足かけ6年を費やし、ようやく公開を迎えた同作。黒川は企画当初を振り返り「企画が立ち上がった当初は、まだ(原作の)連載が終わってなくて、最後の展開がまだ決まってない状態でのスタートでした。とにかく原作の情報量がものすごくて、スマホの画面や書類の文字など、いろんな情報が詰め込まれているので、アニメの映像にどこまで落とし込めるか? 取捨選択が大変な作品だなと思いつつ、やりがいがあるぞと気合を入れました」と語る。
原作者の浅野とも話し合いを重ねて制作を進めていったという。「最初は先生の仕事場にお邪魔して、ご挨拶をさせていただいたんですが、当時のことは緊張しすぎて何を話したか覚えてなくて……。でも気さくに対応していただきました。その後、シナリオ開発や背景美術、キャラクター開発でも、現場にいろんなご指導やアドバイスをいただきました」と感謝を述べた。
アフレコについて幾田は「声色などはお任せいただいていて、浅野さんも『そのままの声で、自分なりにやってくれたらそれが門出とおんたんになるから、そのままやってください』とおっしゃってくださいました。その中でもストーリーの流れの中で、どういう背景があって、こういうセリフを言っているかなどを監督や皆さんにご指導をいただきながら、声をあてていくのはどのシーンもやっていました。ちょっとしたニュアンスなどを微調整しつつ、声だけですべてを表現しなければならないので、皆さんに助けていただきながらのアフレコでした」と述懐。「以下同文(笑)」と同意したあのは、声優初挑戦となった今作について「右も左もわからず、『大丈夫かな?』という感じだったけれど、自分なりの中川凰蘭を吹き込むという気持ちで、そこは胸を張ってやれるようにしました」と言葉に力を込めた。
そんな2人に対し、黒川は「この作品においては、おふた方以外はあり得ないと思っていました。それは僕だけでなく浅野先生もそうで、最初の収録の第一声から完成されていた印象でした。それが(収録を)重ねていくにつれてドラマも展開していき、役とおふた方の芝居がシンクロしていく瞬間に立ち合えて、奇跡が生まれる瞬間・歴史を見ているような、感激と感動に溢れたアフレコでした」と称賛。また黒川は前章で小学生時代の門出とおんたんが取っ組み合いのケンカをするシーンに言及し「まず、おふたりとも忙しいんですけど、僕のわがままで『ここは一緒に録ってほしい。バラバラだとうまく噛み合わないので』とお願いし、時間を割いていただきました。担当するアニメーターさんも『そういう大事なシーンなら、アフレコの音声を聞いて作画します』と言ってくださり、ものすごく力を入れてくださいました。あそこのお芝居は完全に幾田さんとあのさんの声の芝居から出てきた取っ組み合いで、僕も前章で一番好きな、思いが結実したシーンです」と感慨深げに明かす。
幾田はこのシーンについて「2人の中で満を持してという感じでしたが、お互いに音楽をやっているからか、間合いであったり、殴ったり蹴ったりの中で出てくる(呼吸の)音だったり、2人のコンビネーションが初回からよくできて『さすがだな』と思いました」と充実した表情を見せる。あのも「この2人だから、相手が幾田さんだからこそいけたと思います。リズムやタイミングが難しいけど、呼吸のフィーリングでうまくいきました。門出とおんたんで表現の仕方が違うので、決めずとも違いがちゃんと出ていてうれしかった」と頷き、幾田も「ケンカしてるけど、楽しかった」と思い返した。
舞台挨拶では、映画のキャッチフレーズ「地球がクソやばい!」にちなみ、登壇陣が自身の「○○がクソやばい!」を発表した。またイベントの最後にあのは「初めて声優をしましたが、この何年か自分の声が『邪魔だな』というか、何を言っても何をしても、声への批判が多かったり『気持ち悪い』と言われたりして、かわいそうだなと思っていたんですけど、今回声で選んでいただき、声だけで人の人生、ストーリーを描いていくことに参加することができて、みんなに『声がいいね』と反響をいただいて、初めて声を褒めてあげられるなと、僕自身もすごく救われました」と告白する。
一方の幾田は「アニメ映画は製作にいろんな人の時間やエネルギーが詰まってできあがる作品なので、オファーをいただいたときから大きな責任感の中で『しっかり務めなきゃ』という気持ちで臨ませていただきました。この作品で門出を生きられたことをすごく幸せに思っています。後章もめちゃくちゃクソやばい展開になっていますので、皆様の中で熱くなっているものを来月まで盛り上げていただいて、これからも一緒に楽しんでいけたらと思っています」と観客に語りかけた。後章は5月24日に全国公開。
「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
前章:上映中
後章:2024年5月24日(金)公開
スタッフ
原作:
アニメーションディレクター:
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
世界設定:鈴木貴昭
キャラクターデザイン・総作画監督:伊東伸高
色彩設計:竹澤聡
美術監督:西村美香
CGディレクター:稲見叡
撮影監督:師岡拓磨
編集:黒澤雅之
音響監督:高寺たけし
音楽:梅林太郎
アニメーション制作:Production +h.
製作幹事・配給:ギャガ
製作:DeDeDeDe Committee
キャスト
小山門出:
中川凰蘭:
栗原キホ:種崎敦美
出元亜衣:島袋美由利
平間凛:大木咲絵子
竹本ふたば:和氣あず未
田井沼マコト:白石涼子
大葉圭太:入野自由
小比類巻健一:内山昂輝
渡良瀬:坂泰斗
中川ひろし:諏訪部順一
小山ノブオ:津田健次郎
イソベやん:杉田智和
デベ子:TARAKO
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@comic_natalie が“自身の声を褒めてあげられる” 幾田りらはケンカも楽しかった