8月13日時点で、7000セット以上の予約が入っているという「100年ドラえもん」。徳山氏は同書のコンセプトについて「のび太くんの孫の孫、セワシくんは約“100年”後の未来からドラえもんを連れてきてくれました。このドラえもんという友達に、僕たちはどれだけ助けられてきたかわかりません。この素晴らしいドラえもんという体験を、“100年”後の子供たちと分かち合いたい。そのような気持ちから『100年ドラえもん』と名付け、てんとう虫コミックスを今考えられる最高の仕様で届けようと思い制作しました」と語る。名久井も「てんとう虫コミックスは手軽に読めますが保存性が高いものではありません。どうしたら保存性が高いものになるか、資材や方式の選定などに注力して作りました」と続けた。
名久井は、表紙と本文の間に差し込まれる見返しについて「この見返しには光に透かすとドラえもんの文字と顔がうっすら見える、オリジナルの和紙を採用しました」とコメント。福井・越前の和紙メーカーに赴き、紙の厚さなどもいちから相談して作ったという。徳山氏は「紙を裁断する位置によって、ドラえもんの顔がどこに入るのかも変わってくる。1冊1冊の個性を楽しんでいただければ」と呼びかけた。
ここで「100年ドラえもん」に施された防汚加工の話題に。名久井は「小さなお子さまが触ったり、愛着を持って読み込んでいったりすると、どうしても汚れるんじゃないかっていう心配があると思うんです。私も『布クロス装で作ることが決まったけど、汚れちゃうんじゃないか』とふと夜中に不安になって、今本さんに電話をしました。そしたら今本さんも会社で見本誌を回覧していたら汚れて戻ってきたらしく、ちょうど同じ不安を抱えていたそうで」と、防汚加工を施すに至るまでを振り返る。そしてこの場で、防汚加工の実演実験をしてみることに。名久井が単行本に水をかけてみたが、単行本は見事に水を弾いてみせる。名久井は「読んでいて楽しすぎてジュースをこぼしても、すぐに拭けば取れます(笑)。私も長くブックデザインの仕事をしてますが、初めての加工です。のび太くんがよく丸めた座布団を枕にして横になってマンガを読んでるように、気楽に読んでいただいて大丈夫です」と語った。
次は「100年ドラえもん」に特典として付属する画集「ドラ絵もん」について説明。徳山氏は「『ドラえもん』が雑誌に連載されていたときは、扉がカラー。それも学習雑誌だったので、子供たち向けにカラフルになっています。てんとう虫コミックスではモノクロになっているので、『ドラ絵もん』では本来の色を見られます」とコメントし、「藤子先生は、本編と扉絵の描き方が少し違うんです。だけど扉絵も構図はバシッと決めてても、やっぱりどこか笑わせてくれる」と述べた。
もう1つの特典として付属する完全索引巻「引くえもん」は制作にかなり苦労しており、スタッフ5人がかりで「ドラえもん」を何度も何度も漏れがないようにチェックしているそう。松井氏は「登場キャラクター索引」はいまだに項目が増え続け、「ひみつ道具索引」ではドラえもんの持ち物の中でどこまでがひみつ道具にあたるのかを議論していると明かす。そんな松井氏の苦労が語られた後、名久井は「『100年ドラえもん』の表紙の絵を選ぶときも、ドラえもんルームなしには作業できませんでした。ドラえもんルームには生きている辞書というか、いいスタッフたちが揃っています」と賞賛した。
また完成披露発表会では、「100年ドラえもん」の全45冊が15冊ずつ収められる3つの専用ボックスも公開。1つ目の箱には1巻から15巻まで、2つ目の箱には16巻から30巻、3つ目の箱には31巻から45巻までに登場する絵柄が外側に金で箔押し加工されている。名久井は「3つ目の箱にデザインされている小池さんが気に入っています。『ドラえもん』のグッズにはあまりない茶色で作ったのですが、お家の中にしっくりなじむようなカラーを選びました」と述べた。
最後に松井氏が、記者陣から「小学館にとって「ドラえもん」とは?」と質問される一幕も。松井氏は「小学館にとってドラえもんはもっとも重要なキャラクター。単行本と関連本を合わせると、現在刊行されてるだけで500種類もあります。この先100年も、『ドラえもん』にまつわる何かを展開していきたい」と意気込んだ。
「100年ドラえもん」の価格は税込7万7000円。第1期予約は8月31日まで受け付けており、1万セット目までは12月1日に手元に届けられる。1万セット目以降は第2期分として予約を受け付け、商品は来年の到着見込みとなる。
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