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これは明日11月2日まで開催されている、「第35回東京国際映画祭」の一環として実施されたもの。同映画祭の「ジャパニーズ・アニメーション部門」でピックアップされた「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」は、「ソードアート・オンライン」シリーズ初の劇場版作品で、2017年公開された。優れたAR機能を備えるウェアラブル・マルチデバイス“オーグマー”が流行している2026年を舞台に、オーグマー専用RPG“オーディナル・スケール”をめぐるキリトたちの戦いが描かれる。
トークショーには伊藤監督のほか、「ジャパニーズ・アニメーション部門」のプログラミングアドバイザー・藤津亮太がMCとして参加。「オーディナル・スケール」を観返した感想を問われた伊藤監督は「昨日(2022年10月31日)が、劇中のゲームソフト『ソードアート・オンライン』の発売日だったというのもあり、意外と5年で追いつかれるもんだなって思いました。先ほど『ドラゴンクエストウォーク』を立ち上げたとき、『Coke ON』とのタイアップで、(コラボデザインのスタンプを集めると)無料でジュースが1本もらえるキャンペーンをやっていることを知って。これ自分も劇中でやったなと思って、絶対しゃべろうって思いました」と述べる。伊藤監督にとって、「オーディナル・スケール」は初めて手がけた劇場作品。TVアニメ「ソードアート・オンライン」「ソードアート・オンラインII」にも携わった伊藤監督は、劇場版を作るにあたり、「TVアニメの劇場版って、番外編的な作品が多いんですけど、そうではなく映画単体として成立したものを作りたいという欲求がありました。番外編だと、ゲストキャラがその映画の問題解決をしたり、成長したりってことがよくあるんですけど、メインキャラがやらないと意味がないって思ったんです。シリーズ原作者の川原礫先生にもご理解いただいて、キリト、アスナがともに精神的成長を経るように、シナリオを作りました」と、当時考えていたことを振り返った。
ビジュアル面で意識した点について聞かれると、伊藤監督は「なるべくカロリーを、アクションパートに多く持っていけるように、ビジュアル面含めて工夫をしました。また歌を歌うという面倒な要素が増えているので、映画としては華やかな時間が多くてよかったんじゃないでしょうか」とコメント。それに対し藤津は、作中に歌姫・ユナが登場するというアイデアを、どう盛り込もうとしたのかと尋ねる。伊藤監督は「歌姫を出したいという案はこの企画の初手からありましたが、『メガゾーン』『マクロス』といった既存作と、どう差別化したらいいのかというのは気にしましたね。ユナはこれまであまり見たことのないキャラにしようと、自分なりに差別化を図りました」と伝えた。
「オーディナル・スケール」を作ったことで、「自分が映画に欲するものってなんだろう」と考えるようになったという伊藤監督。映画と向き合わざるを得なくなったことについて伊藤監督は、「演出業という職業をやっている都合上、自分でここはグッとこさせようと思うシーンは、計算で作ろうと思えば作れるんです。でも計算とは違う感情になるところも『オーディナル・スケール』にはいくらかあって。観返したときたまに、なんでここは作ってるときと違う感情になるんだろうって思ったりするんですよね」と語る。藤津が、アニメは画面のすべてをコントロールできるのが特徴というが、そうではない何かが派生したということなのかと返すと、伊藤監督は「そうだと思います。完成したときは、とりあえず終わったっていう気持ちが先に立つんですけど、何日かしてから見ると、ここはグッとくるところだったんだなあというのを再確認するというか。特にユウキが登場するところは、今観返しても、声を入れなくてよかったなって思います。最初声を入れますかって言われたんですよ。でも僕は『(声は)入れません。(なぜなら)死んでいるから』って答えました」と、裏話を明かした。
さらに藤津から伊藤監督へ、「オーディナル・スケール」で一番手応えがあったシーンについての質問が飛び出す。伊藤監督は「第100層のボスとのバトルシーンですかね」と当時の苦労を思いながら、「とにかく今は無事終わってよかったという気持ちでいっぱいです」としみじみと述べた。最後に伊藤監督は会場に駆け付けたファンに向け、「劇場では奇しくも新作の『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』が公開中にもかかわらず、こちらにも来ていただいてありがとうございます。どうやらこの作品はまだ続いていく感じがするので、気長にお付き合いいただきながら、『オーディナル・スケール』も忘れずに、たまに観返してあげてください」とメッセージを贈り、イベントは締めくくられた。
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