赤松健×竹熊健太郎、マンガ業界の5年後を考える対談

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去る1月28日、「ネギま!」作者にして絶版マンガ閲覧サービス「Jコミ」代表取締役の赤松健と、京都精華大学教授で編集家の竹熊健太郎が、都内某所にて対談を行った。

赤松健(写真は昨年12月6日に行われた、株式会社Jコミの設立記者会見より)

赤松健(写真は昨年12月6日に行われた、株式会社Jコミの設立記者会見より)

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この対談が企画されたのは、両者がtwitter上で交わした「電子出版時代の編集者像」にまつわるやりとりが発端。「マンガの主戦場が電子書籍に移行した未来では、編集者の職能も兼ねたマンガ家が生き残っていくだろう」という意見で一致を見た両者が、懇談の機会を求めたことによる。

しかしながら、対談が始まってみると両者の立ち位置の違いは明白。電子書籍時代でも「編集職は絶滅しない」と主張する竹熊に対し、赤松は「やがて編集者は絶滅し、ひいてはマンガ文化も死に至るだろう」と悲観論を展開した。

赤松のロジックは明快だ。電子書籍の割合が増えるほど、業界は一握りの人気作家によるヒット作で支えられるようになる。人気作家はすでにプロデュース能力を手にしているため、編集者が作品にアドバイスする余地はなく、よって編集者の力量が育たない。すると新人に対して有効な指導ができず、新人が育たない。人気作家たちが引退したのち、後続する才能は枯渇し、ゆるやかに業界は死に至るであろう、と。

これに対し竹熊は、「ヒット作に依存しない、小規模少部数の生き残り作もある」「プロダクション制の導入で新人育成の余地はある」と反論。しかし「トップ作家になれば年収数億という夢が消失すれば、マンガ家を目指す若者も減り、地盤沈下は避けられない」と述べる赤松と、議論が噛み合うことはなかった。

しかし両者とも、あまりの意見の相違に「これほどまでに話が合わない人と会ったことがない」とお互いの業界認識に興味が尽きない様子。最終的に「5年後、どちらの見通しが正鵠を射ていたか、再会して確かめあいましょう」と肩を叩きあい、7時間にも及ぶ対談は幕を閉じた。この対談の全容は2月上旬、電子書籍ニュースサイト・ITmedia eBook USERにて伝えられる。

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