サッカーマンガを手がける作家陣が、“サッカー×マンガ”をテーマに語るトークイベントが、去る5月2日(火)に東京・LOFT9 Shibuyaで開催された。
出演したのは小林有吾「アオアシ」において取材・原案協力を務めている上野直彦、「ぺろり!スタグル旅」の
「内容をツイートしてもOK」という第1部は、各作品の制作秘話がメインとなった。上野によると、「アオアシ」は「Jリーグユースを題材にしたマンガできないか?」と小学館の編集者から持ちかけられたのが誕生のきっかけ。その取材のために同編集者と向かった、高校生年代のリーグ戦・高円宮杯の試合は観客が少なく、内容も低調だったたため「この題材は厳しいかも」と感じた上野。それでも「次に開催される2014年6月のワールドカップで、厳しい組み合わせになった日本は惨敗するだろう。それからは育成がテーマになる」という確信もあり、小林と編集部の尽力もあって「アオアシ」の連載が実現したそうだ。
一方、大学生の頃から大学サッカーの新人戦をビデオに撮りながら観戦していたという大武は、構想から10年かけ、サッカーファンの編集者と巡り会えたことから「フットボールネーション」の連載に至ったエピソードを披露。大学までバレーをしていたという高田は、バレーの一部の応援がサッカーのそれに影響を受けていることを知り、サポーターが集まるJリーグの“ゴール裏”に興味を持って通い始めた。この経験が目下連載中の「サポルト!」や、同人誌で描かれた横浜・F・マリノスと横浜FCのサポーター同士が結婚した作品など、サポーターを描いた作品につながっている。
これまでさまざまな角度からサッカーマンガを描いている能田は、過去作についてざっくばらんにトーク。「ORANGE」は「四国にJリーグクラブができるなんて考えられてもしなかった時代の妄想の産物。愛媛FCを10年以上応援してきた今考えると、女子高生社長なんてあるわけない」とばっさり。またマスコットのデザインに始まり、毎年の選手のイラスト、はてはスタッフの名刺用の似顔絵まで長年関わっている愛媛FC関連の仕事について「愛媛FCは毎年半分くらい選手が入れ替わるから大変だった」と自虐を交えながら振り返った。
「ツイートNG」となった第2部の最初のテーマは読者が知らないマンガ業界裏話。ここでは「単行本を買ってほしい。単行本が売れないと連載が終わってしまう」というお願いが口火となり、よりシリアスな内容に。「予約は発売前2カ月前にしてください」「予約するなら、全国の書店員が予約状況を参考にしている紀伊國屋新宿店でお願いします」と切実な訴えが続いた。
もうひとつのテーマは、“お茶の水”との権利をめぐる話。Jリーグや関連用語、選手名をマンガで扱えるか扱えないか、はたまた扱うための手順などの話から発展し、ときには日本代表やFIFAなどの話題も。さらに能田がファミ通マンガ大賞を受賞した際の審査員、という縁で
質疑応答コーナーでは、サッカーを愛する面々らしい玄人好みのやり取りが続く。「サッカーの魅力を一言で表すなら?」という質問には、多くのメンバーがサッカーを通じて自分の見識が広がる点を指摘。大武もそれに同意しつつ、「私がサッカー以外に好きなのはウィンブルドンと競馬。(共通するのは)芝なんです。芝、ユニフォームやスパイクの色、おしゃれな選手、スタジアムの雰囲気……全部ひっくるめて見た目に気持ちいいから、サッカーが最高に美しくて好き」とコメントし、同意の拍手を集めていた。
イベント終了後に行われたサイン会も、終始フランクな雰囲気に。次回作について出演者に伺うと、上野は「育成をテーマにしたプロ野球ものと、バスケットボールもののお話が来ていますが、正式には決まっていません」とのこと。大武は審判に関するものを構想しているようだ。
さらにサイン会中には、大阪での仕事終えた
なお、本イベント第1部のダイジェストが、6月上旬に宇都宮のウェブマガジンで公開される予定だ。
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