4月17日からNetflixで独占配信される「グリム組曲」は、グリム童話にダークな要素を織り交ぜ新解釈した6つの物語が展開されるオムニバスアニメ。櫻井氏は全6話の制作期間が合計4年ほどかかったことを明かし、「6話なのに4年って……」と笑顔を浮かべながらも得も言われぬ表情を見せる。鈴木は毎話物語の導入部分に登場するヤコブという特殊なキャラクターを演じてみて、「本来グリム童話を届けたい対象は子供たちなんだろうなと思うので、(導入部分では)優しく紡ぎ上げていくことを意識して声を乗せていきました」と話す。またスタッフとの打ち合わせやディスカッションなど制作の内側にも参加したことを明かし、さまざまな意見を出すことができ楽しかったと述懐した。櫻井氏は冒頭の導入部分について「グリム童話はほとんどの人が知っていると思うので、まずは最初に(視聴者に)本来の物語を感じていただくことで、本編が変化球になっていくのかなと」と解説する。
また鈴木が導入部分のみならず、本編にも出演していることが明かされる。観客の中にはそれに気づいていた人も多く見受けられた。本編では“保安官C”などの役どころを当てられたという鈴木は「(本編は)シャルロッテの頭の中の世界なので、どうしても僕たちお兄ちゃんたちがその世界に出てきちゃうんですよね。面白い仕掛けだなと思います」と述べ、「演出や描き方、会話術とか、全部に何かしらをやってやろうという気概が感じられます」と制作陣の意気込みについても触れた。
またアニメはフィルムスコアリングで制作されたことが明らかに。WIT STUDIOとしても初の試みだったそうで、二宮氏も「映像の完パケを(音楽の)収録に間に合わせないと、というプレッシャーがありました(笑)」と振り返る。収録時も音楽を担当する宮川彬良が自ら指揮を振り、本編映像に合わせて生演奏が行われたそうで、収録は1話につき丸々1日かかったという。鈴木は「音楽の差し込まれ方が生き物みたいにうねっていて、観ているとすごく没入感を生み出してくれるなと。人が作り出すからこその面白さがあります」と話した。和田氏は最初からフィルムスコアリングを提示されて制作を依頼されたと明かし、「櫻井さんの企画として豪華なキャスト、スタッフ陣が参加する中で、映像が負けちゃダメだと。二宮も初のプロデューサーということで、元気に粘り強く食らいついてくれたと思います」と二宮氏を称賛した。
オムニバスながら作画の統一感が際立つと鈴木が述べると、二宮氏は「キャラクターデザインの大杉(尚広)さんに全体的に(指揮を)執っていただいて、各話の作画の方にも統一感を意識していただいた結果だと思います」と回答。和田氏はキャラクター原案をCLAMPが務めるという点にも言及し「やっぱりデザインが強いですよね。CLAMP先生じゃなかったらここまで統一感なかったとも思いますし」と述べる。そうした錚々たる面子が揃ったことについては「ダメ元でもお願いしてみるもんだなと思いましたよ(笑)」と櫻井氏。「これまであまりない形式のアニメなのに、よく受けてくれたなという感謝の気持ちでいっぱいです」と口にすると、和田氏も「いろんな人がこの作品にチャレンジさせてくださいって感じでしたよね」と述べた。
最後に鈴木から観客に向けてメッセージが送られる。「ちょっと聞いただけでも面白い作り方をしていて、これまで知っているものとは違うようなアニメーションができたのではないかと思います。監督ごとに違う作り方をされているので、監督たちの色が出ていて、人間らしいフィルムができているんじゃないかと。これを見たら今のWIT STUDIOがわかると思います」と語りかけ、来場への感謝を述べるとイベントは閉幕した。
※記事初出時、櫻井大樹氏の肩書きに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
「グリム組曲」
2024年4月17日(水)Netflix独占配信
監督
第一話「シンデレラ」:金森陽子
第二話「赤ずきん」:赤松康裕
第三話「ヘンゼルとグレーテル」:橋口淳一郎
第四話「小人の靴屋」:鎌倉由実
第五話「ブレーメンの音楽隊」:竹内雅人
第六話「ハーメルンの笛吹き」:仲澤慎太郎
プロローグ、エピローグ:久保雄太郎、米谷聡美
スタッフ
脚本:横手美智子
キャラクター原案:
キャラクターデザイン:大杉尚広
音楽:宮川彬良
アニメーション制作:WIT STUDIO
制作協力:Production I.G
プロデューサー:和田丈嗣
エグゼクティブプロデューサー:櫻井大樹
製作:Netflix
キャスト
シャルロッテ:福圓美里
ヤコブ:
ヴィルヘルム:野島健児
関連記事
CLAMPのほかの記事
リンク
geek@akibablog @akibablog
アニメ「グリム組曲」全6話の制作に4年、1話分の音楽収録は1日かけて生演奏で
https://t.co/vgEI3EOCNM