今年の10月に放送20周年を迎えるアニメ「テニスの王子様」。その記念すべき節目を前に、「新テニスの王子様 氷帝vs立海 Game of Future」の前篇が2月13日にU-NEXTにて独占配信される。U-17W杯後を舞台に、跡部財閥が湘南に新設したテニスコートでのエキシビションマッチとして、跡部景吾率いる氷帝学園中等部と、幸村精市率いる立海大附属中学校が対決。原作でも描かれていない物語が繰り広げられる。今回の話を初めて聞いたときの印象について許斐は「氷帝と立海の対戦はファンの皆さんが絶対喜ぶし、原作でも描いてみたいと思うタイトルだったので、それを実現させるチャンスがここで来たかと思いました」と述べ、川口は「『これはファンの皆さんがすごく喜びますね!』と先生が一番喜んでいたのが印象に残っています。『テニプリ』の話をしているときの先生は、ものすごく生き生きされてて、こういう方だからこそ、『テニプリ』の世界観が生み出せるんだなって感じましたね」と返す。
スタッフ陣とのやり取りでは、互いにマッチメイクの案を持ち寄るものの真逆のアイデアが飛び出したりするなど、かなり難航したという。広田は「連載中の原作のその先を描くにあたっての擦り合わせをするなかで、先生には新技が出るか出ないかを含め、氷帝と立海のメンバーがどう勝利して挫折するのかというところを一番に相談しました。先生の頭のなかにある、半年くらい先の構想を先取りできるという楽しみというか役得感がありましたね」と話し、許斐は「私が完全監修するにあたり、ここはもう原作寄りで作りたいなと。原作のテイストをメインに、U-17W杯を経たキャラクターたちが、何を見てどう成長したのかを全部入れ込みたかった。そこをわかってもらいたくて先々の、ネームを見せて説明しながら『こう思うから、こういう試合にしたんです』という話の流れを共有させていただきました」と語り、川口は「ネームにあるセリフを読み上げながら解説してもらったなんて、ファンに聞かれたら、怒られちゃう(笑)。先生がどういう思いで描かれているのかがすごく伝わりましたし、なかなかできない貴重な経験でした」と振り返る。広田も「全部『アフレコ:許斐剛』で聞かせていただいて、逆にプレッシャーもかかりましたし、ここまでやってもらったからには、下手なことはできないなと思いました」と当時の心情を話した。
続いて「新テニスの王子様 氷帝vs立海 Game of Future」では、2年生と3年生の世代交代にも触れることが明らかに。そこで立海テニス部の次期部長として登場する新キャラクター・玉川よしおに関して聞かれると許斐は、「新しいものを作るためには、昔からいるキャラクターだけではなく、次世代のキャラクターが欲しかったんです。その象徴として絶対に彼を出したかった」と熱弁する。それに対し広田は「脚本を書くにあたり、玉川の情報というのが原作27巻の2ページしかなかったんです。先生にはまず玉川のイラストと性格、定評があるというロブはどこまで試合で通用するかなどの肉付けをお願いしました。結果、玉川がいるからこそ活かされるシーンができました」と述べた。また現部長である跡部と幸村がどう描かれるのかについて問われた許斐は「次世代にバトンタッチする立場として、新部長に対して背中を見せたりとか、後輩に伝えなきゃいけないものがそれぞれにあるという点が見どころですね」と話し、川口は「2年生たちも3年生に対し、安心して卒業してもらえるような試合を見せますし、試合のシーンだけではなく、TVシリーズやOVAではあまり描かれていなかった中学生らしいシーンも多く登場するので、ぜひそこも期待してほしいですね」と続け、広田も「作中で(立海に1人しかいない2年生の)切原赤也の意識がどう変わるのかというところも注目してもらいたいポイントです。彼の魅力がさらに増していく感じに描かれていると思うので」と見どころを説明した。
次に試合の描写や演出でこだわった点を尋ねられると川口は「『BEST GAMES!!』シリーズを手がけたときもそうだったんですが、見終わったあとに敗者でも負けてる印象がないような作り方を心がけました。一部分では勝っても、一部分では負けないというか。そこで試合は終えても、もう少し続けていたら勝っていたかもしれないと、先に向けての可能性を残しました」と思いを馳せる。許斐は「勝ったほうが負けたほうより強いと判断してしまいがちですけど、実際はプロの世界でも対戦相手との相性やその日のコンディションに勝敗は左右されるわけで。それがアニメやマンガになると一発勝負みたいなところがあって。負けてもなお格好よいと納得させられるものを作るというのは、永遠の課題のような気がしますね」とコメント。広田は「U-17W杯ではライバルであり、味方でもあった氷帝と立海のメンバーが、初めてネットを挟んで戦うにあたり、お互いをどう再認識したのかを全面に出したいと思いました。ずっと長い間戦ってきて、お互いのこともわかっているし、勝ったからといっておごることもなく、敗者を貶めるような人たちじゃないですよね。そういった彼らの気高さとか、試合には負けたけど、勝負では負けていないという部分も意識しました」と回答した。
許斐にとってアニメ「テニスの王子様」とはどういう存在だったのかと問われると「マンガ家にとって夢ですよね。キャラクターに声があてられ、カラーになって音楽に乗って動き出す。それを20年間やっていただけているというのは、奇跡だと思います。アニメの影響はいつも受けてますね。マンガもアニメを再生して声優さんたちの声を聞きながら描いてるんですよ。自分だけではなく、“テニプリファミリー”で作品を作っているという感じがすごくします」と伝え、今回の新作についても「原作で使おうと思っていた技やアイデアを惜しげもなく提供させていただいたので、どんな作品に仕上がるのかすごく楽しみですし、10回は観ると思います。20年間(アニメを)応援してくれる人にとっても、『新テニスの王子様』のその先の成長を感じられる集大成のような作品になると思います」と期待を寄せた。川口は「今回は原作にない題材を使い、ゼロから作ることができてとてもうれしいです。『BEST GAMES!!』シリーズを経て『新テニスの王子様 氷帝vs立海 Game of Future』を作ったことで、自分も成長できましたし、『テニプリ』の作り方が多少は上手くなったのではないかと思います。映像的にも、見どころをたくさん盛り込んだので、前篇・後篇を通して観ていただければ」とファンにメッセージを送った。そのほかアニメ制作のエピソードとして、約15年間作品に携わっている広田が生みの苦しみに悩んでいたとき、許斐が戻しの脚本に赤字で書いた「ここが素敵です」「素晴らしい!」という言葉に背中を押されたという裏話などが披露された。
作中に登場する技の数々は何から着想を得るのか。そう尋ねると、許斐は「毎回絞り出しながら考えてますね。限られた時間のなかで考えなきゃいけないし、アイデアがでなかったじゃダメなんですよ。そのプレッシャーと21年間戦い続けてきたので、出せるだろうという自負もあります。自分のなかの教訓として出し惜しみをしないというのがあって。すべての引き出しがなくなったら、辞めどきだと思っています」ときっぱり語る。続いて玉川よしおのキャラクター性について伺うと「(『ドラえもん』に登場する)出木杉くんのようなキャラにしたかったんですよ。ハンサムで、後輩からの支持も厚くて、赤也から『なんだよコイツ、幸村さんに一目置かれているぞ』という声が、自然にでてくるような役というか。でもそれだけじゃなく、きちんと他校の選手に対してもリスペクトを抱く部分も持ち合わせているので、赤也のファンの方にも受け入れられやすいんじゃないかなと思っています。その彼が動いてしゃべるというのが、すごくうれしいですね」と笑顔を浮かべる。ラストに氷帝と立海の好きなキャラクターソングをそれぞれ挙げてもらうと、悩まし気なしぐさを見せながら「氷帝は『チャームポイントは泣きボクロ』、立海は『LASER BEAM』ですかね。キャラソンもそれぞれにいい曲がありすぎるので、選びにくいんですけど、やっぱりみんなで歌っている曲が好きですね。今回の前篇でもそれ(氷帝エタニティと立海ヤング漢が歌うエンディングテーマ『ONE and ONLY』)が聴けるので楽しみにしています」といい、楽曲にも期待を寄せた。
「新テニスの王子様 氷帝 vs 立海 Game of Future」前篇
2021年2月13日(土)配信開始
スタッフ
原作:
監督:
シリーズ構成・脚本:広田光毅
キャラクターデザイン:石井明治
美術監督:伊藤聖 (スタジオARA)
美術設定:青木智由紀
色彩設計:津守裕子
3D:平川典史
撮影監督:中村雄太
編集:平木大輔
音響監督:松岡裕紀
音楽:玉木千尋
主題歌:「1/2の未来へ」轟レイ(FEEL MEE UNIT)
前篇エンディング :「ONE and ONLY」氷帝エタニティと立海ヤング漢(FEEL MEE UNIT)
アニメーション制作 :スタジオKAI 、M.S.C
制作:NAS
製作:新テニスの王子様プロジェクト
キャスト
跡部景吾:諏訪部順一
忍足侑士:木内秀信
宍戸亮:楠田敏之
向日岳人:保志総一朗
芥川慈郎:うえだゆうじ
樺地崇弘:鶴岡聡
鳳長太郎:浪川大輔
日吉若:岩崎征実
幸村精市:永井幸子
真田弦一郎:楠大典
柳蓮二:竹本英史
柳生比呂士:津田英佑
丸井ブン太:高橋直純
ジャッカル桑原:檜山修之
切原赤也:森久保祥太郎
玉川よしお:榎木淳弥
関連記事
許斐剛のほかの記事
リンク
クローズドあ @Aaaaaadzz09
【イベントレポート】「新テニスの王子様 氷帝vs立海」許斐剛自らネームのセリフを読み上げ監督らに解説 https://t.co/IoXtlruNJE