NHK総合にて12月30日に放送される「アーヤと魔女」は、「ハウルの動く城」で知られるダイアナ・ウィン・ジョーンズの児童向け小説を原作とした、スタジオジブリの3DCG作品。自分が魔女の娘とは知らずに育った少女アーヤは、ある日奇妙な家に引き取られ、そこで意地悪な魔女ベラ・ヤーガと暮らすことに。いくら頼んでも仕事をがんばっても魔法を教えてくれないベラ・ヤーガや、魔女と一緒に暮らす怪しげな男マンドレークに業を煮やしたアーヤは、周囲の人を操って自分の思い通りにさせてしまうという特技を使い、反撃を開始する。
合同取材会には宮崎吾朗監督が出席。「アーヤと魔女」の企画がスタートしたのは2016年だったと話し、作品に携わることになった経緯について「
「アーヤと魔女」にはアーヤの母親がロックバンドで活動していたという設定をはじめ、原作にはない要素が盛り込まれている。その理由について、宮崎吾朗監督は「孤児院に預けられていた女の子が怪しげな2人に引き取られました、そこで起こったトラブルをなんとかしました、だけだと話として要素が足りないかなという思いがありました」と明かす。さらに「ロックバンドの設定は、舞台・時代設定から思い付きました。まず作品の舞台はイギリスで、あとはアーヤが家に閉じ込められるわけですが、スマートフォンや携帯電話があると外と連絡が取れちゃうので(笑)、時代は1990年くらいにしようと考えました。すると1990年に10歳になった女の子が生まれたのは1980年で、そのお母さんの若かりし頃は1970年代。その時代といえば、僕が好きなイギリスのロックが華やかだった頃だなと」と述べた。
また3DCGアニメをスタジオジブリが手がけるのはこれが初めてのこと。宮崎吾朗監督はこの試みについて「なんとなく日本の3DCG技術は映画などの分野では主流になりきれていないところがあって、それを悔しいなと感じていたのが1つ。あとはスタジオジブリも新しいことをやる必要があると思っていたんです」とその動機を語る。続けて「スタジオジブリは鈴木敏夫が宮崎駿の作品を作ってもらうために作ったスタジオ。とはいえ、いつまでもこの2人がジブリを担い続けるわけではないですよね。そう考えたときに、彼らがやってきたことを真似しているだけではこのスタジオに先がない、よくてうまくできたコピーを作ることにしかならないと思っていたんです。それなら、僕はCGをやるべきだなと考えました」と告白。現在の3DCG技術を使えば人物や背景をリアルに描くこともできるが、「実写っぽい造形でアニメを作るというのは僕がやりたいことではなかったので、映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のような、人形アニメーションに近いデザインにしました。例えばキャラクターの髪の毛は、キャラクターデザインの近藤(勝也)が描いた髪の毛のボリューム感をそのまま再現するために、一本一本描くのではなく、いくつかの塊として描いています」とそのこだわりを話した。
作中ではいい子のフリをするなど、あの手この手を使って周りの大人を手玉に取るアーヤ。そんな彼女のキャラクターについては「下手をすると『嫌な子』だなと思われて終わる可能性もあるので、どう描くか悩みました。人を操ったり、たらしこんだりするだけだと『生き方としてどうなのよ』と思ってしまいますよね」と苦労を明かしつつ、「でも自分が置かれている状況を、自分の知恵や行動で少しでも生きやすいものにしていくという力はいつの時代でも必要じゃないかと。『そういう力を持っている子なんだ』という描き方ならアリだろうと思いました」と語った。
取材会の終盤には、取材陣からキャスト陣の印象について聞かれた宮崎吾朗監督。主役のアーヤ役を演じた
長編アニメ「アーヤと魔女」
NHK総合にて2020年12月30日(水)19:30~20:52
スタッフ
企画:
原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 「アーヤと魔女」(田中薫子訳)
脚本:丹羽圭子、郡司絵美
キャラクター・舞台設定原案:佐竹美保
音楽:武部聡志
音響演出:笠松広司
アフレコ演出:木村絵理子
キャラクターデザイン:近藤勝也
CGスーパーバイザー:中村幸憲
アニメーションディレクター:タン・セリ
背景:武内裕季
アニメーションプロデューサー:森下健太郎
プロデューサー:
制作統括:吉國勲、土橋圭介、星野康二
監督:
制作・著作:NHK、NHKエンタープライズ、スタジオジブリ
キャスト
ベラ・ ヤーガ:
マンドレーク:
トーマス:
アーヤ:
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◎「アーヤと魔女」3DCGについて宮崎吾朗「ジブリは新しいことをやる必要がある」
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