TVアニメ「LOST SONG」のイベント「LOST SONG~星歌祭~」が、去る2月11日、神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで開催された。
「LOST SONG」は架空の大陸・ヌーナシアを舞台に、リンとフィーニス、歌うたいの少女2人の運命を描いたファンタジー作品。イベントには、リン役の
星に歌えば願いが叶う、という作中のお祭りを題した本イベントでは、歌を交えた朗読劇スタイルで本編ラストから1年後の物語が紡がれていく。各キャラクターのモノローグ後、鈴木このみがオープニングテーマ「歌えばそこに君がいるから」を熱唱して物語が開幕。まずはゴルト王国の復興に尽力するポニーとヘンリー、母から譲り受けた酒場を切り盛りするルックス姉妹、科学者となってリンの復活を試みるアルと彼をからかうルドルフ、双子を産み育てるフィーニスとお付きの騎士であるコルテといった具合に、メインキャラクターの近況が描かれていく。そして迎えた星歌祭当日、久々に王都に集う面々。そこでアルがこの日のために研究を重ねて発明したという反響板を使うと、本編の最後に消え去ったリンが身体が透けた仮の姿で具現化される。さらにリンが再びフィーニスと一緒に歌うことでリンを完全に復活させられる可能性も示される中、一同は王宮へと向かう。
こうした物語の合間には、ルックス姉妹によるイベント用の新曲「ワイッホー!」や、本編でも印象的なシーンで使用された挿入歌「風の理」などが歌唱され、ストーリーをドラマティックに演出。また瀬戸の体を張ったドラミングや、リンと同時に蘇った悪役のバズラに対して全員で殴りかかるシーンなどコメディチックな一幕もあり、客席からしばしば笑いや拍手が巻き起こった。
王宮に入るための試験を受けるという場面では、シリアス気味な朗読劇から空気が一転し、突如バラエティコーナーがスタート。出演者10人が3チームに分かれて「LOST SONG」マニアッククイズに挑戦する。まず「発明家のドクター・ヴァイゼンが装着するベルトに付いているスイッチ。一番右のスイッチを操作するとどうなる?」という問いに、小山は特撮番組で自身が声をあてたセリフを引用し、たかはしは得意のセクシーなネタに持ち込むなどやりたい放題。正解は「からくりアームがメモを取ってくる」というものだったが、正解を示す画像内にクロワッサンがあるということから、「(ドクター・ヴァイゼンの好物である)クロワッサンが温まる」と回答したチームフィーニスがポイントを獲得する。2問目にして最終問題となったのは、フィーニスが歴史を繰り返す中で4回出てくる女子高生を正解順に並べるというもの。瀬戸は「イベントに向けて『LOST SONG』を見返してきたからわかるかも!」と意気込むものの、彼女を含め全チーム不正解という締まらない結果に。しかし田村による「みんなに平等に1ポイントでどうですか?」という提案が採用され、最終的にはチームフィーニスが優勝。田村、茅野、鈴木裕斗の3人には、ドクター・ヴァイゼンとタルジア・ホークレイという老人2人がプリントされたチョコレートにさらにクロワッサンが乗った豪華なケーキがプレゼントされ、会場中から大きな拍手が送られる。
休憩を挟んで始まった朗読劇後半では、いよいよ物語がクライマックスに向けて加速していく。前半からたびたび周囲との認識のずれに違和感を覚えていたアルは、自身の記憶がループしていることを知覚。さらにバズラから、何か心残りがあることが原因であり、フィーニスも同様に記憶がループしていることを伝えられる。一方、遠い過去に失った侍女のコルテ、さらには生き死に生き別れた思い人のヘンリーと再会し、記憶の中の世界に留まろうとするフィーニス。その様子を見かねたアルが「別の世界から感情の波……平行世界の星歌祭に参加している人々の拍手をぶつけて刺激を与えることで、フィーニスを記憶から引き戻す」という解決策を閃く。こうして物語の冒頭からアルが感じていた違和感という伏線を、いつの間にか観客が物語に介入していたという展開で回収。そしてアルが観客に促すとステージにこの日最大の拍手が送られ、フィーニスはヘンリーの「思い出にすればいいんだ。記憶を思い出に。だって思い出は美化できる。それは単なる過去の出来事を超えて…君の心の中にある絶対的な宝物にできるんだ」という別れの言葉を胸に、涙ながらに現実世界へ戻っていった。
一連の出来事を経て、自然の摂理に抗わず、過去に囚われず、前に進むことを誓ったアルは、流扇の広場で開かれている星歌祭へ。そこで姿が消えつつあるリンに「僕のこれまでの短い人生、すべてはずっとリンが一緒にいました。これからの長い人生もずっとリンと一緒です」「僕はリンのことを愛しています」とアニメ本編では言えなかった愛の言葉、別れの言葉を告げる。それに「私もアルのことを愛しています」と返したリンは、フィーニスと「LOST SONG」を合唱。最後には出演者全員が歌唱に加わって、3時間弱におよぶ後日談を盛大に締めくくった。
カーテンコールでは、出演者全員がそれぞれの言葉で作品やファンに謝辞を述べていった。小山は「バズラ的には……なぜこの『LOST SONG』がバズらなかったのか、心残りでして」「Twitterに『星歌祭面白かった』と書いていただければ今からでもバズるかもしれません。よろしくお願いします!」と熱く訴える。山下は時おり涙で声を詰まらせながら「『LOST SONG』の監督やキャストが皆さんで、何よりフィーニスが田村さんでよかった」と感謝すると、朗読劇でヘンリーがフィーニスに送ったセリフを引用し「『記憶は思い出として美化できる』。今日の出来事を大切にし、これからも『LOST SONG』を応援していただけたら」とファンにメッセージを送った。
フィーニス役の田村は「レオボルトが山下くんでよかった」と応えつつ、まずは「朗読劇の3時間、気持ちを切り替えるのが大変で追いつかなかった」「(キャラクターが)自分たちの気持ちにケリをつける話なので、整理を付けることができてよかった」と朗読劇を振り返る。しかし「本当のことを言うと……ヘンリーとお別れしたくなくて。だから違う話とかないのかな」「もし森田と(純平)監督が考える余地があるとしたら(今度は)幸せになりたい!」と本心を打ち明け、ファンにさらなる応援を呼びかけた。挨拶の最後を務めた鈴木このみは感慨深げな表情で「リンはずっと『星歌祭で歌いたい』と言ってきたので、今日はリンとして演じ、歌うことができて心からうれしかった」とコメント。続けて「きっとどこかの星にある『LOST SONG』の世界に思いを馳せながらお別れしたいと思います。本日はご来場いただき誠にありがとうございました」と語り、一同で礼をして公演を締めくくった。
出演者が退場したのち、スクリーンには特報が流れ出す。ドクター・ヴァイゼンとタルジア・ホークレイの会話から始まり、「消された真実」「もうひとりの歌姫 レテア」「想失の歌」といった意味深なワードが流れたのちスクリーンには「LOST SONG 新たなる歌姫」の文字が。媒体や詳細な内容こそ発表されなかったものの、新たな展開を予感させる知らせに会場は大きな歓声に包まれた。
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