「
今年7月に劇場公開され、現在も上映中の
会見は三鷹の森ジブリ美術館館長・安西香月氏の挨拶からスタート。同展の魅力について「吾朗くんの発案で美術館らしく絵を1点1点見てもらいたいということで、今までにない展示になってます」と語り、来場者に期待してほしいとアピールする。またひと足早く展示を観たという、協賛の日清製粉グループ総務本部広報部長・安達令子氏は「美術館の帰りにそのまま映画館に向かわれる人もいるのでは?」と思わず映画を見返したくなる展示であると述べ、「私自身、すぐにでも映画館に入りたい気持ちになっております。この展示が多くの皆様に楽しんでいただけるよう願ってます」と続けた。
そして同展の企画・監修を務めた宮崎吾朗が登場。今回の展示の企画意図について、「願わくば『君たちはどう生きるか』が宮崎駿の最後の作品であるといいなと(笑)。どうもそうじゃないようですが」と冗談を交えながらも、「もしこれが最後なら最後のチャンス。7年かけて映画を作ってきたことを考えたとき、彼の描いたイメージボードは今までの作品以上に見るのに値するんじゃないか」と語る。さらに「(同作は)今時珍しい手描きのアニメーション。アニメの現場はかなりデジタル化されている中で、紙に絵の具で描いているのは稀なケース」と、宮崎駿監督の手描きの絵を見せることにこだわった展示をしたいと考えた理由を明かした。
また今回の展示は明日からの第1部「イメージボード編」からはじまり、第2部「レイアウト編」、第3部「背景美術編」と3期にわたり、展示物を入れ替えて公開。その理由について、「ジブリ美術館の企画展示室は狭いので全部は展示できない。なおかつ、先ほど『美術館っぽい』という話もありましたが、1点1点じっくり見てほしいという気持ちが強かったので、絵を額に入れて鑑賞してもらう形式にしてます。ジブリらしからぬ展示ではあるんですけど、新しく絵を見る新鮮さにつながれば」と、普段のジブリ美術館の企画展示では見られない風景が楽しめることも伝えた。さらに宮崎駿監督が久しぶりに同館に足を運んだことも述べ、「『悪夢が蘇る』って言いながら絵を見ていましたが(笑)、特に何も言われなかったので今日のところはよかったのかなと」と笑いを誘った。
その後の質疑応答では映画に対する感想を語る場面も。「こんなものを作られたら誰もあとに続けないって感じですかね(笑)」と苦笑いを浮かべながらも、「手描きでここまで密度の濃い作画をするのもそうですし、普通の人には思いつかないアイデアが出てくる。なんでインコが出てくるのかわからない。スタッフもわからないまま描かされてたらしいです(笑)」と、宮崎駿監督の作品に対するリスペクトを明かした。また現在映画が公開中であることに関しては、特に意図したものではなかったといい、「相互作用は全然考えてなくて。でも絵を見て映画が観たくなることもあるだろうなと思うので、そうなっていただけたらなと思います」と語った。
展示会場では、宮崎駿監督が描いたほぼすべてのイメージボードを公開。普段はイメージボードや設定画、絵コンテや原画、フィギュアや模型など、さまざまな展示物がが所狭しと披露されることが多いジブリ美術館の企画展示だが、初めて“普通の美術館”のような作りをしたというだけあり、ゆったりとイメージボードや設定画が並べられ、シンプルに絵そのものをじっくり楽しめる空間に仕上げられていた。また宮崎駿監督自ら描き下ろして制作したパノラマボックス「黄金の門」も見どころの1つだ。
関連記事
宮崎駿のほかの記事
リンク
ティグレ @Masked_Tigre
【イベントレポート】“普通の美術館”を目指した「君たちはどう生きるか展」、宮崎駿の手描きの絵がズラリ https://t.co/jKmZJXCbvb