「アンダーカレント」は2004年8月より1年間にわたり月刊アフタヌーン(講談社)で発表された作品。家業を継ぎ、夫の悟と銭湯を切り盛りするかなえだったが、ある日突然悟が失踪してしまう。途方に暮れるかなえだったが、一時休業していた銭湯の営業を再開させると、そこに「働きたい」という謎の男・堀が現れる。そしてある手違いをきっかけに、堀は住み込みで働くこととなり……。単行本は2005年に刊行され、このたび重版が決定した。
同作は2009年にはパリで開催された「Japan Expo」において「第3回ACBDアジア賞」を受賞。2010年にはフランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出された。また2020年にフランスメディアで発表された「2000年以降の絶対に読むべき漫画100選」では3位に輝いている。
映画化にあたり、豊田と何度も2人きりで会い、話をしたという今泉監督は「豊田さんは『僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください』と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った」「とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます」とコメントを寄せた。なお映画の脚本は「愛がなんだ」の澤井香織が、今泉とともに手がける。
今泉力哉監督コメント
この世界にはそれが存在することで誰かが救われるという作品があって、そして、そういうものを生み出す人がいて、豊田徹也さんの「アンダーカレント」はそういう漫画で、豊田さんはそういう人だ。映画化にあたり、豊田さんと何度もふたりきりで会っていろんな話をした。はじめて会った日に4時間お茶をしたのだが、まだまだ話し足りなかった。帰り際、原田芳雄さんのエッセイ「B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ」をいただいた。豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った。コロナ禍でお茶をしたある日、会計時に自分の分のコーヒー代を、きっとこういうご時世だからだろう、衛生面からラップにくるんでご用意してくださっていて。この繊細さをきちんと映画にしたいと思った。私はキリスト教徒なのだが、熱心な信者ではなくて、それでもたまに教会に行くと心が澄む感覚になるのだが、自分にとっての豊田さんはそういう人で、会うと心が澄む。とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます。かなえや堀も、今もどこかで元気でいてくれたら。
監督 今泉力哉
映画「アンダーカレント」
2023年秋公開
スタッフ
監督:
脚本:澤井香織、今泉力哉
原作:
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
配給:KADOKAWA
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映画化に文句つけるわけでも何でもないがニュースの見出しに「豊田徹也」とあったら「新作!?!?」とは思うじゃないですか、思ったらガッカリはするんですよ、でも重版は大変めでたい!!!!
/豊田徹也「アンダーカレント」今秋映画化、監督は「愛がなんだ」の今泉力哉 https://t.co/7Q755pNhyE