福本伸行と3誌の担当編集が一堂に!「ざわ…ざわ…展」初日に作品裏話明かす

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福本伸行の企画展「福本伸行 横須賀ざわ…ざわ…展 カイジ×アカギ×黒沢の世界」が、神奈川県横須賀市の三笠公園に保存される戦艦「三笠」艦内で12月25日まで開催されている。初日の11月19日には、福本と担当編集者らによるトークイベントが行われた。

トークイベントの様子。左から「黒沢」を担当する小学館の石原氏、「アカギ」を担当する竹書房の若島氏、福本伸行、「カイジ」を担当する講談社の森田氏、伊香氏。

トークイベントの様子。左から「黒沢」を担当する小学館の石原氏、「アカギ」を担当する竹書房の若島氏、福本伸行、「カイジ」を担当する講談社の森田氏、伊香氏。

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福本伸行

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「カイジ」シリーズ、「アカギ」、「黒沢」シリーズの各担当編集者が集結した壇上では、それぞれの連載開始にまつわるエピソードが明らかに。まず最も連載が長い「アカギ」について、竹書房の若島氏が「当時、別冊近代麻雀(竹書房)の看板作品だった『麻雀飛翔伝 哭きの竜』が連載終了するにあたって、そのとき人気急上昇中だった福本先生に声を掛けたらしいです」と口を切る。福本は「同じ麻雀をテーマにした『天 天和通りの快男児』を描いてたので、麻雀マンガを2つやるのはどうかとか、アイデアが出ないんじゃないかとか思ったんですけど『イケるイケる!』みたいな感じで説得されて。でもこんな長く続くとは思わなかったですね」としみじみ語った後、「でもご存知の通り、鷲巣編になってからは半荘の回が……」と苦笑い。するとすぐさま若島氏は「(あるリサーチによると)1年間で26分間しか進んでないらしいです」と返し、会場の笑いを誘う。

左から福本伸行、「カイジ」の担当編集を務める講談社の森田氏と伊香氏。

左から福本伸行、「カイジ」の担当編集を務める講談社の森田氏と伊香氏。[拡大]

続けて「カイジ」シリーズを担当する講談社の森田氏と伊香氏から語られたのは、「限定ジャンケン」の誕生秘話について。伊香氏は「どういう話をお願いしようかと森田さんと相談してて。僕が『福本さんならなんでも面白く描けます! 命を掛けたやりとり、ギャンブル的な方向性ならジャンケンでも面白く描けますよ!』って言ったのを森田さんが先生にそのまま伝えてしまって」「でも次に会いに行ったら、『ジャンケンのアイデアができました!』って言われたのでほんとにびっくりしました」と、当時の驚きを振り返る。福本が「連載が始まるまでずっと『限定ジャンケンのネタを誰かやらなきゃいいな、どこでも始まらないといいな』と思ってました」と話すと、森田氏は「明るくておしゃべり上手な福本さんですけど、その頃喫茶店とかでアイデア出ししてるとちょっと小声になるんですよ。聞かれちゃいけないんだって」と、愛らしいエピソードを披露する。

左から「黒沢」を担当する小学館の石原氏、「アカギ」を担当する竹書房の若島氏。

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「黒沢」を受け持つ小学館の石原氏は、「僕もみなさんと同じように、命のやり取りをするようなマンガを描いてもらいたいとお願いして……『黒沢』ができあがりました」と、笑い混じりに話し始める。当初は土木会社勤務の冴えない男が、正義を持って悪人を次々倒していくマンガの予定だったという同作。福本は「最初は“平成の宮本武蔵”みたいなイメージだったんですよ。でもケンカするにも理由が必要で、理由付けで脱線していくうちに別の話になっちゃいました」とコメントする。

また不憫な思いばかりする黒沢について、「打ち合わせで『次はどうやって黒沢をいじめましょうか』って福本さんに言ったら、『黒沢はヒーローなんだよ! そんないじめちゃかわいそうだろ!』っていじめてる張本人なのにすごい怒って」と述懐。「そのときに福本さんは黒沢をすごく愛してるんだな、というよりも福本さん自身なんだなと思いました。それから黒沢のことがより好きになって、かわいいなって。同時に、福本伸行ってすごいかわいいなと思って」と愛情たっぷりに伝えると、福本は「ありがと」と応じた。

地元である横須賀市の副市長から、花束を受け取る福本伸行。

地元である横須賀市の副市長から、花束を受け取る福本伸行。[拡大]

観客からの質疑応答では、連載終了した「銀と金」、また現在休載している「賭博覇王伝 零」の今後について聞かれた福本。「これ、2大“これから描くの大変なマンガ”なんですよ」と答えると、会場は笑いに包まれる。「銀と金」については「そのまま時代を移行しちゃうと平井銀二は70歳、森田は40歳とかなっちゃうでしょ。過去の話をするのもどうかと思うし……」と述べ、「賭博覇王伝 零」については「『零』の物語作りは大変すぎて。風呂敷広げたまま、謎を残したまま終わってるんで、次にやるときはちゃんと考えてやらなきゃいけない」と語る。「なかなか難しいんですよね」と言いながらも「アイデアがひらめけば……」と希望をもたせ、イベントは幕を閉じた。

「福本伸行 横須賀ざわ…ざわ…展 カイジ×アカギ×黒沢の世界」の展示物。「最強伝説 黒沢」に登場する交通誘導のロボット・太郎。

「福本伸行 横須賀ざわ…ざわ…展 カイジ×アカギ×黒沢の世界」の展示物。「最強伝説 黒沢」に登場する交通誘導のロボット・太郎。[拡大]

福本が横須賀市出身であることから実現した「福本伸行 横須賀ざわ…ざわ…展 カイジ×アカギ×黒沢の世界」。艦内の展示スペースには、「カイジ」、「アカギ」、「黒沢」の原画が約50点並ぶ。また艦内売店や市内ではオリジナルグッズが販売され、一部飲食店では福本作品と横須賀グルメのコラボメニューも提供される。

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福本伸行 横須賀ざわ…ざわ…展 カイジ×アカギ×黒沢の世界

会期:~2016年12月25日(日)
時間:9:00~16:30(入艦は16:00まで)
会場:世界三大記念艦「三笠」艦内
入場料:無料 ※「三笠」の閲覧料金(一般600円、65歳以上500円、高校生、高校生300円、小・中学生無料)のみ必要。

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楊(やん) @yan_negimabeya

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