本日12月20日に配信された「ジャンプフェスタ2021 ONLINE」内の「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-」のステージにて、実写映画「
まずは8年前、映画「るろうに剣心」1作目へのオファーを聞いた際の感想を聞かれた佐藤は「原作をもちろん読んでいて、アニメも全部観ていたので、まず『本当にできるのか?』と疑いの目から入りましたね」と告白。そして「ただ、オファーをいただいたタイミングで初めて(スタッフの)皆様とお会いしたときに、『るろうに剣心』映画版のアクションはこういう感じでやりたいんだ、というイメージムービーみたいなものを作ってきてくれたんです。その映像を観たときに、『これならあとは自分が努力すれば、自分ががんばれば実写化が可能なのかもしれない』と思えたんです。その動画を観た瞬間にスイッチが入って、やろうと思えた覚えがあります」と当時を懐かしんだ。
これを聞いた大友監督は「やっぱりマンガの実写化のハードルの高さというのは、映像を作っている人間として分かりますし、しかも『るろうに剣心』ですからね。アクションもあるし、(剣心の口癖が)『おろ?』ですから。『おろ?』をどうするかって話をギリギリまでしたのを覚えてる」と実写化の難しさについて語る。そして「ただ、アクションについては、僕らのイメージムービーを観て彼(佐藤)の目の色が変わって、『アクションがかっこよくなかったら役者辞めます』とまで言うぐらいに覚悟を決めてくれました。『おいおい、勘弁してくれ』みたいな(笑)。あとはどうやって国民的な人気原作を、地に足を付けた、映画として純粋に魅力のある作品にするかということを色々な視点から考え始めました。プレッシャーを感じる暇もなかったという感じでしたね」と映画化を決めた当時を振り返った。
前作から5年の月日を経て撮影されたという「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」。久しぶりの撮影に対して、大友監督は過去のハードな撮影を思い出し、そしてもっとすごいものを作ることへのプレッシャーを感じたという。対する佐藤は「続編(『京都大火編』『伝説の最期編』)に踏み込んだときから、剣心の過去のエピソードを『やらないわけにはいかないんだろうな』とは僕も思ってたし、チーム共通でも思ってたこと。撮り切るまでは死ねないじゃないですけど、使命感としてありました」としつつ、「ただ2作目、3作目の撮影がしんどかったから、考えたくない部分もあって(笑)」と、最終章を撮ることへの重圧を冗談を交えながら語った。
完成した映画について佐藤は、「当然たくさんの方に観ていただきたいし、この映画をヒットさせねばならぬという使命感も当然あるんですけど、正直それがなかったとしても、やっぱりこのクオリティで、第1作のときからほとんど同じスタッフ、同じチームでこの映画を完成させられたので、僕は満足しています」とクオリティに自信を覗かせる。映画の醍醐味でもあるアクションシーンについて大友監督は、「(アクション監督の)谷垣健治が(5年ぶりなので)うずうずしていましたね(笑)。第1作から谷垣さんと一緒にやりましょうと連れてきているから、『るろうに剣心』のアクションはあの人たちをどう暴れさせるかなんですよ、あのチームにふさわしい土俵をどう与えるかということをがんばらなくてはいけない」とコメント。さらに「今回はまっけん(新田真剣佑)という肉体的にセンスのある人に、剣心が横綱相撲でぶつかっていく構造の中で、(剣心と縁という)2人の感情のモーションとエモーションが最大限に合致した戦いが最後にある」「志々雄真実との戦いは大きな時代を背負った戦いだったけど、今回は2人のプライベートの感情を背負った感情のぶつかり合い。それアクションにどう反映させることができるか。あとのディテールは彼らが考えてくれたものを信じて、現場もそれを支えてくれるように突き進んでいくだけ」と、映画のアクションについて言及した。
佐藤もアクションシーンについては「物理的にマジで足が上がらなくなるんですよ。特に一対多数のシーンですね。まっけんとの一騎打ちも大変でしたけど、僕の場合はそこに辿り着くまでに300人くらい相手にしないといけない(笑)。物理的に足が上がらなくなるという中々ない経験をさせていただき、大変光栄でございました(笑)」と、その壮絶さを笑いながらコメントした。
ここで
「The Final」は原作とは異なる、オリジナルストーリーになっているという。手紙を読み終えた佐藤はこれに触れ「和月先生の感想というのはけっこう気にしていて心配でしたが、映画を観て喜んでくださったのなら、すごくうれしいし報われた気持ちになります。作品に入るときもそうでしたが、入る前の準備から時間を掛けて監督とやり取りさせていただいたので、その時間がやっと報われたというか、あそこで粘って良かったなという気持ちですね」と感無量の表情を見せる。大友監督も「うれしいですね。全体の世界観含めて、オリジンを作ってくれた方からこう言ってもらえて。僕は和月先生と一緒に作品を観て、そのあと実際に会話させていただきましたが、本当にうれしそうでした」と振り返った。
配信の最後に、大友監督は「元々『るろうに剣心』原作・アニメのファンの皆様含めて、とにかく喜んでいただきたいという思いで作ってきましたが、今回は剣心のルーツである十字傷の話という、非常に普遍的な内容で、原作ファン、アニメファンだけではなく、多くの方々に届くような作品になっているかと思います。また前作以上の『るろうに剣心』フィーバーを起こしたいと思っていますので、それには何よりも皆様のお力添えが必要だと思っています。ぜひ応援していただけると光栄です」と、ファンへメッセージを送った。続く佐藤は「こんなにも、時間と制作費をかけて1つの役に集中させていただける、本気でぶつからせてもらえる機会を与えてくださったことを非常にありがたく思っています。監督をはじめ、多くのスタッフやチームの皆様にも感謝していますし、そのメンバーと第1作から最後まで走り抜けたことを誇りに思いますし、こんなに長い期間、映画を制作できたのは応援して下さる皆様の支えがあったからだと思います。ぜひ劇場で楽しんでいただけたら幸いです」と対談を締めくくった。
実写映画「るろうに剣心 最終章」は「The Final」が2021年4月23日、「The Beginning」が2021年6月4日に封切られる。なお佐藤と大友監督による対談の完全版が、12月29日22時よりワーナー・ブラザース映画公式YouTubeチャンネルで配信予定だ。
和月伸宏コメント
大友啓史監督、佐藤健さま、そして視聴者の皆様、こんにちは。漫画家の和月です。つい先日スケジュールの都合で延び延びになっていた映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」の試写をやっと観ることができました。二作連続の強行軍、しかもどちらもハイカロリーな作品なのでがっつり疲れるかと思いきや、あっという間の四時間半。映画の世界にどっぷり心地よく浸ることが出来ました。「The Final」は「これぞ活劇」といった1、2、3をさらに押し進めた仕上がりで、そのさまはもはや〈観るアトラクション〉。見どころは原作の漫画的な表現や作風をギリギリまで活かしつつ、時代劇映画に昇華させる大友監督の辣腕ぶり。少年漫画の実写映画化を成功の道へと導いた第一人者の映像美学を存分に楽しめます。対して「The Beginning」は「The Final」と打って変わって静寂。佐藤健さんの「この人、超能力使って本当に飛んでいるんじゃないの?」と疑いたくなるような超絶アクションもしっかりあるのですが、なぜか全体の印象は白くて静か。4作品にわたって剣心を演じてくれた佐藤健さんがついに演じる緋村抜刀斎と有村架純さんが演じる雪代巴の始まりと終わりをぜひ堪能して欲しく思います。他にも制作陣の気合いの入った美術や音楽、レギュラー陣の熱演とハマりっぷり。雪代縁演じる新田真剣佑の縁っぷり等、見どころ満載です。十年前、映画第1作の制作が決まった時、正直言うと「十年以上前に終わった作品なのにありがたいなぁ。でもこれはあくまでもおまけのようなモノであまり期待し過ぎたらダメだよなぁ」と少しのん気に構えていました。それがあれよあれよと原作のラストまで映像化のまさかの全5作。おまけどころか本当に漫画家冥利に尽きます。時代劇且つ少年漫画という面倒な原作を見事映画化して下さった大友監督と制作陣の皆様、各々の役に真剣に取り組んで演じてくれた役者陣の皆様、そして実写映像化において後にも先にもこれ以上の“剣心”はいない剣心を演じてくださった佐藤健さま。ついでに集英社、何より映画「るろうに剣心」を応援し楽しんでくださる視聴者の皆様に心の底より感謝します。コロナ禍で大変ですが健康に十分気をつけて、みんな元気で来春の映画公開を迎えましょう。
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映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」
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製作:映画「るろうに剣心」最終章 製作委員会
制作プロダクション・配給:ワーナー・ブラザース映画
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