名誉都民は社会や文化の発展に貢献した都民に贈られる栄誉称号。さいとうは8月に元文部大臣の赤松良子、デザイナーの三宅一生とともに名誉都民の候補者として選定され、9月に開かれた都議会の定例会にて正式に承認されていた。
顕彰式ではさいとう、赤松、三宅に名誉都民章が贈呈されたのち、小池百合子都知事が式辞を述べる。小池都知事はさいとうを名誉都民に選んだ理由について、劇画の分業制を定着させたこと、多くの作品を生み出し人気を博してきたこと、「ゴルゴ13」が50年以上にわたり世代を超えた多くの読者を魅了し続けていることを挙げ、「劇画の先駆者として今もなお活動を続けるその姿は、人々に限りない勇気を与えておられます」と説明。最後にそれぞれの顕彰者の功績を改めて称え、式辞を終えた。
続いて謝辞のためマイクの前に立ったさいとうが「歳をとるといろいろ言われるんですけれども、褒めてもらえるのが一番うれしいです」と挨拶すると、会場では拍手が起こる。さいとうは「私はこの仕事を始めてもう64年になるんですけれども」と前置きし、「64年もこういうことをさせてもらって、食べさせてもらって、称号までいただくというのはおこがましい限りなんですけれども、本当にありがたいことです」と謝意を示した。
閉式後、さいとうは取材陣からのインタビューに応じた。名誉都民に選ばれたことについて、大阪育ちのさいとうは「ただただびっくりです。大阪弁を使う人間が、東京の都民章をいただけるなんて」と語る。さらに映画業界への就職を断念した過去を明かし、「手塚(治虫)先生が処女作の『新宝島』っちゅうのを描かれまして、その作品を見たときに衝撃を受けましてね。『あ、紙で映画みたいなもの作れる!』と思ったんです」とマンガ家を志すきっかけとなったエピソードを披露。長年にわたり画業を続けることができた理由については「職人意識で、仕事だと思ってやってきたことがなんとか続いたっちゅうことじゃないですかね」と述べた。
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