原爆投下後の広島と、原爆の被害を背負って暮らす人々の姿を、異なる時代をたくましく生きる2人の女性を通じて描いた「夕凪の街 桜の国」。ドラマ版で現代の出版社で編集者として働く女性・七波を演じた常盤は、この撮影で初めて広島市内を訪れたという。「七波と同じように広島のことを少しずつ勉強していきました」と撮影を振り返りながら、「街に穏やかな空気が流れていることに驚きました。原爆ドームの前に立ったとき、世界中でこんなにも多くの人が平和の祈りを捧げに来る場所もない、その祈りがこの街を穏やかにしてるのかもしれないと感じました」と広島への印象を語った。
原爆症でこの世を去った皆実役の川栄は、「自分の中で戦争は映像や写真でしか知らないものでした。撮影前に被曝した女性とお話しさせていただき、その方や台本から感じたものをこの作品に込めました。本当にたくさんの人に観てもらいたいです」とコメント。平は「私と同じ世代の方にも作品を届けられると」と口にする。
また皆実の母を演じたキムラからは、川栄との入浴シーンについてのエピソードも。「皆実がお湯に潜ってパッと出てくるシーンで……本編ではなくなっていましたけど(笑)。そのときの川栄さんの顔が本当に美しくて。当時の子もきれいな笑顔で、生命力にあふれていたんだろうなと。でもこの子もいつかは……と別れも予測している。だからあの笑顔を見たとき、ものすごく苦しい状況なんだと思ったことを覚えています」と回想する。川栄は「キムラさんが本当のお母さんのように接してくださった」と微笑みながら、「『こういう生活が普通にあったんだ』と2人でお話してました」と明かした。
イベントでは終戦から73年を経て、被爆の事実をどのように継承していくかが課題だと話す一幕も。現在23歳の川栄は「学校で戦争を学ぶ授業があっても『何月何日に原爆が落とされました』としか教えられない。でも物語になることで、被曝した方やその家族の心情、何年経っても苦しめられるという感情を知ることができます。私たちの世代は観るべき作品だと思います」と力強く言い切る。10代の平も「私たちの世代は知らないことだらけ。でも実際に広島へ行って、自分の目で見て、日本人として生まれたからには知らなくちゃいけないことだと思いました。学生の方にも8月6日にご覧いただきたいです」と、原爆が投下された8月6日に合わせて放送される本作をアピールした。
常盤は広島放送局が実際に被爆していることに触れ、「広島放送局だからこそ描けるドラマ。私はびっくりする描写もありましたが、そういうところを濁せば濁していくほど忘れられやすくもなってしまうと思うんです。でも例えば子供が見て衝撃を受けたら、その衝撃は絶対残っていく。その衝撃は重要なこと」とコメント。続けて「広島放送局が作るからこそ、濁さないというやり方が立派だと思ったし、そのドラマに参加できてよかったと思います」と述べた。
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- NHK広島開局90年ドラマ 夕凪の街 桜の国2018 | NHK 広島放送局
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