」という生声に合わせ、百田が見事にポーズを決めてみせた。
新作アニメについて三石は「制作する私たちは、真摯に、心を込めて、前作よりもパワーアップする気持ちで取り組まないといけないのでは、(そうしないと)見ている人は納得してくれないのでは、という思いです。頑張りたいと思います」と述べつつ、「……っていうか、私できるのかな?」と、新アニメのキャスティングに不安をのぞかせた。そして古谷は「フランスとの同時中継でこうしてイベントをやらせてもらって、ここから『セーラームーン』は新たな一歩を踏み出すんじゃないかな。楽しみにしています」とコメントした。
また締めくくりに、イベント本番前に届いたという武内からのメッセージを三石が朗読。「これからどんな展開をしていただけるのか、まだ何も知りません。正直恐いです。でもキャラクターたちが、また暴れてくれたら面白いかも、と密かに思ってます」と、アニメ化をはじめとした20周年関連企画への思いを打ち明けた。
「美少女戦士セーラームーン」は新作アニメ以外にも、20周年を記念した数々の企画が用意されている。まずは愛蔵版が全10巻で、10月より月1冊ペースで刊行。20周年を記念した描き下ろしページも収録される。愛蔵版「コードネームはセーラーV」も発売予定だ。
さらにアニメ「『美少女戦士セーラームーン』メモリアルDVDコレクション(仮)」の発売も決定した。1992年から5年間放送されたTVアニメを、各セーラー戦士ごとに1巻のDVDにして、10月より毎月リリースする。ほかにも復刻版商品の発売や、各種イベントも行われる予定。続報は公式サイト「美少女戦士セーラームーンチャンネル」でチェックしよう。
武内直子からのメッセージ全文(三石琴乃による朗読の書き起こし)
皆様こんにちは。原作の武内直子です。連載開始20周年らしいです。また、新しい出版やアニメの企画などの話をいただき、とにかくびっくりしています。
作品関連当時は本当にたくさんの方に愛された、幸せな、幸せな作品でした。今またこのタイトルを聞くと、ちょっと恥ずかしい感じです。きっと皆さんもそうでしょう。でも昨日、うれしい話を聞きました。「ツインテール」の元祖は、セーラームーンだそうです。今も世界中から「セーラームーンが大好きでした」と、よくお話をいただきます。そんな話を聞くたび、いつも飛び上がって、感激に喜ぶ、単純な原作者です。
これからどんな展開をしていただけるのか、まだ何も知りません。正直恐いです。でもキャラクターたちが、また暴れてくれたら面白いかも、と密かに思ってます。まずは、今日が最初の一歩らしいです。皆様どうぞお手柔らかに、にこにこ顔で温かく「おかえり」と言ってくだされば嬉しいです。思い切り懐かしんでくれると、うれしいです。そうしてくれないと「月にかわっておしおきよ!」と、うさぎ役の琴ちゃんが言うでしょう。
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