青ブタ「ランドセルガール」に瀬戸麻沙美「愛せる人になりたいって素直に思えた」

劇場アニメ「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の公開記念舞台挨拶が本日12月2日に東京・新宿バルト9で開催され、石川界人、瀬戸麻沙美、久保ユリカ、東山奈央が登壇した。本記事では19時15分の回上映前に行われた舞台挨拶の模様をレポートする。

昨日12月1日に封切られたばかりの「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」。前作「おでかけシスターの夢を見ない」との2部作として制作され、“青ブタ《高校生編》完結の物語”が展開される。梓川咲太役の石川は今作について、「なぜ咲太がここまで“思春期症候群”に巻き込まれるのか、今までの咲太を改めて振り返るきっかけになった」と語る。桜島麻衣役の瀬戸は「咲太が思春期症候群になったときに、誰が助けてくれるんだろう、今まで手を差し伸べてきた咲太を救うものはなんなんだろうか、どういうふうに向き合っていくのかがすごく楽しみではあった」と台本を読んだ際の期待を述べ、「同時に麻衣さんをどいういうふうに演じていこうか、すごく丁寧に向き合ったなって印象があります」とアフレコを振り返った。

梓川花楓役の久保は開口一番「はあ……」と大きなため息をつき、「もう（ネタバレを）言っちゃってもいいかもって思っちゃうので、それを押し込めるために（笑）」とため息の理由を説明。「『ランドセルガール』は『おでかけシスター』の上映期間に、皆さんの熱量が伝わってくる状態で収録できたので、それが個人的にはありがたかったです」と演技に込めた熱量を伝える。古賀朋絵役の東山は「（前作と）時系列が続いている中で、絶妙に伏線が張られてるなと。成長物語でありつつ、ミステリー要素も多分にあるのではないかなと思います」と見どころをアピールした。

咲太の彼女・麻衣以外にも、多くのヒロインが登場する「青ブタ」シリーズだが、女性キャストから見た咲太の魅力はどんなところにあるのだろうか。そんな質問がなされると、東山は「リスペクトできるところがたくさんあるんですけど、ときに自分のことを削りすぎてしまうくらい、相手の立場になって考えられる。いいところでありつつ『もっと自分のことを考えていいんだよ』と言いたくなる」と咲太の心を慮る。久保は「花楓にとっては一番最高のお兄ちゃん。ちゃんと花楓に伝わる形で咲太が優しさを表現してくれる」と花楓目線でコメントしたのち、「私目線だと、最近は『かわいいな』と思います」と付け加えた。瀬戸は「タフなところと、若いのにちょっと達観しちゃってるけどなりきれてないところ、一番は繊細な部分を麻衣にしか見せないところ」とすらすらと回答した。

そこで今度は、石川がヒロイン3人の魅力を語る。「古賀はお互いに気を使わない親友関係でいてくれる。花楓は咲太の自尊心を保たせる、理想の姿でいさせてくれる存在。麻衣さんは、『ありがとう』『がんばったね』『大好き』を体現している人、咲太が目指す先の人」と答えたところで終わりかと思いきや、「個人的に言うと麻衣さんはやっぱり素直なところがかわいいなって思いますよね。誠実ですよね。嘘がない。照れ隠しで素直になれないところがあったりするんですけど、そこがまたかわいい、なんでかって言ったら『それ照れ隠しですよね』っていうのがわかるのがかわいいですね」とすごいスピードでまくしたて、司会の天津・向から「漫談のテンポ。あべこうじさんのテンポ」とツッコまれていた。

最後にキャスト陣からひと言ずつメッセージが贈られる。東山はスクリーンに映るキービジュアルを示し、「この空の色は、向こう側は何かが起こっている、だから不思議な色なんですが、怖くないですよね。そういう温かさを滲ませている作品」とアピールする。久保が「1個だけネタバレしていいですか？ ホントに大丈夫なやつです！」と切り出し、「国見が階段を上ってくるところがあって、到着した後もめっちゃ爽やかで、いいですよ！」とオススメするように観客に向けて手を差し出すと、石川に「なんの話!?」とツッコまれる一幕も。瀬戸は「私は『ゆめみる少女』を観たときは『優しい人になりたい』、『おでかけシスター』を観たときは『私もがんばるぞ』って思ったし、『ランドセルガール』を観たときは、この人たちみたいに、家族でも友達でも、愛せる人になりたいって、本当に素直に思えたんです」と、シリーズへの思い入れを滲ませながら言葉を紡いだ。

石川は「いろんな人を助けてきた咲太は、思春期症候群に巻き込まれる側で発症する側ではなかった。今回は咲太自身がきちんと思春期症候群を発症します。改めて、思春期症候群の最中にいた人たちにどういう焦燥感があったのか、気持ちの歪みみたいなものがあったのかが、皆さんに体感してもらえると思います」と力強く語る。そして「本作は言語的な明確な説明が多い作品ではないです。皆さんに考えていただいて、解釈していただく幅が非常に広い作品です。どんな形であれ、きっとここに出てくるキャラクターたちを大好きになれる作品だと思いますので、ぜひとも上映終了後まで席を立たずに楽しんでいただけるとうれしいです」と呼びかけた。