10月6日公開の「アンダーカレント」は、突然夫が失踪し途方に暮れていた銭湯の女主人・かなえの前に、堀という謎の男が現れることから始まる物語。本日のイベントには関口かなえ役の
もともと原作ファンだったという真木は、「けっこうマンガが好きで、ふらっと本屋に入ってジャケ買いすることが多いんです。もう10年以上になるけど、『アンダーカレント』もその1つ」とその出会いを回想。オファーがきたときのことについて「たぶんマンガ好きの人はわかってくれると思うんですが、好きな作品の実写化って絶対にしてほしくないんですよね。お話をもらったときは、『真木よう子じゃないんだよな』と言われたくないという思いと同時に、ほかの誰にもやらせたくないという思いがあって、ぜひやらせてくださいとお返事しました」と明かす。
今泉監督からは、原作の豊田とのやりとりが語られる。「2人で何度も会いました。最初にお会いしたとき、4時間ぐらいいろんな話をして。そのときに『この作品、やりたいですか?』って聞かれて、『やりたいです』って言ったところから始まりました」と振り返る。監督として映画化することには即答だったと言う今泉だが、少しためらいもあったそうで「今までも何度か映像化の話があったみたいなんですが、先生がお断りされてたみたいで。『どうして断ってたんですか?』って聞いたら、『この作品って、映像になって面白くなると思いますか?』と言われて。そのときは、『僕が面白くします!』とは言えませんでした。簡単に面白くできると言える、感覚で捉えられるような作品ではないなと思ったんです」と当時の思いを吐露する。
映像化するにあたり意識したことについて、今泉監督は「原作には重さや深さ、悩みや孤独という部分もあるけれど、コミカルな時間とか普通に生活している穏やかな時間も流れている。その面白さをどう映像化するかは考えました」とコメント。「真木さんと共演経験ある人をキャスティングすることで、この映画を作る以前からの時間や関係性もプラスになればと作ってました」とも続ける。実際に、真木と江口は2005年公開の「パッチギ!」で共演した頃からの仲だそう。真木は江口のことを「親友だと思ってます」と言うが、江口は「親友ではないです。昔から知ってるというだけ」とバッサリ。江口との久々の共演について、真木は「今、売れに売れて捕まらない江口のりこが、私の主演を手伝ってくれる。こんなにありがたいことはない。好きすぎて顔を見ると笑っちゃうので、撮影中はそこだけ気をつけてました」と話す。
また真木は初タッグの今泉監督について「私は最初に会ったときの直感を大事にするタイプ。初めて監督に会ったとき、たぶん私この人のこと好きだな、うまくやっていけるだろうなと思いました」と述べる。しかし真木が原作への思い入れが強かったこともあり、役の捉え方について意見の違いはあったそう。今泉監督は「真木さんは、かなえが心に抱えているものがすべての時間にあるという感覚。だけど僕は、忘れてる時間があってもいいと思っていて。でも結果的にできあがった映像を観たら、真木さんが信じていたものが残っていることで、いい重力、不穏な空気があった」と語る。真木は「かなえちゃんを思うあまりに、『監督がそこをわかってなかったら、かなえちゃんが可哀想だ!』と言ったことがあります(笑)」と役への愛が窺い知れるエピソードを披露した。
最後に真木は「この映画をやり終えたことによって、周りにいる大切な人の見方や接し方が温かいものに変わりました。ご覧になった方も、そんなふうに温かくなっていただければいいなと思います」と挨拶。まだ完成版の映像を観れておらず、予告編だけ何度も観たという江口は「私も劇場で観るのを楽しみにしてます。どんな映画なんですかね」と笑いを誘う。真木と親友ではないと言っていた江口だが、フォトセッションのときも2人はマイクを通さずしゃべりっぱなし。カメラに目線を向けなければいけないにもかかわらず、お互いを見てしまう仲のよさを見せつけ、イベントは幕を閉じた。
映画「アンダーカレント」
2023年10月6日(金)全国公開
スタッフ
監督:
音楽:細野晴臣
脚本:澤井香織、今泉力哉
原作:
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
配給:KADOKAWA
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原作:豊田徹也『アンダーカレント』講談社/KCデラックス アフタヌーン