斉藤壮馬が「永遠の831」試写会で神山健治に「ファンです」、M・A・Oと興津和幸も出席

オリジナル長編アニメ「永遠の831」の先行試写会が、本日1月15日に東京・秋葉原UDXシアターにて開催された。

WOWOWの開局30周年記念作品として1月30日に放送・配信される「永遠の831」。“未曾有の大災厄”により混迷を極める現代の東京を舞台に、自分ではコントロールできない“時間を止める力”を持つ青年・浅野スズシロウ、同じ“力”を持つ少女・橋本なずな、なずなの異母兄で半グレ集団“831戦線”の中心人物・亜川芹の物語が展開される。イベントにはスズシロウ役の斉藤壮馬、なずな役のM・A・O、芹役の興津和幸、監督の神山健治と、主題歌「ひとひらの未来」を手がけたangela、オープニングテーマ「キンギョバチ」を歌うカノエラナが出席した。

タイトルにある“831”という数字について、神山監督は「なんて読むのかなと思われた方もいると思いますが（笑）。8月31日は夏休みの最終日で、皆さんそれぞれいろんな思いがあるのではと思います。コロナ禍になってからの日本は夏休みの最終日のように感じていて、アニメーションを通して僕から見た今の日本を切り取ってみようという思いで、この作品を作りました」と語る。劇中では新型コロナウイルスの流行は“大災厄”という形で間接的に描かれているが、このことに関して神山監督は「映画って本来楽しんでもらうために作るものであって、この苦しい状況を描くことに意味はあるのだろうかと悩みました。ですがこのコロナ禍は多くの方が人生で一度体験するかどうかというほど大きなことなので、これは作品に引き写すべきだなと思ったんです」と思いを述べた。

スズシロウを演じるうえで意識したことを問われた斉藤は、「きっとこの作品は、1つの明確なテーマを描くものではないと思うんです。スズシロウの目線で物語が紡がれていくんですが、個人的な解釈で足し引きせず、フラットな目線で彼に寄り添えたら、観ていただく方への問いかけになるのではと考えました。だから誇張し過ぎず、彼が何を考えてどんなことを発したいのかを過不足なく考えて演じました」と振り返る。かねてよりファンだった神山の監督作に参加したことについては「素敵なご縁がつながってスズシロウくんを演じさせていただいてうれしいです」と述べ、神山に「ファンです」と語りかける。神山は「僕も斉藤さんたちに演じていただけてよかったです。皆さん各々の中に、僕が望んでいたキャラクターが現れていました」と感謝した。

M・A・Oは自身が演じたなずなが、スズシロウよりも年は若いものの、精神的には彼より大人だと感じる場面があったという。なずながスズシロウと同じ能力を持っていることから、彼に理解を示して優しく寄り添う姿を、大人びて見せられるように意識したと語った。芹を演じるにあたって興津は、普段は吸わないタバコを吸って役作りに臨んだと明かす。理由として興津は「この作品では自然な演技が必要だなと。現代に生きている人の姿をあんまり誇張せずに描いたほうがいいのかなと思ったんです。わざと作るのではなくて、自分の肉体の状況をちょっと変えたら、少し悪い感じが出るかなと思って挑戦してみました。普段と違う感じが生まれたのは新鮮でしたね」と話した。

続いてangelaのatsukoとKATSUが主題歌「ひとひらの未来」の制作背景を紹介する。atsukoは「一歩踏み出すことによって、未来に色が着いていくような、風のようにふわっと背中を押してくれるような楽曲になればいいなと思いました」とコメント。KATSUは“テンポが遅すぎず早すぎず”、“曲調が明るすぎず暗すぎず”という神山監督のオーダーに苦戦したと語るも、「どうやって『永遠の831』を永遠ではなくするかという答えが見つけられなかったんですが、夏を終わらせる、季節を変えるということがヒントになりました。思考錯誤してできたのが今回の曲です」とポイントを語る。カノエはオープニングテーマ「キンギョバチ」について、「（神山監督から）等身大の自分で書いていただいて大丈夫ですというオーダーをいただいたんです。私とスズシロウは年齢も近く、性格も似ていると感じる部分があったので、彼の怒りや戸惑い、苦しみを曲として自分の中で落とし込むのであったら、ロックで激しく怒りまくる曲がいいと思いました」と意図を述べた。

イベントではangelaとカノエがそれぞれ「ひとひらの未来」と「キンギョバチ」を生披露するライブコーナーも。最後に神山監督は観客に向けて「どういうふうに感じていただけたのか、皆さんのご感想をぜひ周りの方にお伝えいただけたらと思います。そしてまたWOWOWでのオンエアも観ていただけたらうれしいです」と述べ、イベントを締めくくった。