雲田はるこが落語家と「幽霊画展」トーク、「死神」や「応挙の幽霊」が怖くない理由は

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8月31日まで東京の谷中にある寺院・全生庵で開催中の企画展「幽霊画展」。本日8月3日に行われた同展の関連イベント「幽霊の怨返し ― 落語にみる情愛」に、雲田はるこがゲストとして登壇した。

「死神」を披露する金原亭馬玉。

「死神」を披露する金原亭馬玉。

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全生庵

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「牡丹燈籠」「真景累ケ淵」「死神」など多くの名作落語を手がけた三遊亭圓朝が、怪談創作の参考に収集していたという幽霊画が展示される「幽霊画展」。昭和の落語界を舞台にした「昭和元禄落語心中」を描いた雲田は、“昭和最後の名人”とされるキャラクター・八代目有楽亭八雲の十八番として「死神」を同作に登場させている。

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」1巻

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本日のイベントには雲田とともに、落語家の金原亭馬玉が登壇。雲田は2017年開催の「昭和元禄落語心中展」で販売された白地の浴衣を着て壇上に現れる。雲田は「昭和元禄落語心中」を描いたきっかけを聞かれると、「シンプルに落語が好きだからというの大きいんですが、2005年ぐらいにドラマで『タイガー&ドラゴン』が放送されたり落語がブームだったんです。私もそのときにハマって。しばらくして熱は落ち着いたんですが、やっぱり落語を描きたくなって、2010年に描き始めました」と回答。それを聞いた馬玉は「作品を拝見すると、きっと子供の頃から落語がお好きなんだろうなと思ってたけど裏切られましたね(笑)。昔の寄席とか噺家の雰囲気とか、我々が勉強になっちゃうぐらいでした」と驚く。

馬玉は「昭和元禄落語心中」のキャラクターについて「色っぽいですよね。特に男の描き方。みんな手足が長くていい男じゃないですか。『落語心中』のイベントをするたび心配になっちゃうのは、出てくる落語家たちはああいうのじゃないでしょ? どっちかっていうと手足が短いのばっかりだから、お客さんにがっかりされるんじゃないかと思って(笑)」とコメント。雲田が「私的には落語家さんってカッコいいもの」とフォローすると、馬玉は「デフォルメしてくれてありがとうございます。優しいですね」と返した。

「幽霊画展」のメインビジュアル。中央にデザインされているのは、円山応挙の「幽霊図」。

「幽霊画展」のメインビジュアル。中央にデザインされているのは、円山応挙の「幽霊図」。[拡大]

ここで「昭和元禄落語心中」に登場した落語「応挙の幽霊」の話題に。「応挙の幽霊」の噺の中に出てくる円山応挙の「幽霊図」は、本企画展でも展示されている。馬玉は「落語の幽霊やお化けが出てくる噺って、ほとんどが楽しいお噺なんです。昔は灯も暗いし、死ぬってことも今よりずっと身近なわけですから、幽霊やお化けっていう存在が今より近しかったんでしょうね。だから噺もおどろおどろしくないのかもしれません」と言及。また「死神」について、雲田は「『死神』って落語の中でもちょっと変わったお噺というか。怪談噺でもないし、まず死神という概念が掴みにくい。だけど八雲さんの得意なお噺を探していく中で『死神』はすごくぴったりで。そしたら不思議ですが、だんだんストーリーにも絡んでいきました」と話した。

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」10巻

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」10巻[拡大]

最後に雲田は今後の執筆について「今は準備中でお待たせしてしまってるんですが、じっくり考えて新しい連載を始めたいなと。描く気はあります!」と宣言。そんな雲田に馬玉は「『落語心中』の第2弾でもいいじゃないですか。そのときは、落語家たちは手足の短い連中で(笑)」と提案する。さらに馬玉が今後の落語界について「落語って江戸からずっと同じことを繰り返してるんです。時代時代で人気者が出て、落語を少し壊したり変えたりするんですけど、その根底にあるものはずっと変わってませんでね。だからこれからも、落語はずっと続いていくと思います」と話すと、雲田は「変わらないものがあるっていうのはすごく安心ですね」と笑顔に。トークセッションの終了後には馬玉が「死神」を披露し、来場者たちを楽しませた。

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幽霊画展

会期:2019年8月1日(木)~31日(土)
時間:10:00~17:00(最終入場16:30)
場所:東京都 全生庵
料金:500円

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東海落語往来 (か) @kanamyk

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