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「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram」に登場する円卓の騎士のキャストが勢揃いしたのはこれが初めて。進行役を務める島崎が「王としてはどうですか?」と獅子王役の川澄に振ると、川澄が答えようとする前にほぼすべてのキャストがひざまずく。川澄が「やめてやめて」と慌てる中、内山だけはひざまずくことなく「やれよ!(笑)」と一同からツッコミが。気を取り直し、川澄は「全員が揃うなんて光栄。我が円卓、負けるはずがないなって、とても誇らしいです」と笑顔で答えた。
宮野は収録の様子について、「キャメロットの物語が、ベディヴィエールの視点で映画化されるということはすごく光栄であると同時に緊張感もあり、気合いを入れて収録に臨みました。前編後編通してしっかり役をまっとうできたし、より深く深くベディに入っていくことができた」と回想。長く「Fate」シリーズに携わってきた川澄は、宮野について「15年前の『Fate』からベディヴィエールという名は出ていましたが、こんなに深く愛情を持って役を演じてくださって、感謝の気持ちが湧き上がってきました」と語る。島崎は「原作の奈須(きのこ)先生も後編をご覧になって、『すごくよかった、円卓みんな最高だった』とおっしゃってました」と話した。
映画好きの内山は、完成した映像について「いただいた映像を家で観たんですけど、『えっ、なにこのバトル』って思ったら止めちゃって、1回巻き戻して『どうやって作ってるんだろう?』って絵の構造を分析したくなる。スタッフさんの制作裏話を聞きたくなるような作品です」と感想を述べる。また自身の演技について「トリスタンとしては、基本的に原作ゲームでも静かにしゃべるキャラクターなのですが、後編では激しいシーンもあり、彼の中での変化をどう見せていこうかというのが課題でした」と話すと、島崎と川澄から「川澄さんとも、うっちーすごいねって話しましたよね」「そうそう」と称賛された。
島崎は“モードレッドvs玄奘三蔵”のシーンについて「荒々しくてよかったです」と言及。沢城は「荒々しいだけになってしまったかもしれない……(笑)。ずっと焼き切れているような感じ」と答えつつ、「『Fate/Apocrypha』のときは毎回収録前に東出(祐一郎)先生にセリフの1個1個を確認していたくらい、モードレッドは、なるべく描こうとされているものに忠実に、でも自分も肉付けができるようにということが課題だなと思っているキャラクター。『Apocrypha』のときは自然なかわいいところも見られたのですが、今回はただただつらい、かわいそうな時間が長くて。もともとすごくいい子なので、あんなふうに三蔵に説法してもらえるとは」と話す。安元が「あのシーン、すごくきれいでよかった。三蔵は前後編通していいキャラクターですよね」と語ると、沢城は「三蔵の読み上げる言葉の意味を1つずつ調べて、私は今こういうことを言われてるんだ、と読み解くのに自分のセリフ以上にすごく時間をかけました」と述べた。
後半でベディヴィエールとの激しいバトルシーンを演じた水島。「獅子王に召喚されて、王に付いてくるかと問われたときに彼は非常に重い決断をしていて、そんな中でベディが現れたことを獅子王に報告しなかったのは彼の忠義にも迷いがあったということではないかと思うんです。ベディとガウェインの戦いは“忠義とは”というところを問いながら互いに戦い抜いていて。そして最後のガウェインの言葉がとても印象的で、ずっと力んでいた彼が初めて力を抜いて言ったセリフでした」と言う。それを受け、宮野は「ベディがガウェインと相対したシーンは『しっかりと対峙して、自分の信じるものをちゃんとぶつけ合ってほしい』というディレクションをいただいて。山の翁に試された2人ですけど、ちゃんと自分の思いに向き合ってぶつかった、象徴的な2人だなと思います」と振り返った。
続けて島崎は「その後の獅子王とベディヴィエールは、戦いというよりは還しにいく、伝えにいくシーンでしたね」とクライマックスシーンに触れる。宮野は「この物語でベディが抱え続けていたものは“贖罪”なんです。だけど藤丸たちに出会ったことにより、命はつながっていくということを知れたのが彼にとってすごく大事なことで、それによって獅子王に『ごめんなさい』ではなく『ありがとう』を言う旅へと変わっていった。ベディが一番恐れていたのは自分の旅が意味のないものになってしまったらどうしようということだったのですが、それは自分自身ではなくアーサー王にとって、我々円卓といた時間も含め、生きてきたことが意味のあるものであってほしい、それが無になってしまったら怖いという思いだったんです。だから本編最後のセリフは本当に、円卓全員が報われたような。なんてきれいな、美しい物語なんだろうと」と感慨深げに語った。
宮野の発言を受け、川澄からは「私は演じながら、獅子王の選択に対してこうするしかないのかもしれないと思う自分もいて。だけど三蔵ちゃんの言うように世界は生きているもののためにあって、命はつないでいくからこそ価値があるという考えが獅子王には足りなかった。ベディヴィエールがアーサー王を思い出すシーンで、『人々の思いがあるからキャメロットは成り立つ、私もこのキャメロットが好きだ』という言葉があって、だからこそベディヴィエールはこの獅子王を倒さなければならない存在だという意志を強くする。最終的に剣を還されて、でもアーサー王に戻らず獅子王のままというところに、アーサー王の円卓も今回召喚された獅子王の円卓も、どちらもつながっているものがあるということが、なんて愛のあるメッセージなんだろうと思いました」という言葉が。宮野は「“私は間違っていた”と終わらないのがすごいところですよね。自分の信じたものは変えずに終わるけど、藤丸、お前はどうするんだと託す。それがつながっていくということなんだなと思いましたよね」と述べた。
また宮野は、自身が歌う主題歌「透明」に込められた思いを披露。「10代の頃からお世話になっている坂本真綾さんに作詞を担当していただけるなんて、本当に光栄でした。この作品の主題歌として僕が伝えられるのはベディの思いだなと思って、真綾さんに表現したいことをどう伝えようかと言葉を構築しているときに前編主題歌『独白』が届いたのですが、そうしたら僕が伝えようと思っていたことが全部表現されていて、すごいなと。そこで、前編は物語が解決していないため、思いをぶつけて終わっていく歌だったので、『後編はその先にある歌、彼が思いを遂げた先にある救いや赦しを歌えたら素敵だと思います』ということをお伝えして作っていただきました。真綾さんが『アーティスト宮野真守として歌ったときに、この今の苦しい状況下でマモくんがファンのみんなに伝える歌詞でもありたい』と言ってくれたんですが、それを聞いたときに僕はコンサート会場であの曲を歌っているイメージが浮かんで。もうお客さんもみんな声をあげていい、歓声の中『こんな自由が待ってるなんて』と歌えたら、なんて素敵なんだろうと思いました」と明かす。
島崎が「主題歌の余韻にひたっている中、エンドロール明けのシーンにはびっくりしましたよね」と問いかけると、安元は「あのシーンがなかったらアグラヴェインは……報われないというと言葉は違いますが、なぜあの場にいたのかが難しくなってしまうという、大事なシーン。あの言葉がほしくてがんばっていたわけではないけど、一番ほしい言葉をかけてもらった。あそこの獅子王の表情がまた良くて、救いがここにあったなと。うれしかった」と返答。川澄は「私としては、獅子王とアグラヴェインってあまり多くを語らなくても分かりあえている存在だったと思うので、言わずともいいんだけど、あえて最後に言葉としてかけるというのがあったかいなと。アルトリアの最期を見届けたのはベディヴィエールでしたけど、今回獅子王の最期を見届けるのはアグラヴェインなんだというところに、それぞれの忠義の形、騎士道が見てとれました」と話す。島崎は「あそこのシーンで終わることが、今回劇場版としてこの物語が描かれる意味があったなと感じました。ゲームだとカルデア視点で進めているので、藤丸たちが無事にカルデアに帰ってきてめでたしめでたし、という終わりになるんですけど、今回は円卓の物語。劇場版だからこそできた結末ですよね」と続けた。
またキャスト陣は「獅子王にアグラヴェインがたどり着くということは、“ランスロットvsアグラヴェイン”戦は……」という話題に。安元は「アグラヴェインはぎりぎり人の形をしてましたよね。それほどに出しきらなきゃ勝てない相手なんだというのを絵の力でも伝えてくれていた」と、置鮎は「演出面もこだわって、それぞれのバトルシーンごとに違う方が担当されたと聞いて、それがハマっていてよかった」と、島崎は「今の時代にあえてセル画っぽい表現をしていたりという細かいこだわりもあるそうなので、何回も観るとそういった部分にも気付けるかもしれませんね」と話す。川澄は「それぞれの“ギフト”の表現がすごくいいなと。ガウェインは太陽だから手が燃えながらも戦ったりとか、暴走や反転も、“ギフト”ってうれしいものだけどそれぞれの枷でもあるという重みが伝わる演出だったなって」と映像表現について語り、沢城はモードレッドの暴走について「特に今回三蔵と対峙したことで“静と動”という対比がすごくて、焼き切れそうなモードレッドと、どこまでも懐の広い三蔵が代わる代わる描かれていく様が対照的でした」と述べた。
獅子王が騎士たちに“ギフト”を与える中、唯一いらないと言ったアグラヴェイン。そんな2人について、安元は「不思議な関係ですよね。王を利用したとアグラヴェイン自身も言っているけど、そこに忠義もあって、曖昧な関係性が面白いなと」と述べる。沢城は「獅子王の『働きすぎだ』という言葉が、『ああ、簡単に言うとそういうことなんだ!』って、ものすごく腑に落ちて」と言うと、安元は「あんなこと言われたら泣くって。すごい言葉ですよね」と続けた。
50分にわたるトークイベントが終わり、最後は1人ずつ挨拶。宮野は「僕らは皆さんに観ていただくために作品を作っているので、公開できたことを本当にうれしく思いますし、今日この会場にはお客様はいないけれど、ちゃんと皆さんの顔を見ながらお話しできた気がします。それはもうすでに皆さんのコメントが届いていたりとか、こんなにも『Fate』って愛されているんだなということを僕らが感じながらお話しできたからだと思います。キャストの皆さんのお話が本当に素晴らしかった。全員がそれぞれの役にこんなにも思いを込めて演じている作品がたくさんの人に愛されてるというのは素晴らしいことだし、それをスタッフが最高の力で本当に素晴らしい映画に仕上げたということが、携われた人間として幸せだなと思います。そして、ベディヴィエールの思いを遂げられて幸せでした。この作品は、この時代だから作ったという映画ではないのに、今僕らがほしいメッセージが本当に詰まっている作品だなと思います。命はつながっていく、つないでいく。自分の命には意味がある。大事な人に『ありがとう』を言えるような人生を送る。皆さんに受け取っていただきたいメッセージがたくさん込められていますし、それを大事な人に伝えてほしいなと思いす。引き続き応援いただけたら、皆さんと面と向かって会える機会もまたやってくると思いますので、僕らはこれからも諦めずにエンタメを作り続けます。『Fate』を愛してくださって本当にありがとうございます」と熱いメッセージを贈り、イベントを締めくくった。
なおコミックナタリーでは「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram」の封切りに合わせ、TYPE-MOONファンである川村壱馬(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)にインタビューを実施。「真月譚 月姫」やアニメ「Fate」シリーズとの出会いから、「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-」の見どころまで、アルトリアへの思いの深さを滲ませながらじっくりと語ってもらった。関連する特集・インタビュー
「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram」
公開中
スタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー:武内崇
監督:荒井和人
構成:小太刀右京
脚本:小太刀右京、荒井和人
キャラクターデザイン:細居美恵子、黄瀬和哉、温泉中也
サブキャラクターデザイン:乘田拓茂、山本彩、原由知
総作画監督:椛島洋介
音楽:芳賀敬太、深澤秀行
音響監督:明田川仁
アニメーション制作:Production I.G
キャスト
ベディヴィエール:
藤丸立香:
マシュ・キリエライト:高橋李依
レオナルド・ダ・ヴィンチ:坂本真綾
獅子王:
ガウェイン:
モードレッド:
ランスロット:
トリスタン:
アグラヴェイン:
オジマンディアス:子安武人
ニトクリス:田中美海
玄奘三蔵:小松未可子
呪腕のハサン:稲田徹
静謐のハサン:千本木彩花
ロマニ・アーキマン:鈴村健一
※島崎信長の崎はたつさきが正式表記。
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