ワールドプレミアにはすず役の
3年ぶりにすず役を演じることに対し、のんは「前作を何度も観たり、原作を読み返したりする中で、新しいシーンに向かってどう解釈していこうかと悩みましたが、役を構築していくうちにすずさんの皮膚感がよみがえってきました」と語るとともに、「監督への信頼があったので、アフレコスタジオに行ったら、しっかりと強い気持ちを持って臨むことができました」とアフレコを振り返る。作品のファンで劇中の舞台である呉に行き、さまざまな劇場を訪れ10回は映画を鑑賞したという岩井も「アフレコ当日は気張らずリラックスして、監督の言葉に耳を傾けて臨みました」と片渕監督への信頼感を口にした。
本作のために新たな楽曲を書き下ろし、エンディングテーマ「たんぽぽ」を再収録したコトリンゴは、「今作ではすずさんの世界にリンさんが深く関わっていって、すずさんの夫・周作さんも絡んでくる。なので前作で使用した登場人物に関する音楽を発展さて、新しいシーンにつながっていけばいいなと思っていました」と楽曲について解説。さらに再録版の「たんぽぽ」については、「前作から聞いたイメージは変えたくなかった」としながらも、「次回作はなくて、これで本当の完結……なんですかね? なんとなくそういう名残惜しい感じや重厚感を出したくて、アレンジを豪華にしました」と述べた。
また片渕監督は前作について「すずさんと義理の姉・径子さんの関係がどのように変わってくかで、すずさんが進んでいく道が示せたのではないかと思っています」と評しながらも、「でも人間の関係ってそんなに単純なものではないよなとも思っていて。(本当は)もっとたくさんのものに出会って、もっとたくさんの人を見ることになるわけです。今回新しいシーンを加えたことで、すずさんは『こんなことを心の中に抱いていたのかも』『あんなことを思いながら喋っていたのかもしれない』と思っていただける映画になったのでは。よりすずさんという人の人格、存在が多面的になっています」と説明。またのんは本作で周作とリンの過去が明かされることについて「すごく複雑」とキャラの気持ちに寄り添いながら、「嫁ぎ先の呉でリンさんはすずさんに、『絵を描いてほしい』と言ってくれたはじめての人で、すずさんは『もともと自分の中にあるものを認めてもらえた』ということを心の拠り所にしていました。リンさんが大切だからこそ、リンさんと周作さんの秘密は、すずさんにとってどこに感情を置けばいいのか戸惑っている気がしました」と分析した。
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は、12月20日より東京・テアトル新宿、ユーロスペースほか全国でロードショー。
劇場アニメ「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」
2019年12月20日(金)より東京 テアトル新宿、ユーロスペースほかにて全国公開
スタッフ
原作:
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔
音楽:
プロデューサー:真木太郎
監督・脚本:
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
製作:2018「この世界の片隅に」製作委員会
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- 「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」公式サイト
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楊(やん) @yan_negimabeya
「この世界の片隅に」長尺版は「すずさんが多面的に見える」と片渕須直が説明 https://t.co/eSoQOfUGYW