「ミスミソウ」は、クラスメイトからの壮絶なイジメにより家族を失った少女・野咲春花の復讐を描くサイコホラー。舞台挨拶には野咲春花役の
劇中衣装を着用して登壇したキャスト陣。今作で初主演を務めた山田は「今日が人生で大切な1日になるんだろうなという感じがします」と緊張した面持ちで挨拶をする。初めて演技に挑戦した者や舞台挨拶に初登壇する者も多い中、内藤監督は「撮影は雪まみれ、血まみれで過酷だったけど、全員100点満点中1億点ぐらいがんばってくれた」と若い役者陣に労いの言葉をかけた。
壮絶なイジメと復讐を題材にした本作。司会者からの「自分と重なる部分はありますか」という質問に戸惑いを見せるキャスト陣だったが、春花をいじめるグループのリーダー・妙子役を務めた大谷は「妙ちゃんは美容師になる夢があって、東京にすごく憧れていて。私自身、地元の宮城県から通って撮影してたので、東京への憧れという意味では重なる部分はあるかなと思います」とコメントを絞り出す。一方、春花を支えるクラスメイトで、異常に偏執的で暴力的な本性を持つ相場を演じた清水は「好きだから暴力振るっちゃうっていうのがわかんなくて。僕は普段からすごく優しい人間なので(笑)」と笑いを交えながら答える。
そんな清水の言葉を聞いていた内藤監督は、相葉のキャラクターに思い入れがあったと語り「『僕が君を守る』的な言葉の裏にある、女性への加虐性、暴力性みたいなものも原作では描かれていて。それは女性の自立性を無視している部分があると思う」と語る。そして自身初の長編映画「先生を流産させる会」でバッシングを受けたことを明かし「(内藤監督は)ミソジニストじゃないか、女性に対する差別心が内面にあるんじゃないかと言われて。もっと考えて作品を作らなきゃいけないなと思ったんです。それが今回、相葉というキャラで表せたんじゃないかな。さっき清水くんはふざけながら言ってましたけど、実は結構真面目に考えながらやってくれてたんじゃないかなって思ってます」と述べると、清水は「そうなんです、僕も今監督がおっしゃってくれたようなことを思っていました(笑)」と乗っかり場を和ませた。
またクランクアップでは内藤の計らいにより、押切のイラスト入り卒業証書を渡すサプライズがあったことが明かされる。山田は「劇中では学校を卒業できなかったんですけど、撮影を終えてみんなで卒業できたようでよかったです」と晴れやかな笑顔を見せた。またモニターに映し出された卒業証書には押切のイラストも。内藤は「映画のことを気に入ってくださって。現場でみんなの似顔絵をいろいろ描いてくれたので、モチベーションになっていたと思います」と振り返った。
さらにサプライズで、内藤から山田に宛てた手紙を読み上げる場面も。「本作に参加する決め手となったのは山田さんのオーディション映像でした。単純にあなたを撮ってみたかった」「企画が頓挫しかかっていたこの映画を救い出したのは山田杏奈の魅力、俳優としての力にほかならない。初主演としての大役はすでにそのときに果たしていたと思っています」という内藤の言葉に、山田は言葉を詰まらせながら「内藤監督とも一緒にやらせていただくことができて幸せだなと思ってます」と感謝の気持ちを語る。そして「主演として何か残せたかは今はまだわからないけど、たくさん経験させてもらって本当に幸せでした」と目に涙を浮かべた。
今後の目標を聞かれた山田は「『ミスミソウ』をやらせていただいたことで、これから女優として生きていく覚悟もできました。今後、また皆さんともご一緒できるようがんばっていきたい」と力強く語る。また清水も「同世代の俳優さんたちと仕事をしたり、先輩の背中を追っているうちに、芝居って上手いだけじゃ生き残れないなと感じるようになりました。ただ一言で言うなら上手い芝居より、深い芝居をできるように努力していきたいと思っています」と決意を言葉にした。
最後に内藤は「5年後、10年後、みんなが『実はミスミソウに出ていたんだよ』と言われるような役者に育ってほしい」と役者陣にエールを送る。そして「単なるいじめだけの話じゃなく、日本社会の歪みたいなものも描かれています。新学期が始まると自殺しちゃう生徒さんが非常に多くて、1番多いのが9月1日で、2番目が4月11日だそう。もし学校で苦しんでいる人がいたら、学校なんかいかず『ミスミソウ』を観に来てほしい」と呼びかけた。
映画「ミスミソウ」
2018年4月7日(土)より全国ロードショー
スタッフ
監督:
原作:
脚本:唯野未歩子
主題歌:タテタカコ「道程」(バップ)
制作プロダクション:レスパスフィルム
配給:ティ・ジョイ
キャスト
野咲春花:
相場晄:
小黒妙子:
佐山流美:
橘吉絵;
加藤理佐子:
三島ゆり:
久賀秀利:
真宮裕明:
池川努:
南京子:森田亜紀
野咲祥子:玉寄世奈
野咲満雄:寺田農
戸田昌宏、片岡礼子
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