「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」の公開ゲネプロが、本日5月5日に東京のTHEATER MILANO-Zaで行われた。
東京・東急歌舞伎町タワーにオープンする新劇場・THEATER MILANO-Zaのこけら落とし公演として、5月6日から28日まで上演される「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」。ある日世界各地に謎の“侵略者”が出没したことをきっかけに隕石が落下し、日本には巨大なクレーターが出現する。生き残った人々は4体の兵器・エヴァンゲリオンを開発し、使徒に立ち向かう。その陰にある真実を知る男・渡守ソウシは、贖罪と再生のためかつての恋人で特務機関メンシュの現場指揮官・霧生イオリに接触し……。6月3日・4日には長野・まつもと市民芸術館、6月10日から19日までは大阪・森ノ宮ピロティホールにて公演が行われる。
ゲネプロにはソウシ役で主演を務める
ステージ上には大きく傾斜を付けたセットが組まれた。セットは人力で動かすことができ、都度形を変えながらシーンごとにステージ上の印象を大きく変化させた。舞台は14年前に起きた隕石の衝突事件にまつわる記者会見の様子を、現代のソウシが見ている場面からスタート。使徒に対抗する策としてエヴァンゲリオン計画を立ち上げたことで、マスコミからの猛烈な追及を受けるサネユキ。舞台上スクリーンには、メンシュのトレードマークがプロジェクションマッピングで大きく映し出されていた。
ナヲ、トウマ、ヒナタ、エリたちパイロットとエヴァンゲリオンによる戦闘シーンでは、パイロットたちはワイヤーアクションでダイナミックな戦いを表現。舞台上のエヴァンゲリオンの人形は複数のキャストによって動かされ、パイロットを演じるキャストの演技とエヴァンゲリオンの動きを巧みに同調させる。また劇中には各所でダンスシーンが差し挟まれ、窪田や石橋、宮下が流麗なコンテンポラリーダンスを披露した。
公開ゲネプロに際して構成・演出・振付を担当するシディ・ラルビ・シェルカウイと、窪田、石橋、田中がコメントを発表。シェルカウイは「『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』は、ある意味で『エヴァンゲリオン』とは違うことを目指しています。そこで伝えたいのは『今、我々がどう生きているか』ということ。ご覧になったあとは、ぜひ皆さんで語り合っていただけたらと思います」とコメント。窪田は「「舞合・エヴァンゲリオン ビヨンド』はとても現代的なテーマが込められた作品だと僕自身解釈しています。渡守の生き方は自分の心を代弁してくれている気がして、舞台はそれをストレートに表現できる場所でもありました。デジタルが加速してすべてが映像やインターネットに代わっていく時代だけど、あえてそこに抗い、今『エヴァ』を演劇でやる意味はあると、僕は思っています」と述べている。石橋、田中のコメントは以下に掲載した。
シディ・ラルビ・シェルカウイ(構成・演出・振付)コメント
「エヴァンゲリオン」を舞台化するというのは、まさに道徳観や価値観と向き合い「なにが正しくて大切なのか」を問いかけることだと考えています。今回の舞台化では、「エヴァンゲリオン」という神話を使いながら、同時に新たな物語を立ち上げます。原作のアニメーション作品と同様にエヴァンゲリオンにパイロットたちが搭乗して使徒と戦いますが、私たちの物語は別の道へ向かって行きます。原作の原理や本質を反映していますが、私たち独自のやり方でそれを表現しています。ただアニメと同じものを映し出すわけではありません。これは、今の世界を映し出す鏡なのです。ですから「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」は、ある意味で「エヴァンゲリオン」とは違うことを目指しています。そこで伝えたいのは「今、我々がどう生きているか」ということ。ご覧になったあとは、ぜひ皆さんで語り合っていただけたらと思います。この作品を見てどのように感じたか、そして自分の仕事や人生についてどう考えるか。そんな会話が生まれるのを楽しみにしています。
窪田正孝(渡守ソウシ役)コメント
今の大人たちは子供たちへバトンを渡すことができるのか。「舞合・エヴァンゲリオン ビヨンド」はとても現代的なテーマが込められた作品だと僕自身解釈しています。渡守の生き方は自分の心を代弁してくれている気がして、舞台はそれをストレートに表現できる場所でもありました。デジタルが加速してすべてが映像やインターネットに代わっていく時代だけど、あえてそこに抗い、今「エヴァ」を演劇でやる意味はあると、僕は思っています。正直、情報に埋め尽くされすぎて心に余白のある人が以前より少なくなった気がしています。
だからこそこの作品に僕は余白を作りたいし、観てくださる方の、なにかきっかけになればと思っています。先入観を捨て、目の前で起きることを自然な感覚で捉えていただけたら幸いです。
石橋静河(霧生イオリ役)コメント
ラルビさんといつかお仕事がしたいと思っていたのが10年くらい前のこと。ダンスを志す者としていつかご一緒したいと思っていましたが、踊りを離れてお芝居の世界に入って。思っていた通りにではないけれど、確実に夢が叶ったことに不思議な感覚を覚えます。
この作品ではヒエラルキーの頂点には叶が、その下にイオリ、そして子供たちがいる。そんな男性社会の中で、人には制御しきれないエネルギーを使う弊害が描かれるなど、とても今にリンクした作品になっています。だからこそ表面的な設定や世界観だけでなく、この作品の真髄をご覧になる方々へ伝えたいと思っています。
田中哲司(叶サネユキ役)コメント
今回の話を聞いたとき、よく「エヴァンゲリオン」の舞台化を決意されたなと思いました。でも2018年に「プルートゥ PLUTO」を観て、作品をまとめ上げる力量に感嘆したので、ラルビさんの演出ならば、そこに身を委ねてみたいと思いました。実際に稽古が始まってみて感じるのは、この作品の根底にあるのは人間の力であり、そこに「エヴァンゲリオン」を演劇にする意味が詰まっているということです。
叶が手をのばすもの、僕はそこに原発をイメージします。今はしのげていても明確な未来は見えない。暮らしは豊かになったけど、電力が供給され続けなければその豊かさは維持できない。もうあとには引けない、だから科学者として突き進むしかない。叶の姿には、今の世界が如実に反映されていると感じています。
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