去る8月15日に53歳で永眠した
式場前の庭園では、さくらの代表作「ちびまる子ちゃん」のキャラクターたちが正装をし、パネルとして参列者たちをお出迎え。式の開会前は「おどるポンポコリン」「ゆめいっぱい」「走れ正直者」など、さくらとゆかりの深い楽曲がかけられている。式場内は“さくら”にちなんだピンク色のカーペットが敷かれ、明るい印象。さくらプロダクションがデザインしたという祭壇は、さくらが生前好きだったという、ダリアやトルコキキョウなどの花3万本で装飾されている。中央には彼女の出身地・静岡県が有する富士山のモチーフが。その横をカラフルな風船や、まる子やコジコジなど、さくらの作品に登場するキャラクターがにぎやかに囲んだ。
式の冒頭、
次に女優で、27年来の友人という賀来は「さくらさんと私の出会いは、さくらさんの『もものかんづめ』を私がいちファンとして拝読し、お手紙を出したことがきっかけでしたね。ワクワクドキドキしながら、さくらさんのご自宅兼アトリエに伺い、初めてお会いしたさくらさんはちびまる子ちゃんそのものでした」と振り返る。また賀来は「今年のさくらさんの誕生日に、私が舞台があり、プレゼントが遅れてしまうとメールを送らせていただくと、さくらさんから『体調がイマイチでなかなか会えなくて残念です。早く元気になって、千香ちゃんに会いたいです』と返信が届きました。私もすぐに、『無理しすぎずがんばって、会えるのを楽しみにしています』とやりとりしました。私はさくらさんが初めて本心を言ってくれたことと、自分も心から応援してくれたことで一瞬うれしいような気持ちになりましたが、もしかしたらそれは、さくらさんが弱くなってきているのかもしれないという不安に変わりました」と、直近のさくらとのエピソードを明かす。「私たちの願いは叶いませんでした。さくらさん、寂しいです。本当に、もう一度会いたかったし、笑い合いたかったです。私はさくらさんを天才だと思っています。まる子ちゃんもコジコジもエッセイも大好きですけれど、あとがきも素敵でした。さくらさんなりの照れ隠しなのか、新聞もテレビもそんなに見ないからと謙遜しておっしゃっていましたが、世界の情勢、日常の尊さ、幸せでいることの感謝など、すべて俯瞰で物事を捉えながら、目の前のことの大切さを呼びかけていらっしゃいました。あたたかくて柔らかなタッチも、緻密な描写も、さくらさんの作品は永遠です」と称賛した。
作家で友人の吉本は「プロの声優さんとプロの女優さんの後で、私にできることは自分の作った文章を読むことだけです。なので、私の書いたものを読ませていただきます」と始め、「私が小説家になった本当のスタートのところで、対談のお仕事でももちゃんに出会いました。歳もほとんど同じで、日本中に注目されていた2人はすぐに仲良くなって、毎週のように会うようになりました。手をつないで、あの恐ろしい自分たちのブームの嵐の中を駆け抜けたのです」と述懐する。お互いに近所だった荻窪のスーパー銭湯に行き、身分がバレないようにサウナの中では秘密のあだ名で呼び合ったり、おそろいのムームーを着てごはんを食べたりしたと言い、当時について「楽しくあっという間に過ぎていった、確かな青春がそこにあったのです」と語る。吉本はさくらの夫と大ゲンカしてしまい、しばらく疎遠になっていたそうだが、さくらに子供が生まれ、会いに行ったことをきっかけに再び会うようになったそう。「ももちゃんの絵は一見子供の絵みたいなのであなどられがちですが、彼女は限りなく天才でした。ヨーロッパの香りがする独自の色彩感覚と、研ぎ澄まされた線。彼女がカラー原稿を描くところを見ていると、確信を持って色をつけていて、まるで魔法のようでした。そしてすごいことに、彼女は最後の最後まで絵が上手くなっていきました。ついさっきまでグータラしたり、おしゃべりしたり、ゲラゲラ笑っていた、子ザルみたいな彼女は、ペンを持つとスッと集中して、本当に美しい大人の女性、絵の天才に変身するんです。私はその変身の瞬間を、もっともっと長い間見ることができると思っていました」と悔やみながら、「若いとき、いつも『かわいいけどちょっと意地悪なおばあさんになりたい。そのとき着る服まで考えてる。将来おばあさんになるのが楽しみだと言っていたのに。本当に残念です、寂しいです。気が小さいのにどこまでもダイナミックで、かわいくずる賢いのに、小さい子みたいに純粋な優しさがあって、人生を大きな遊びのように駆け抜けていってしまったももちゃん。会えばいつまでも24歳の、恋愛や仕事の話をし続けられる頃に戻れた私たち」とさくらとの楽しい時間を思い返す。最後に「ももちゃん、さくらももこさん。私たちの時代に『ちびまる子ちゃん』を、『コジコジ』を、そしてたくさんの素晴らしい絵と文章を残してくれてありがとう。どこまでもクールでシュールで乾いた笑いをありがとう」と感謝を伝えた。
ここで家族ぐるみで親交があったという、
次は、2010年にアニメ「ちびまる子ちゃん」で主題歌を担当した
献歌を担当するのは、2012年4月から2017年10月にかけてアニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマを担当した
「さくらももこさん ありがとうの会」では、さくらのイラストやエッセイを交え、さくらの人生を振り返るVTRも上映された。主人公のさくらにTARAKOが声をあて、物語は少女だったさくらが自身のペンネームを決め、マンガ家を志すところから始まる。楽しいことだけ考え続け、夢を追い続けたというさくら。ナレーションのキートン山田により「やりたい放題、世間を盛り上げ、世間を感動させ続けてきたももこよ。今頃一体、どこを旅しているというのか。あなたがかけた呪文にかかり、あなたの生んだ楽しい世界の中で、これからもたくさんの笑顔が生まれるであろう」と語りが入ると、「さくら、ありがとう」「ズバリ、ありがとうでございます!」「サンキュー! ベイビー!」「さくらさん、ありがとうね」などと、「ちびまる子ちゃん」のキャラクターたちが次々と感謝を述べる。最後にコジコジが「さくら祭りみたいだね」と言うと、山田がいつものように「アハハ」と笑う。そしてさくらが、「私こそありがとうだよ、ね。まる子。ね、コジコジ」と言い、「これからもずっと楽しいこといっぱいあるよ! みんなー!」と続ける。「さくらももこの楽しい世界はまだまだ続く」というナレーションによって語られ、映像は締めくくられた。
※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
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