競技かるたを題材とし、2007年よりBE・LOVE(講談社)で連載中の「ちはやふる」。現在、物語はクライマックスに突入し、千早、太一、新、そして個性豊かなライバルたちの織りなす友情と戦いが完結を迎えようとしている。「ちはやふる展」では初期に描かれたものから初公開の原画まで、出品総数500点以上のスケールでストーリーを振り返り。東京での開催後は、約2年間にわたり全国を巡回予定だ。
まず会場の入り口には「ちはやふる」の印象的なシーンを映した巨大スクリーンが登場。スクリーンの両脇は障子に囲まれており、そこに桜の花びらが舞っているかのように見えるデザインとなっている。第1章「かるたがあるからまた会える~物語の始まり~」では、第1話のすべてと追加エピソードの原画を展示。クイーン戦を予感させるシーンから始まり、千早、太一、新の運命を大きく変えた出会いと別れを辿ることができる。資料展示のコーナーには末次のネームノートも。末次は第174話以降、ネームもデジタルで制作するようになったため、このネームノートは紙に描かれたストーリー構成を見られる貴重な資料だ。さらに百首各々について末次自身が調べ、文字とイラストでまとめたノートも展示された。
第2章「仲間がいたら強くなれる~かるたでつながる輪~」は、千早、太一、新が高校生活を通じて新たなかるた仲間に出会い、成長していく姿を振り返っていく展示に。高校選手権団体戦の3位決定戦で戦った、千早と新の初期配置を畳の上で再現したコーナーも設けられた。さらに作中に登場した和歌の中から、3人の心情を映した6首を現代語訳、解説とともに紹介するパネルも。スピーカーからは専任読手による豊かな読みも音声で流れた。
第3章「かるたを一緒にしてくれてありがとな~青春全部を懸けた闘い~」、第4章「行こう一緒に不尽の高嶺へ~名人戦・クイーン戦~」でも、物語の時系列に沿って原画を展示。第5章「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは ~漫画家・末次由紀の筆遣い~」では、執筆風景やインタビュー映像を交えて、末次の表現に対する探究心、創作への熱意、作品にかける思いに迫る。インタビュー映像では同展のメインビジュアルで描いたサザンカや水引、そして「ちはやふる」で描きたいテーマについて語られた。
最終章では作品とかるたに関わる人たちをより深く結びつけた「ちはやふる基金」に着目し、末次が「競技かるた」と未来のつながりに馳せる思いを紹介。物販にはパンフレットをはじめ、ダディベアやスノー丸のぬいぐるみ、桐箱入りの爪切りなどのグッズも登場した。なお8階のMGカフェでは「ちはやふる展」とのコラボカフェが展開される。
「ちはやふる展」
会期:2021年12月27日(月)~2022年1月17日(月)(※1月1日は休館)
時間:10:00~20:00
会場:東京都 松屋銀座8階 イベントスクエア
料金:一般1300円、高校生800円、中学生600円、小学生300円
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