花とゆめ・LaLa・メロディ・ヤングアニマルの白泉社4誌による合同のイベント型マンガ賞「白泉社即日デビューまんが賞2018」が、去る7月29日に東京・ワテラスコモンホールにて開催された。コミックナタリーでは、
このイベントは下描きの線をなぞって清書し、主線を仕上げていく“ペン入れ”の工程を見ていくもの。フルデジタルでマンガを描いている福山と池が、実際に作業している画面をスクリーンに大きく映し出しながら、司会のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記の質問に答えていく。
福山は普段はMacと24インチの液晶タブレットを用い、右手でペン、左手でBluetoothのキーボードを使って描いているとのこと。画面の拡大縮小や回転、ブラシサイズの変更など、左手のキーボードにはショートカットキーを用いながら多くの機能を割り振っていると話した。会場のスクリーンには最初、「覆面系ノイズ」の原稿が映し出され、福山は主人公・ニノの目にペン入れをしていく。「作業の後半で眠くなっちゃうこともあるから、大変なところからペン入れをしていくんです」と目から描く理由を明かした。
池も液晶タプレットを用い、右手にペン、左手にゲーミング用のキーパッド「Razer Orbweaver Chroma」を使用して作画。「フルデジタルになったのは1年半くらい前からですが、下絵はかなり早い段階からデジタルでやっていて、段階を踏んでデジタルに作業を移行していきました。背景を描くのにパース定規が使いやすくて、CLIP STUDIOを使っています」と言い、フルデジタルに移行してからはアシスタントを雇っていないことや、下描きで正面の顔を描く際には簡単に左右対称になる「対称定規」機能を使っていることなど、受講者に伝授していく。また福山が人物を目から描くのに対し、池は「私は好きなところから、気分でペン入れします。目から描くこともあるけど、腰から描いたり」と語った。
デジタル作画歴を聞かれた福山は「『覆面系ノイズ』の5巻のときだから、2014年くらいからです。最初にカラー原稿でデジタルに慣れて、1年くらいかけてアナログから移行しました。デジタルだとトーンもベタもホワイトも自分でできるので、アシスタントさんは1人。背景をやってもらっています」とコメント。話しながらもサクサクとトーンをかける部分をペンで指定し、数分でトーン作業が終了。「トーンはデジタルのほうが圧倒的に楽です。服の柄にトーンをかけるときも、『ちょっと派手だな』と思ったらすぐに変えられて融通が利きますし、デジタルはアナログよりトーンの種類が少ないですけど自分でトーンを作れば解決します」と話した。続いて池は自作の原稿用紙設定や、オススメのマンガ用ペンなどを細かく記した画面をスクリーンに投影。急遽この画面のみ撮影OKとなったため、受講者は熱心にスマホでスクリーンを写していた。
福山と池によるデジタル作画講習のほか、克・亜樹の講演や若杉公徳、木村昴、吉田尚記アナウンサーの公開ラジオ収録など各種イベントも行われた「白泉社即日デビューまんが賞」は、今回で2回目となるマンガ賞。会場には4誌の合同出張編集部が1日限定オープンし、持ち込まれた全原稿を批評して審査する。受賞者は即日決まり、賞金は会場で手渡し、希望するマンガ誌でのデビューもその場で決定。大賞を受賞すると、白泉社の総合エンタメアプリ・マンガParkに作品が掲載される。今年は无鐘エリク「ホームレス ゴスペラー」が大賞を受賞。本日7月30日にマンガParkにて公開された。
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Razerの左手キーパッドはプロの漫画家先生達にもツールとして活用されているらしいです。
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