Netflixアニメ発表会にヤマザキマリ登壇、全世界配信が創作にもたらす変化とは

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「Netflixアニメラインナップ発表会」が本日10月27日に開催され、発表会内で著作「テルマエ・ロマエ」の新作アニメシリーズ制作が明らかになったヤマザキマリ、Netflixアニメのチーフプロデューサーである櫻井大樹らが登壇した。

左からニッポン放送の吉田尚記アナウンサー、映画解説者の中井圭、リラックマ、内田理央、ヤマザキマリ、david productionの田中修一郎プロデューサー、Netflixアニメの櫻井大樹チーフプロデューサー。

左からニッポン放送の吉田尚記アナウンサー、映画解説者の中井圭、リラックマ、内田理央、ヤマザキマリ、david productionの田中修一郎プロデューサー、Netflixアニメの櫻井大樹チーフプロデューサー。

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内田理央に撫でられるリラックマ。

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発表会の冒頭では櫻井が「BLAME!」より始まった“ネトフリアニメ”の歩みと、世界で人気を集める日本アニメの状況について挨拶を兼ねて紹介。そして司会のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記と、スペシャルサポーターの内田理央による進行のもと、全16作品の新情報が続々と届けられた。新たに制作が発表されたのは「テルマエ・ロマエ ノヴァエ」、おおのこうすけ原作の「極主夫道」、三浦追儺・大羽隆廣原作の「天空侵犯」、ストップモーションアニメ「リラックマとカオルさん」の新シリーズ「リラックマと遊園地」、さらにNetflix初のフィリピン発アニメ「異界探偵トレセ」の5作品。会場にはリラックマも登壇し、「かわいい……!」と歓喜する内田に撫でられてどこかうれしそうな様子を見せた。

左からヤマザキマリ、david productionの田中修一郎プロデューサー、Netflixアニメの櫻井大樹チーフプロデューサー。

左からヤマザキマリ、david productionの田中修一郎プロデューサー、Netflixアニメの櫻井大樹チーフプロデューサー。[拡大]

後半では「#ネトフリアニメ クリエイター・セッション ~トップクリエイターがみる、アニメの未来~」と題したトークパートが用意され、ヤマザキ、櫻井のほか、「スプリガン」を手がけるdavid productionのプロデューサー・田中修一郎がパネリストとして登場。最初に「漫画家・アニメ制作の世界を目指すキッカケ」という質問を投げかけられ、ヤマザキはイタリアで美術の勉強をしていた頃に、日本のアニメが当たり前のように流れていて、日本のアニメのファンであるイタリア人に薦められてマンガを描き始めたと話す。玩具会社、ゲーム会社からタツノコプロへという経歴を持つ田中は、「玩具やゲームに比べて、アニメは商業作品でありながら、とても自由な感じがしていて羨ましかったんです。アニメを取り巻く状況が日々変わっている中でも、原作を書かれる方や、監督やアニメーターといった個人の思いが起点になっていることは変わらない。そこに憧れてアニメ業界に入ったので、今も満足しています」と振り返った。

david productionの田中修一郎プロデューサー。

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コロナ禍の影響も大きく受けているアニメ制作だが、現状について問われると田中は「旅行もしづらい中、日本国内だけじゃなく世界に向けて、『スプリガン』のような日常とかけ離れたファンタジーを届けられるというのはよかったかなと。『テルマエ・ロマエ』もそうですが、時間・空間(という概念)から離れたところに連れて行ってくれる作品が増えてくるんじゃないか」とポジティブな見解を示す。一方、コロナ禍により日本からイタリアへの帰国が難しくなり、1年近く家族にも会えていないというヤマザキ。「それまでは体が移動することが創作の触発になっていたんですが、今はそれがないので、Netflixもそうですが、ビジュアルから吸収することが増えた」とインプットにおける変化を語った。

Netflixとパートナーシップを結ぶヤマザキは、「世界中に届くとなると、自分も今までと向き合い方が変わってくる。世界のいろんなことを知って、それを踏まえたうえで伝え方を考えなくてはいけないので、妥協がなくなっていくと思います」と、Netflixでの配信がクリエイティブにも影響すると語った。いっぽうで田中は「逆に『1億世帯で観られています』と言うと、アニメーターや監督にとっては、見えないところに向かって玉を投げるような感覚もある。『スプリガン』で初めてNetflixに作品を提供するんですが、“まずは日本”という目線で作っています」と悩みも明かす。それを受けて櫻井は、「『世界に向けて』ということをことさら意識しなくていいと思います。逆に『日本のマーケットに向けて作らなきゃいけない』と思い込んでいた人には、チャンスがあると捉えてもらえれば」と柔軟な姿勢を見せた。

ヤマザキマリ

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最後に3人は「アニメの未来は○○だ」というお題に対し、自身の思う答えをフリップで発表。櫻井は「無限」と答え、アニメがより広がっていき、世間での捉えられ方も実写とまったく差がなくなるのではないか、と展望を示す。田中は「ボーダレス」と記入。「国際化という意味だけでなく、監督が脚本を書いたりなど、クリエイターの役割がボーダーレスになってきている。その中で出てくる新しい表現をうまく支えられるスタジオでありたい」と抱負を語った。最後にヤマザキは「世界が共有するコミュニケーションツール」と回答。「どこの国に行っても、文化や宗教が違っても、アニメが大きな扉の役割を既に成していることは、自分が世界で暮らしてきた経験から体感しています。それがNetflixのようなプラットフォームを通じて、どんどん露わになっていくのかなと思います」と、アニメとNetflixの未来に期待を寄せた。

なお発表会の模様はNetflix JapanのYouTubeチャンネルでアーカイブ公開中。また本日20時30分からは「Netflixアニメ大感謝祭」が配信され、木村良平、上田麗奈、諸星すみれ、諏訪部順一、櫻井孝宏、GRANRODEO、TRUE、OTMGirlsが出演する。

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しかのつかさ @sikano_tu

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