劇場アニメ「
鴨志田一による小説を原作とし、2018年に「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」、2019年に「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」が展開されたアニメ「青春ブタ野郎」シリーズ。6月23日に公開された約4年ぶりとなる新作「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」では、咲太の妹である花楓が新たな一歩を踏み出す姿が描かれる。6月24日には、作品の聖地である神奈川県藤沢市をはじめとする各地で舞台挨拶を実施。新宿バルト9では上映後と上映前の2回、舞台挨拶が行われた。
新宿バルト9での1回目となる上映後のトークでは、MCを務めた天津向が「4年ぶりの新作アニメ、いかがだったでしょうか!?」と尋ねると、会場は熱量を感じる拍手に包まれる。この日が、療養からの復帰後初の仕事となった石川からは、医師も驚愕するペースで回復したというエピソードが披露された。またそんな石川にはサプライズも用意。スクリーンで咲太の名場面をまとめた映像が上映され、最後には「石川界人さんおかえりなさい!」というメッセージも映される。サプライズに喜びをみせた石川は、公開記念舞台挨拶に絶対に立ちたかったと語り、作品への深い愛情を覗かせていた。
トークパートでは、公開を迎えた今の心境がまず話題に。石川が観客に「めちゃくちゃ花楓のがんばり、すごくなかったですか!?」と尋ねると、客席からは同意の拍手が返ってくる。続けて、自身も試写会で鑑賞した際に花楓のがんばりから日々の活力をもらったことを明かした。印象に残ったシーンの話題では、石川が次作「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」に繋がるという咲太と父親とのシーン、久保が、花楓が峰ヶ原高校への入学願書を提出しに出かけた際の兄妹のやり取りを挙げるなど、各キャストからさまざまなシーンがピックアップされた。
また公開まで隠されていた、花楓とかえでが歌う主題歌「不可思議のカルテ」について触れる場面も。久保は花楓として歌い直すのではなく、花楓として改めて歌う機会をもらえたという心境で収録に臨んだそう。改めて収録したかえでのパートもTVシリーズと歌い方を変え、花楓と咲太の背中を押すような気持ちを表現したと、楽曲にまつわる秘話を披露した。
上映後のトークということもあり、キャスト陣を代表して石川が映画を見返す際に注目してほしいポイントを語ることに。石川は「おでかけシスターの夢を見ない」の物語が、過去の自分であるかえでが現在の自分である花楓の背中を押す構図になっているとコメント。花楓は人格が2つに別れるという特殊な状況ではあるが、過去の自分が現在の自分の背中を押す構図は誰もが共感できる要素だと観客に自身の視点から魅力を伝えた。
最後の挨拶では久保が自身の演じる花楓とかえでについて、涙ながらに「花楓もかえでも、もう1人の自分より劣っていると感じることがあって、それが辛かったんだろうな」と話す。続けて、そんな花楓とかえでの姿が、本来の自分と声優としての自分にも重なる部分があったが、花楓とかえでという役に出会えたことで、そんな自分を肯定できたとキャラクター、作品へ感謝。今の自分が未来に繋がっていく、自分にとって必要な時間だったと思えるようになる、そんな作品に「おでかけシスターの夢を見ない」はなったと作品への自信をみせた。
新宿バルト9でこの日2回目となる上映前の舞台挨拶にも、同じく石川、瀬戸、久保、内田、雨宮が登壇。この回では、6月11日に開催された完成披露上映会や、ABEMAでの特番にも話題が及んだ。完成披露上映会は療養中のため欠席となった石川だが、ABEMAでの特番はしっかりと試聴していたことを告白。自身も出演したかったと、うらやむ様子を見せていた。
ネタバレを避けながらのトークということもあり、新作制作を知ったときの心境や改めてキャラクターを演じた感想が話題に挙がる。TVシリーズではスポットの当たるヒロインではなかった卯月役の雨宮は、卯月という個人にちゃんと関わるのは「おでかけシスター」が初だったと明かし、アフレコは資料を読み込んでから臨んだものの、当日はキャラクターを作り上げるところからスタートになったと収録を振り返った。この話を受け、MCの向は「『青ブタ』ファミリー感があった」と一言。この言葉には雨宮も喜びの表情を見せ、ほかのキャスト陣とは違う立ち位置のキャラクターだったことから不安があったこともあり、向の言葉が素直にうれしかったと話した。
この回の最後の挨拶では、石川が花楓のがんばりが胸を打つ、そして「自分が本当にがんばりたい事は何なのか、見つめ直す作品になる」と述べる。久保は、何気ない1つひとつの時間が本当に大事だと感じられると、作品から受け取ったメッセージを伝えた上で、自分のペースや自分の受け取り方で作品を楽しんでほしいと伝えた。そして、花楓もかえでも愛してもらえるとうれしいと観客へささやかなお願いをし、イベントを締め括った。
なおコミックナタリーでは「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」の公開を記念した特集を展開中。日向坂46に所属するアニメ好きの高瀬愛奈と山口陽世が、これまでのシリーズの見どころや好きなキャラクター、劇場アニメに寄せる期待などについて語っている。「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」
2023年6月23日(金)公開
スタッフ
原作:鴨志田一(電撃文庫刊「『青春ブタ野郎』シリーズ」)
原作イラスト:溝口ケージ
監督:増井壮一
構成・脚本:横谷昌宏
キャラクターデザイン・総作画監督:田村里美
プロップデザイン:道下康太
美術設定:塩澤良憲
美術監督:大久保聡
色彩設計:横田明日香
3Dディレクター:織田健吾、田中葉月
2Dワークス・特殊効果:内海紗耶
撮影監督:楊暁牧
編集:三嶋章紀
音響監督:岩浪美和
音楽:fox capture plan
制作:CloverWorks
製作:青ブタ Project
キャスト
梓川咲太:
桜島麻衣:
梓川花楓:
古賀朋絵:東山奈央
双葉理央:種崎敦美
豊浜のどか:
広川卯月
※種崎敦美の崎はたつさきが正式表記。
関連記事
楊(やん) @yan_negimabeya
【イベントレポート】「青ブタ」久保ユリカが花楓とかえでに自身を重ねる、涙ながらに2人との出会いを感謝(動画あり) https://t.co/rLk6s86rH3